10
小野崎の家の周囲には何台か車が止まっていた。
報道関係とわかる社旗を立てた車がおおい。
あたりが、ぼうっと霞んでいた。
ヘッドライトの光りで照らされていた。
薄明に雪がまっている。
「慧君の学校関係のかたですか」
ふいに、マイクをつきつけられた。
戸惑いながらも、否定した。
アプローチを玄関にいそぐ。
インターホンで何人かが内部と話しをしている。
「なにか、お話しはありませんか」
などと、マイクで無表情なインターホンに問いかけている。
それはまるで、どんなことがあっても、情報をとろうとしている――。
腐肉にむらがるハエエナの鼻先のようだった。
スチール製の扉は冷ややかに沈黙している。
いっこうに開きそうもない。
堅く閉ざされていた。
外部からの声には応えはもどってこない。
誠が報道陣をおしわけて自分が声をかけても。
扉からはなんの返事も得られないだろう。
また、小野崎には迷惑だろうと判断した。
車にもどることにした。
小野崎の苦悶を思った。
とてもインターホンを押すことはできなかった。
誠の車の脇に男がいた。
雪が肩先につもっている。
キルテングのジャンバー。
深刻な顔。
香取だった。
香取も小野崎とはクラスメイトだった。
そして野州新聞の記者であることを誠は思い出した。
瞬時にそう判断できないほど誠は困惑していた。
疲労していた。
「すぐちかくに、深夜営業のレストランがあるから」
「いつ……から……のことだ?」
卓につくとさっそく誠は香取に訊いた。
「宇都宮南署に捜査願いがだされたのは5日まえだ」
「そうか、なにも知らなかったもので。今夜電話もらって、おどろいてかけつけた」
香取と会話をかわしているうちに誠は空腹に気づいた。
親友が、息子の死で嘆き悲しんでいるのに。
食事をすることに後ろめたさはあったが。
クリームシチュウを注文した。
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報道関係とわかる社旗を立てた車がおおい。
あたりが、ぼうっと霞んでいた。
ヘッドライトの光りで照らされていた。
薄明に雪がまっている。
「慧君の学校関係のかたですか」
ふいに、マイクをつきつけられた。
戸惑いながらも、否定した。
アプローチを玄関にいそぐ。
インターホンで何人かが内部と話しをしている。
「なにか、お話しはありませんか」
などと、マイクで無表情なインターホンに問いかけている。
それはまるで、どんなことがあっても、情報をとろうとしている――。
腐肉にむらがるハエエナの鼻先のようだった。
スチール製の扉は冷ややかに沈黙している。
いっこうに開きそうもない。
堅く閉ざされていた。
外部からの声には応えはもどってこない。
誠が報道陣をおしわけて自分が声をかけても。
扉からはなんの返事も得られないだろう。
また、小野崎には迷惑だろうと判断した。
車にもどることにした。
小野崎の苦悶を思った。
とてもインターホンを押すことはできなかった。
誠の車の脇に男がいた。
雪が肩先につもっている。
キルテングのジャンバー。
深刻な顔。
香取だった。
香取も小野崎とはクラスメイトだった。
そして野州新聞の記者であることを誠は思い出した。
瞬時にそう判断できないほど誠は困惑していた。
疲労していた。
「すぐちかくに、深夜営業のレストランがあるから」
「いつ……から……のことだ?」
卓につくとさっそく誠は香取に訊いた。
「宇都宮南署に捜査願いがだされたのは5日まえだ」
「そうか、なにも知らなかったもので。今夜電話もらって、おどろいてかけつけた」
香取と会話をかわしているうちに誠は空腹に気づいた。
親友が、息子の死で嘆き悲しんでいるのに。
食事をすることに後ろめたさはあったが。
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