田舎住まい

吸血鬼テーマーの怪奇伝記小説を書いています。

受験生の皆さん、頑張ってね  麻屋与志夫

2009-11-15 04:37:14 | Weblog
11月15日 日曜日

●at2:15a.mに起床して「奥様はバンパイア」書き継いだ。


この時間だと、受験生はまだ机にむかっているのだろうな。


がんばってください。


そんなことを考えた。


●わたしは永遠の受験生。


毎晩こそこそとおきだして愛機ハルに向かっています。


小説を書くのが好きでたまらないから書きつづけてきました。


勉強を苦しいと思わないでください。


●どうせ机に向かって勉強しなければならないのでしたら、こんなたのしいことは


ない、こんなたのしいことはない、と思ってやるとほんとうに勉強がたのしくなり


ますよ。


●ではGGはすこしコタツでうたた寝をします。


おさきに睡眠ゴメンナサイ。


がんばってね。




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さすがは歴女玲加/奥様はバンパイァ  麻屋与志夫

2009-11-15 04:10:38 | Weblog
奥様はバンパイァ 74


○「これを庭に敷き詰める」

「なに!? これなんですかG」

「化学の時間にみなかったか」

「ああ、理科の時間のこと」

「そうなるかな。硫黄なんだ。むかし、麻屋をやっていたころ麻を薫製して白く漂

白するのに使っていた」

「これが……どうするの」

玲加とGの会話をききながら武も古典的な紙製のセメント袋の中身を庭にぶち

けている。

硫黄の塊が校庭を黄色にそめあげる。

「はやくしろ。みんな、あんなに苦しんでいる」

玲加と武に硫黄を撒き散らす作業をまかせた。

Gはなんとアメリカ製の火炎放射器を背負ってくる。

武器を持ってきたとはこのことだった。

蝿の大群がバラ園のあるわが家をおそったと玲加から連絡があった。

あのときすでに、このことを予測していた。

Gは厚木のキャンプにいたころの伝手を頼ってweapon shop(武器屋)からかきあっめ

てきたのだ。

中古ではあるがバババット焔がでた。

「G!!! すごい。ゴーストバスターズみたい」

放射された焔で硫黄がもえだした。

その青い焔は蝿の大群にむかつてたちのぼっていく。

蝿の黒雲に乱れが生じた。

バサバサとかたまって蝿がおちてくる。

「噴霧器もあるでよ」

Gが古いふるい親父ギャグをとばす。

こんどは園芸用の大きな噴霧器をせおってくる。

「武も玲加もまだ噴霧器はくるまにある。やってみたら」

○玲加は理解した。

「G。これって芭蕉だね」

さすがは歴女玲加。

奥の細道の殺生石のくだり。

『石の毒気いまだ滅びず、蜂・蝶のたぐひ、真砂の色の見えぬほど重なり死す。』

を暗唱する。

蝿もグランドの色が見えないほどうち重なって死骸となった。

蝿も硫化水素や炭酸ガスにわよわいといったのは、Gに知らせたのはカミサンだっ

た。

硫黄の青い焔は地獄に燃えるものという。

まさにキャンパス地獄の様相をていしていた。

大勢の生徒が耳を押さえて苦しんでいる。

こんどは硫黄のけむりにむせている。そしてせき込みくるしむ。

「マスクをして。マスクよ」

ここは花粉アレルギー発見の土地。

なにしろ日光の杉並木がある。

みんながマスクは常備している。

「テッシュで耳栓をするんだ」

蠅に生徒たちはみみを侵されている。

これまた玲加がすばやく理解。

Gとおなじことをいって空に殺虫剤を噴霧しながら生徒たちのなかにはしりこむ。

「耳栓をして。テッシュで耳栓をして」

○飛ぶものは雲ばかりなり石の上

芭蕉の高弟中川乙由の門人麻父の作品よ。とM。

大型パソコンの液晶画面に映ったMがほほえんでいる。

車の中で玲加はMに校庭の様子を実況報告している。

神代寺のMはこの光景をライブでみている。

「おばさま、まさかまさかあの時代に生きていた……なんてことない……ですよ

ね」

「さあ、どうかしら」

「M――。わたしより若いみたい。化沼高校に転校してきませんか」

「謎の転校生になって? それもわるくはないかもね……」

○校庭は蝿の山。どうやら蝿の攻撃も静まったようだ。



