田舎住まい

吸血鬼テーマーの怪奇伝記小説を書いています。

教え子を叩くなんて悲しいことだニャン。 麻屋与志夫

2013-02-08 19:43:07 | ブログ
2月8日 金曜日

●まだ周囲に雪が残っている。
朝、ひさしに氷柱が垂れていた。
氷柱といえば思い出がある。
二人の娘を育てていたころ。
上粕尾まで氷柱をみせにつれていったことがあった。
春になっていたので、鹿沼ではもう氷柱はみられなかった。
幼い娘たちは、それまで氷柱をしらなかった。
教えたわけなのだがしらないという。
名詞を憶えさせるのには、実証主義をとっていた。
そのものをみせてから言葉を教える。
氷柱をつかみとって「冷たいね。氷が光っている」
娘たちのはしゃぐ声がいまも耳元にひびく。

●雪が残っているので、寒い一日だった。
そのうえ風が強かった。
終日掘り炬燵で原稿を打ち込んだ。
万年筆で原稿を書いていたころのことを思い出していた。
よくここまで、書き続けてきたものだとわれながらGGは感心している。
原稿を書くというのは、たった一人で密室にこもっての作業だ。
だれにも褒められるわけではない。
ただひたすら、書き続ける。
その結果に納得がいかなくてもそれでいいではないか。
好きなことをつづけてやれるなんて、幸せだ。
挫折していった友をおもえばしあわせだ。

●ブラッキーがいつもGGのそばにいる。
わたしはふと思った。
いままでに何匹も猫を飼ったが叩いたのは最初に飼ったミュウだけだ。
なにしろはじめてのことだった。
叩けばいうことを聞くだろう。
躾けるには厳しくしなければ――。
なにもわかっていなかった。
叩いたから、どうなるものでもない。
いつもやさしく接することが、愛情をもってともに生活することが大切だ。
そう分かってからは、愛猫をたたいたことはない。
女子柔道の監督のことをおもった。
よく女子に暴力をふるえるものだ。

●伯父さんが講道館で嘉納治五郎先生の門弟だった。
子供のころその母の兄である伯父さんから柔道の話しを聞くのが好きだった。
扁桃腺肥大でなければ柔道をやっていたろう。
あの畳の埃をすうと直ぐに喉がはれた。
何度かそんなことを繰り返した。
諦めた。
柔道にはだから憧れがある。
そうした柔道への想いを汚されたようでざんねんだ。
日本古来の武道には「勝ちを譲る」という心があったはずだ。
なんでもかんでも、勝てばいいという考えは何時のころから台頭してきたのだろうか。

●「なあ、ブラッキー。教え子を叩くことができるなんて、悲しいことだよな」
ブラッキーはニャンともこたえない。


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