第十五章 吸血鬼VS日光忍軍
1
奥の扉が開いた。
足音が隣の部屋からひびいてくる。
複数のものだ。
乱れている。
美智子が連れてこられた。
よかった。
体に傷はない。
いたぶられたようすはない。
暴力をうけたようすはない。
ただおびえている。
青白い顔。
ひきつった表情。
「離して」
両手を引かれ、それに逆らっていた。
ドタドタと靴底が床を乱打した。
隼人に気づいた。
「直人。助けてぇ」
心は動揺している。
部屋が薄暗くなる。
美智子がみもだえる。
美しい顔が疲れきっている。
ひきつっている。
美智子が悲しむ。
すると明かりが暗くなる。
美智子の悲痛なさけびに部屋の明かりが反応している。
美智子の恐怖が回りを暗くしている。
「直人。こいつは、やはり直人なのか? 榊直人か」
「直人、直人、直人。わたしを助けて」
かぼそい声で美智子がくりかえす。
かなり強引に日輪教に入会することを誘われたのか?
色白な肌が青みをおびている。
いや、顔面蒼白、そしてひな鳥のようにおびえている。
「そうか。やはり直人か。生きていたのか。似すぎているはずだ」
「直人。なんとかして」
キリコまで調子にのって直人。
直人。
直人と呼びかける。
えっ、これってなんだよ。
どうして直人なんだ。
そして、ひらめく。
直人だったら写真を撮る。
どんな緊急な、
いや緊急な状態だからこそ、
記録しようとする。
さっとデジカメをとりだす。
拳銃でもとりだすと思ったのか。
武器をとりだすととっさに判断した。
王仁の配下がナイフをなげた。
正確に腕をねらってきた。
痛みさえ腕に感じた。
そこには、隼人の残像が一瞬みえた。
それだけだ。
隼人はキリコの後ろにいた。
シャカシャカシャカ。
まるで、
仏に救いを求めているような連続音。
シヤッターを切る。
シャカシャカ。
シャッターの音がする。
フラッシュがきらめく。
光る。
王仁が目をおおう。
そうかコイツラ、光に弱いのだ。
シャカ。
配下も目を細めている。
「いまだ」
キリコに声をかけた。
隼人の手には投げられたナイフが握られていた。
キリコのテープを切った。
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乱れている。
美智子が連れてこられた。
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体に傷はない。
いたぶられたようすはない。
暴力をうけたようすはない。
ただおびえている。
青白い顔。
ひきつった表情。
「離して」
両手を引かれ、それに逆らっていた。
ドタドタと靴底が床を乱打した。
隼人に気づいた。
「直人。助けてぇ」
心は動揺している。
部屋が薄暗くなる。
美智子がみもだえる。
美しい顔が疲れきっている。
ひきつっている。
美智子が悲しむ。
すると明かりが暗くなる。
美智子の悲痛なさけびに部屋の明かりが反応している。
美智子の恐怖が回りを暗くしている。
「直人。こいつは、やはり直人なのか? 榊直人か」
「直人、直人、直人。わたしを助けて」
かぼそい声で美智子がくりかえす。
かなり強引に日輪教に入会することを誘われたのか?
色白な肌が青みをおびている。
いや、顔面蒼白、そしてひな鳥のようにおびえている。
「そうか。やはり直人か。生きていたのか。似すぎているはずだ」
「直人。なんとかして」
キリコまで調子にのって直人。
直人。
直人と呼びかける。
えっ、これってなんだよ。
どうして直人なんだ。
そして、ひらめく。
直人だったら写真を撮る。
どんな緊急な、
いや緊急な状態だからこそ、
記録しようとする。
さっとデジカメをとりだす。
拳銃でもとりだすと思ったのか。
武器をとりだすととっさに判断した。
王仁の配下がナイフをなげた。
正確に腕をねらってきた。
痛みさえ腕に感じた。
そこには、隼人の残像が一瞬みえた。
それだけだ。
隼人はキリコの後ろにいた。
シャカシャカシャカ。
まるで、
仏に救いを求めているような連続音。
シヤッターを切る。
シャカシャカ。
シャッターの音がする。
フラッシュがきらめく。
光る。
王仁が目をおおう。
そうかコイツラ、光に弱いのだ。
シャカ。
配下も目を細めている。
「いまだ」
キリコに声をかけた。
隼人の手には投げられたナイフが握られていた。
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