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外に出れば車に当たる  麻屋与志夫

2009-11-14 19:29:37 | Weblog
11月14日 土曜日

●立冬をすぎてから比較的暖かな日がつづいた。

ところがきのうから風も強く、今日は朝から強い雨が降っていた。

昼ごろ小止みになったので傘持参で買い物にでた。

●あいかわらず、車がビュンビュンととばしている。

なにかいやなかんじがして、ストレスがたまる。

わかいときには、エンジン音がやわらかな音色としてきこえていたのにな……。

いまでは野獣の咆哮にきけてしまう。

●車のノウズ、前部に白い牙がみえかくれする。

絶対安全だという距離を置いて横断歩道の白い横線の上を歩いていても危険をかん

じてしまう。

事実こんなことがあった。

はるかかなたから車が爆走してくる。

わたしたちめがけて、さらにスピードをあげる。

横断歩道をわたっているニンゲンがいたら普通スピードを緩めるのが常識ではない

かとおもうのですがね……。

どうもドライバーにはわたしたちは人間として映っていないらしい。

●そしてこんなこともある。

横断歩道をわたろうとまっていても車は止まってくれない。

いくらまってもわたれそうにないので、しかたなく危険をおかすことになる。

●宇都宮などでもオリオン通りのあたりは歩行者が赤でも堂々歩いて通りを横断し

ている。

すごく勇気があるなと感心してしまう。

もちろん、横断していくのは若者だ。

●そういえば、東武デパートの前はいまでも赤の点滅だ。

いぜんテレビでもやっていたが青信号でも赤信号でもだれもがそれを無視するの

で、そうなっている。

そうなのですか。

ほんとうなのかな。

●交通事故のおおい地区であることは新聞等で報じられている。

当局の、警察の取り締まりを強化するように、などと市民はいう。

警察の責任をウンヌンするまえに市民のひとりひとりの安全運転に関する意識を向

上させることこそ急務なのではないか。

●ただ大人になってしまった人に交通安全意識を再確認させてもむだかもしれな

い。

いうことをきくようならすでに改善されて、事故の発生件数は激減するはずだ。

●となると、声をちいさくしますね。

しいて責任といえば学校教育にあるような気がします。

命を大切にする。

年寄にやさしい街づくりをする。

そんなことをさらに力をいれて教育することからはじめなければね。ね。

●街をあるいているひとがいない。

ひともまばらな街をあるいて買い物をしてきた。

ついこのような愚痴みたいな、いやみなプログになった。

ごめんなさい。


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蠅の駆除/奥様はバンパイァ   麻屋与志夫

2009-11-14 08:07:31 | Weblog
奥様はバンパイァ 73

○「まだ廊下。最後のひとりが逃げていった」


「キャンパスにでたのはしっぱいだった。外がみられるか」


Gから携帯にかかってきた。


まだ蝿が廊下を飛び回っている。


欄間の引き戸を開けた。


教室にとびおりた。


「ドタッテ音がした。玲加何キロあるの」


武が教室にはいってくる。


教室には蝿は一匹もいない。


逃走する生徒をさけて欄間や板壁にへばりついていたのがバカみたいだ。


人狼ともあろうものが。


武は壁にへばりついていた滑稽さを自戒しながら玲加をからかう。


玲加は教室の窓から校庭をみおろす。


校舎のなかよりもすごい。


蝿の大群が生徒たちをおそっている。


まるでトルネードが吹き荒れているようだ。


みんなばたばた倒れていく。


その姿だって黒い蝿の群れにさまたげられてはっきりとはみえない。


「どうしたらいいの。Gどうする」


校庭の向こうの日曜大工の店「K」には殺虫剤はいくらでもうっている。


キンチョウールでもふきかけようか。


と玲加は、いおうとしたが空気よめない、不謹慎なことばとおもわれそうだ。


「車を西門のほうにまわす」


「Gありがとう」


「ワンボックスできたのですか」


武ものりこんできた。


「コンピューターがついてるからな。それに武器もある」 




