7
マンションに戻ってからが修羅場だった。
「なんてことをしたのよ」
美智子が誠の暴挙に声を荒げた。
誠の無謀さを非難した。
怒りが全身をおおっている。
炎をあげて――燃え立つような怒り。
凄まじい怒気が部屋の中で荒れ狂っている。
「ひどいわ。ひどいわ」
翔太を無断で病院から連れ出したことを怒っている。
直ぐにでも、翔太を病院に連れていくという。
受験生の健康管理がいかに大切か。
もし私立中学の入試がうまくいかなかったら……。
と泣きだしてしまう。
静かに見守ることができない。
美智子は取り乱してしまった。
「風邪だ」
扁桃腺がはれているだけだ。
薬ものまず。
ただ寝ているだけなら。
自宅でぶらぶらしていても。
同じことだ。
誠がついぞみせたことのない剣幕に美智子は沈黙した。
こんどは、いくら誠が話しかけても表情ひとつ変えず、口もきかない。
翔太にはベンザのカプレットを念のため飲ませた。
夫婦の争いの元。
翔太は。
ほどなく、けろっとして、友達のところに遊びにいってしまった。
誠は畳みの部屋で横になる。
まどろむ。
頭がづきんと痛んだ。
脳に激痛が走る。
汗が噴き出る。
狙われている。
狙われている。
姿の見えない悪魔が。
ぼくら家族を狙っている。
エレベーターの中で感じたよりも激しい眩暈がする。
くくくっと……。
暗黒の世界に。
ひきこまれるような感覚。
地獄の底。
闇の底に。
ひきこまれる。
ノミコマレルような恐怖に全身ふるえる。
眠る誠をもうひとりの誠が上から見下ろしている。
部屋の様子がいやに鮮明だ。
誠は鼾をかいている。
障子も、窓ガラスも鼾に共鳴するかのように振動している。
今日も遊びに来てくれてありがとうございます。
お帰りに下のバナーを押してくださると…活力になります。
皆さんの応援でがんばっています。
にほんブログ村
マンションに戻ってからが修羅場だった。
「なんてことをしたのよ」
美智子が誠の暴挙に声を荒げた。
誠の無謀さを非難した。
怒りが全身をおおっている。
炎をあげて――燃え立つような怒り。
凄まじい怒気が部屋の中で荒れ狂っている。
「ひどいわ。ひどいわ」
翔太を無断で病院から連れ出したことを怒っている。
直ぐにでも、翔太を病院に連れていくという。
受験生の健康管理がいかに大切か。
もし私立中学の入試がうまくいかなかったら……。
と泣きだしてしまう。
静かに見守ることができない。
美智子は取り乱してしまった。
「風邪だ」
扁桃腺がはれているだけだ。
薬ものまず。
ただ寝ているだけなら。
自宅でぶらぶらしていても。
同じことだ。
誠がついぞみせたことのない剣幕に美智子は沈黙した。
こんどは、いくら誠が話しかけても表情ひとつ変えず、口もきかない。
翔太にはベンザのカプレットを念のため飲ませた。
夫婦の争いの元。
翔太は。
ほどなく、けろっとして、友達のところに遊びにいってしまった。
誠は畳みの部屋で横になる。
まどろむ。
頭がづきんと痛んだ。
脳に激痛が走る。
汗が噴き出る。
狙われている。
狙われている。
姿の見えない悪魔が。
ぼくら家族を狙っている。
エレベーターの中で感じたよりも激しい眩暈がする。
くくくっと……。
暗黒の世界に。
ひきこまれるような感覚。
地獄の底。
闇の底に。
ひきこまれる。
ノミコマレルような恐怖に全身ふるえる。
眠る誠をもうひとりの誠が上から見下ろしている。
部屋の様子がいやに鮮明だ。
誠は鼾をかいている。
障子も、窓ガラスも鼾に共鳴するかのように振動している。
今日も遊びに来てくれてありがとうございます。
お帰りに下のバナーを押してくださると…活力になります。
皆さんの応援でがんばっています。
にほんブログ村
※コメント投稿者のブログIDはブログ作成者のみに通知されます