田舎住まい

吸血鬼テーマーの怪奇伝記小説を書いています。

イリュージョン 4/奥様はバンパイァ  麻屋与志夫

2009-11-24 12:43:29 | Weblog
奥様はバンパイァ 80

○「犬飼のオババ」

「あっ!?

おまえは‼

吸美のオババ」

「もうやめましょう。

わたしは恨みのラセンは断ち切った。

いつまでも過去の怨念をもちつづける。

その恨みを晴らすことを生涯の目的とする。

そういうことはやめたほうがいいと。

そこにいる武さんと玲加におそわった」

パソコンから映写される3D画像。

Mは神代寺にいるはずなのに。

この争いの場に参加している。

「またわたしをダマス気だね」

オババは3D映画を見たこともないのだ。

まして、パソコンからMの映像がとびだす。

そして臨場感をともなって話しかけられる。

そんなこと信じられるわけがない。

「わたしゃ、イヤダネ。

武がお狐様の娘とつきあうなんざぁ、許せないね」

「オババ。意地をはらないでくれよ」

「だめ」

「わたしからも、おねがいします。

わたしオババ様のためにつくしますから」

「だめ。ダメ」

「人狼の嫁にしてください」

「駄目。

だめ。

ダメ」

「武とつきあうことを、まずは……許してください」

「ダァーメだよ。

なんといわれてもダメ」

「オババ!!! 駄目といういがいのことば知らないのかよ」

「反抗するの、武」

「あぶない」

それまでだまって成り行きを見守っていたGが叫んだ。

オババが杖で武を打ちすえようとした。

オババの瞳が真紅に光る。 




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