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不吉な予感     麻屋与志夫

2009-11-13 22:35:57 | Weblog
11月13日 金曜日

●13日の金曜日だ。

しかし街はいま秋の光彩をはなって輝いている。

わたしにとってこの故郷の鹿沼は幻境にあるようななつかしい場所だ。

東京と鹿沼の間をあわただしく移動して生きてきた。

●その懐古の情をもよおす鹿沼のイメージが激変した。

街の中央は通りが広くなった。

きれいになった。

でも古い街並みは完全に消えた。

一軒くらいふるいままの家に住むひとがいてもいいとおもうのだが。

寂しい限りだ。

●そして、わたしはこの頃になって感じる。

この街を。

子どものころから知っているこの街を。

遠くからみられるようになっている。

遠くからというよりも。

じぶんがここに存在していない……というような次元からみているようだ。

ここにいない。

ここに存在していなかったら……それって末期の視線ではないか。

いやむしろ死者の目でみているといったほうがはやいのかもしれない。

●わたしの死後もまちがいなく街は存在しつづける。

そのためにわたしたちに出来ることは。

次の世代のひとたちに住みよい。

働き甲斐がいのある街づくりをしておいてやることではないか。

●わたし個人としてできることは、一人きり塾生がのこらなくても、その子に鹿沼

の未来を託せるようにいろいろなことを話してあげたい。

●人材の育成はながく根気のいる仕事だ。

家を新しく立て替えたり、道路を拡張するようなわけにはいかない。

●「奥様はバンパイア」は、いよいよ佳境にはいってきた。

こうしたことも、隠し味として、影キャラ、ウラのストーリーとして書いていきた

い。

もちろんフイクションとして書くのだからすこしくらい激越なコトバになってもお

許しください。

●こうしたことというのは、街の発展、街の性格、街の未来図だ。

●そして、なによりも緊急の課題は子どもの教育問題だとおもう。

学力の低下をなんとかして下支えすることだ。

このまますすめば、またイジメや少年犯罪が増加するだろう。

不安だ。

●13日の金曜日にいまわたしがおもっていることを、とりとめもなく書いてしまっ

た。

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糞の王/奥様はバイパイア 麻屋与志夫

2009-11-13 07:50:44 | Weblog
奥様はパンパア 72

○クリンセンターの上空。

ごみ処理の焼却炉からふきあがる煙突の煙が渦を巻いている。

いや、あれは焼却炉からの煙などではない。

もっとほかのものだ。

シュールな現象だ。

化沼高校に近づく。

妖気はますます強くなる。

上空ばかりではない。

地面からも妖気が腫れもののようにふきでている。

クリンセンターと学校を結ぶ直線距離は500メートルとはない。

妖気の地下脈が通底しているのだ。

いやちがう。

街中の側溝と下水がおかしい。

Mと散歩していて、よく側溝が臭うのが感じられた。

それもストレートにいってフンの悪臭だ。

この美しい街。

前日光高原の自然に恵まれた。

清流がながれ。

緑の山々に囲まれた街にはそぐわない臭いだ。

糞の王。

ふんからわきでる蝿の王。

ベルゼブブが降臨していたのだ。

なんとおろかなことだ。

それともしらずに人狼を敵と吸美族は戦ってきた。

九尾族といわれたころから。

九尾の狐の化身といわれた玉藻がほろぼされてから千と数百年。

争いつづけてきた。

なんとおろかなことだ。

玲加!!! まっていなさい。

いまいく。

よくぞ、武をすきになった。

人狼との和解を成立させた。

だから……だからほんとうの、真の意味での怨敵の姿があきらかになったのだ。




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紅葉の街でA君に会う  麻屋与志夫

2009-11-12 18:09:59 | Weblog
       

●男体山の初冠雪は見られなかった。

十日ほど前ではなかったかと思う。

