田舎住まい

吸血鬼テーマーの怪奇伝記小説を書いています。

吸血鬼VS日光忍軍(2)/三億八千万年の孤独 麻屋与志夫

2011-05-13 07:18:15 | Weblog
2

「キエっ」
裂帛の気合。
キリコの脚が中空で歯車のように回転した。
美智子を拘束している王仁の配下を襲う。

「その女をつれていけ。大切な広告塔だ」
男たちが美智子を連れていく。
キリコが追いかける。

「品物みたいに、あつかうな」
隼人が叫ぶ。
光に目がくらんでいた。
視界のきかないヤッラがキリコに倒される。
隼人は王仁にさらにカメラをつきつけた。
シャッターをきる。

「おれたちの変形を見破る人間。おれたちの敵だ」
「直人。こっちはかたづけたよ。おもうぞんぶんやって」
美智子を連れ去られた。
男たちを追いかけることはできなかった。
扉が閉められてしまた。
扉の前には王仁が立ちはだかった。

「ぼくは麻耶夫人の覚悟の死をみとった。
智子さんの最後の願いを受け継いだ。
オニガミが社会にのさばるのは断じて許さない」
「なにぼそぼそいっている」
「お相手つかまつる」
おもわず古風なことばがでた。
闇のものの悪辣な所業を見破る感覚。
闇に住むべき鬼神と戦ってきた光りの戦士。
日光忍軍の末裔。黒髪と榊の一族がここに戦っている。
隼人とキリコが吸血鬼を敵とした。
共闘している。
麻耶の血をうけた美智子を守るために。
隼人の正拳が王仁の顔面に炸裂した。

先祖が隼人のこころを読みとった。
隼人のこころに同調した。
隼人の体に精気がみなぎっている。
破邪の正拳が、王仁の顔面に炸裂した。
シャッターによる光で視界がにぶっていた。
いつもなら、軽く見切られていた。
それが、まともに王仁の顔面をヒットした。
「痛いな。痛いですよ」
ニカッと凄惨な笑みを浮かべている。
まったく痛みなど感じていない声。
王仁はじりじりと間合いをつめてくる。
横に薙ぐような腕の激打をうけた。
霊体装甲が衝撃をゆるめた。
霊体装甲がなかったら、壁にたたきつけられていた。
「こっちはみんなかたづけたからね」
キリコがいった。
「はやくここからでるんだ。美智子さんを追いかけろ」
「姉き!! キリコ」
霧太が部屋にかけこんできた。

「隼人。だいじょうぶか」
秀行がそのあとにつづいていた。
王仁がバリバリと歯ぎしりする。 


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