奥様はバンパイァ 64
アイスバーグ
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○バラがざわめいている。
バラ園が波立っている。
楚々とした白いアイスバーグ、ドミニックロワゾー、赤、黄色、ピンクの花々が激
しく揺らいでいる。
「わたしためしたいことがある」
玲加はベランダに出た。
毎朝、水をあげているかわいいバラたちに呼びかけた。
「mimaにかわって、わたしはあなたたちを守らなければならないの。今宵はあなた
たちがが、おねがい、わたしを守って」
玲加は真剣な表情で、唇をかみしめた。
両手の掌を波立つバラの花々にむけた。
あたたかな愛情に満ちた念波をバラにむけて放った。
「悪魔降伏 怨敵退散 七難速滅 七復速生秘」とさらに唱えた。
「怨敵退散。怨敵退散。怨敵退散」唱えつづけると、見よ!!! バラの波頭が高鳴り
ヘンスを補強する。
今まで敵のゆさぶりでゆらいでいたヘンスが微動だにしない。
それどころか、ツルバラを這わせたヘンスはさらに高くなり棘が鋭角に巨大化し
た。
いままでヘンスに手をかけてゆすっていたものたちが悲鳴をあげて退いた。
棘にさされたのだ。
ブアンと玲加たちを耳鳴りがおそった。
「なんだ。これはなんだ!!! なにが……」そこまで武がいったときだ。
夕空が真っ黒になった。
ふいに、闇が訪れたようだ。
いやちがう。
空をおおっているのは蝿の群れだ。
空一面に黒い蝿の群れが不吉な黒雲のようにわきでておそってくる。
「空からくる気よ。だったらこれはどう」
玲加は空に向かって両手を広げた。
バラ園の空はコウモリの大群が「わたしたちのでばんよ」とでもいうように玲加の
念に応じて飛び交う。
コウモリが喜々として蝿を咥えてのみこむ。
ドミニク・ロワゾー
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アルブレヒト・ダューラーローズ
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pictured by 「猫と亭主とわたし」
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アイスバーグ
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バラ園が波立っている。
楚々とした白いアイスバーグ、ドミニックロワゾー、赤、黄色、ピンクの花々が激
しく揺らいでいる。
「わたしためしたいことがある」
玲加はベランダに出た。
毎朝、水をあげているかわいいバラたちに呼びかけた。
「mimaにかわって、わたしはあなたたちを守らなければならないの。今宵はあなた
たちがが、おねがい、わたしを守って」
玲加は真剣な表情で、唇をかみしめた。
両手の掌を波立つバラの花々にむけた。
あたたかな愛情に満ちた念波をバラにむけて放った。
「悪魔降伏 怨敵退散 七難速滅 七復速生秘」とさらに唱えた。
「怨敵退散。怨敵退散。怨敵退散」唱えつづけると、見よ!!! バラの波頭が高鳴り
ヘンスを補強する。
今まで敵のゆさぶりでゆらいでいたヘンスが微動だにしない。
それどころか、ツルバラを這わせたヘンスはさらに高くなり棘が鋭角に巨大化し
た。
いままでヘンスに手をかけてゆすっていたものたちが悲鳴をあげて退いた。
棘にさされたのだ。
ブアンと玲加たちを耳鳴りがおそった。
「なんだ。これはなんだ!!! なにが……」そこまで武がいったときだ。
夕空が真っ黒になった。
ふいに、闇が訪れたようだ。
いやちがう。
空をおおっているのは蝿の群れだ。
空一面に黒い蝿の群れが不吉な黒雲のようにわきでておそってくる。
「空からくる気よ。だったらこれはどう」
玲加は空に向かって両手を広げた。
バラ園の空はコウモリの大群が「わたしたちのでばんよ」とでもいうように玲加の
念に応じて飛び交う。
コウモリが喜々として蝿を咥えてのみこむ。
ドミニク・ロワゾー
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アルブレヒト・ダューラーローズ
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