カミサンが日光の山に雪が降ったといっていた。

ふたりとも忙しくて今年はその雪景色をカメラにおさめられなかった。

●今日はパソコン教室の日、駅前で卒業生のA君にあった。

元気がなかった。

「遊びにおいでよ」と声をとばしてすれちがった。

かれは駐輪場からでて駅へ急いでいた。

わたしたちには、パソコン教室のほかにT歯科の予約があった。

カミサンのインプラントがやっと入る日だ。

Aくんは、悩みでもあるのだろうか。

立ち話でもできればよかったのだが。

真面目すぎる子だから心配だ。

●帰り道に新しくできた千渡(センド)方面へのバイパスへと回り道をした。

いますこし、カミサンとA君の思い出話がしたかった。

もう23歳くらいになっているはずだ。

●まったく初めての場所から故郷の街をみた。

すごく感動した。

おなじ見慣れた街でも、みる角度によってこれほどちがった感銘をうけるのりかと

おどろいた。

●紅葉が盛り。

霜がおりだしたので紅葉がいっそう美しくなった。

カミサンがシャカパチやっている。

「田舎住まい」のほうへも写真のおすそわけをおねがいした。


●四季はうつろう。

木々のある風景はいままさに冬枯れの季節にむかっている。

●わたしはまだAくんのことにこだわっている。

若者の就職が、いま冬の時代。

これではいけないのだ。

これからの若い彼らが笑顔で働ける社会がいまは衰退している。

●Aくんとすれちがった、瞬時のわたしの洞察がはずれていることを願いながら川

畔をあるきつづけた。

       

       

 
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蠅はえハエpart2/奥様はバンパイァ  麻屋与志夫

2009-11-12 08:14:58 | Weblog
奥様はバンパイァ71

○カフテリアのある方角からワット学生が逃げてくる。

あわてふためき、悲鳴を上げて走ってくる。

「どうした」

武がまきこまれないように壁にへばりついた。

玲加はジャンプして欄間に避難する。

「ハエがおそってきたの」

「蝿よ。はえよ。ハエヨ」

走りながらみんなが悲鳴をあげている。

「コウモリは呼べないよな」

「ムリヨ。まだ昼間だもの。呼んでもこないわ。呼んでもオネンネしるわ」

高いところから玲加が声を落とす。

○GGはバラの水やりをすませた。

わたしがいなくてもバラを枯らさないでね。

カミサンに念を押されている。

しばらくぶりでもどったわが家だ。

○バラたちがふいにざわめきだした。

玲加がおそわれている。

Gは直感的に悟った。

バラからのイメージをキャッチした。

携帯をとりだしたが開くのはやめた。

○エマージェンシー・コールがないかぎりなんとかきりぬけるだろう。

Mがいないいま、玲加がこの街の守護キャラだ。

武もそばにいる。

Mのようにたくましくなってもらいたい。

ここは玲加と武にまかせておこう。

○GはPCをひらいた。

Mのいない屋敷はしずまりかえっている。

遠くかすかに、大通りのほうでくるまの輻輳する音がしている。

静かだ。

昼飯はまだたべていない。

ひとりだとなにかやはりものたりない。

あまりにながくMにあまえすぎていたのかもしれない。

はつきりいって、ひとりではなにもできない。

する気がない。ただ小説を書くことは、これは本能だ。

なにがなんでも書きつづけなければならない。

孫の麻耶が第二作を書いている。

○わたしも書く約束をした。

麻耶の「やがて青空」は映画化が決定した。

まだまだ版をかさねている。

医学の勉強と両立させている。

「もう書き終わるよGちゃん。Gもはやくかきあげて」

励まされている。

孫に励まされている。

第二作はふたりで同時出版しょうと……。

孫の麻耶とだきあわせで出版することで、わたしのつたない作品をBCしょうと編集

者はかんがえているのだ。

こんな形で長年の夢が実現していくとは思ってもみなかった。

○Mは50というわたしと生活する期限をつかいきってしまった。

○ふいに、まつたく唐突に空気が動いた。

ざわっと大気が揺らいでいる。

窓ガラスが振動している。

幽かに顫動している。

窓ガラスに手をやる。

音はやむ。だがみよ!!

○真昼の化沼高校からクリーンセンターの方角に妖気がただよっている。

雷雲がわいたようにそらに黒雲が渦巻いている。

イヤ!!! あれは玲加からきかされている蝿の大群だ。

重なりあった無数の蝿の群れが!!!!!!!!!!!!!!!…………玲加と武をおそっている

のだ。

○GはPCをかかえて車庫にかけおりた。

めったにのらないワンボックスカーにとびのった。



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蠅はえハエ/奥様はバンパイア 麻屋与志夫

2009-11-11 07:38:52 | Weblog
奥様はバンパイァ 70

○「玲加の技は発展途上国みたいだな」

「それって、どーいうこと」

化沼高校の屋上。

昼休み。

五月の薫風が吹きわたっていく。

風には前の日曜大工の店「K」のバラの匂いが含まれている。

「まだまだなんでもありって感じ……」

「それって、ほめてくれてるの」

「ノボルを助けてくれてありがとう。幽体離脱とはね」

「武だって狼や吸血鬼に変身できるじゃない」

「あまりひとにはみせたくないな」

「そんなことない。胸毛を風になびかせて原野を走る狼ってすてきよ」

すっかり恋人ムードだ。

ブーンと蝿が飛んできて鉄製の胸壁に止まった。

玲加が武の唇の指をあてた。

そして蝿を指差す。

バラの匂いがしているのだからミツバチならウナヅケル。

でも蝿とはね。

おかしいでしょう? と眼顔しらせる。

武がぺろりと玲加の指をなめた。

玲加はほほを染める。

武の胸に頭を寄せた。

いやな羽音をさせて蝿がまた飛んできた。

不潔なヤツ。いやらしい、醜悪な蝿の群れ。

どこから飛んでくるの。

どこからわいてでるの。

白昼の校舎の屋上だ。

ふたりは手をとりあって階段をおりだした。

「おれたちはいつも監視されている。油断できないな」

「Gに連絡しとく」 


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アルブレヒトデューラーローズの落花  麻屋与志夫

2009-11-10 16:42:34 | Weblog
11月9日 火曜日

●午前3:45起床。

足もとに気を配りながら階下のDKに降り立つ。

「奥様はバンパイア」のアイデアが浮かんだので寝床でメモをとった。

それだけではこころもとない。

記憶にあるうちにハルに向かおうとすこし早いが起きてしまった。

2時間ほどしかねていなかったが……。

小説を書くのがおもしろくて、ねているどころではない。

●キッチンには天窓がある。

まだ夜なので暗い。

てさぐりで、柱についているスイッチをいれた。

●そこにおもわぬ光景がひろがっていた。

純白のテーブルのうえにバラの花が散っていた。

●薄いアプリコットの花弁が重なっていた。

バラはアルブレヒトデューラーローズ。

テーブルの上の空気を華やいだ濃艶な色合いにそめあげている。

それぞれに重なりちらばったようすはひとの手が介入していない。

――自然な模様をみせていた。

光のあたり具合でできた色の濃淡もいい。

わたしの頭で言語群がすばやく浮かび、その選択をせまってくる。

この瞬間の静謐。

そして散ったバラを惜しみながらも眺めている。

このきぶんを表現するには言葉はあまりに平凡すぎる。

カミサンが起きたらカメラにおさめてもらうことにした。

●バラはなぜ散るのか。

咲きすすみ、落花の時季がきたからだ。

その自己完結的ないさぎよさが怖い。

独語(モノローグ)の崩落。

……ねえ、わたし咲いている。

咲いているのよ。

みてちょうだい。

みてよ。……といったささやきがひとしれず途絶えていた。

さわさわと恐怖がわたしを襲う。

見て、みてといった……モノローグのふいの断絶。

その木霊だけがわたしのこころにひびいている。

●ポットからお湯をそそぎひとりで熱いお茶をのんだ。

       

       

     pictured by 「猫と亭主とわたし



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