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「アイツラをこのまま見過ごすのか」
GGの声はひんやりとたものだった。
冷たい棺に横たわっているイメージにまだ支配されている。
「だったら、駅前通りの方にさそいこもう」
麻衣が低い声で応えた。
西武新宿駅前通りのほうで戦おうということだ。
花道通りを脱兎のごとく走る。
吸血鬼は血のしたたる口をあけて「おらぁ、おらぁ」と追いかけてくる。
麻衣たちはなれたもので、キャァ!!!!! こわい。
と黄色い声をあげて逃げていく。
GGは息を切らせながら追いかける。
そのGGを吸血鬼が調子にのって追いたてる。
めざすは、駅前通りの先の暗がりだ。
大久保方面に数分走った。
クノイチ48ガールズが走りこんだのは……。
麻衣はガールズが増えたのでGGの護衛についている。
GGと伴走している。
「けがさせるとミイマにしかられるから」といって、
舌をぺろりとだした。
解体中の雑居ビル。その駐車場。
「あんたたちは、おれたちをここにさそいこんだと勘違いしているよな。ここに追い立てられてきたのは、あんたらんなんだよ。わかるかな」
霊園でたたかったテツとトオルのコンビだった。
「おれたちの軍師、信行さまを滅ぼしたではないか。なにが共存共栄だ。ミイマにうまくだまされるところだった」
雑司ヶ谷霊園の前で、戦ったときよりふたりとも逞しくなっいいる。
この新宿の頭上に君臨する魔王の巨大な力が、権威が、彼らを強靭な吸血鬼に変えたのか。
テツのナイフのように長大な鉤爪がおそってきた。
「あまり、爪を長くするとろくなことはないぞ」
GG鬼切丸を抜き放った。
あらくれた悪鬼がいっせいに襲ってきた。
ガールズが苦戦している。
神代寺バラ園で戦ったときには。
翔子と純がいた。
ミイマがいた。
神代寺MV族の始祖とその一族がいた。
ボスの百子もいたではないか。
ガールズだけではかなりヤバイ。
得意の敵陣かく乱戦法もうまくいかない。
突然大地に伏せる。姿が消えたようだ。
中空に跳ぶ。うえから敵を襲う。
走る。その素早さ。分身の術、敵を幻惑する。
伏せる。
跳ぶ。
走る。
斬る。
斬る。
跳ぶ。
伏せる。
走る。
その技が効果が上がらない。
手の内を吸血鬼に読まれている。
GGは剣を地面に立てた。
麻衣だけはしっていた。
非常事態なのだ。
GGはわたしたちを救うために決断した。
あれを使う気だ。
麻衣にはわかっていた。GGがいつも腰にさげているサイドバック。
詰め込んであるものの正体が。
それは、ミイマがもしものときの、GGの防御にと心血をそそいで作ったものだ。
ミイマ手製のバラ手裏剣。
吸血鬼必殺のバラ手裏剣。
それがいまGGの手からガールズに迫る吸血鬼にむかって投げられた。
バラ手裏剣は吸血鬼の体に食いこむと、棘が成長する。
吸血鬼の血をすったバラの棘はのびるのだ。
だからいちど刺さると、ぬくことができない。
「なんだこれは」
吸血鬼が絶叫する。
ジイッと溶解音をたてて吸血鬼が消えていく。
ジイッと妖怪が音をたてて溶けていく。
あたりは悪臭が立ちこめ、息苦しい。
GGはバラ手裏剣にミイマが心血を注いだという理由を理解した。
手裏剣には、ミイマの血が塗られていたのだ。
ミイマはじぶんが不在でもGGを守る手段を施しておいたのだ。
同族の血を吸収した吸血鬼は溶けてしまう。
悪臭の満ちる廃ビルの広がりの中でGGは感動していた。
あらくれてた悪鬼がたじたじとしている。
ガールズが戦機をとらえて反撃に出た。
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「アイツラをこのまま見過ごすのか」
GGの声はひんやりとたものだった。
冷たい棺に横たわっているイメージにまだ支配されている。
「だったら、駅前通りの方にさそいこもう」
麻衣が低い声で応えた。
西武新宿駅前通りのほうで戦おうということだ。
花道通りを脱兎のごとく走る。
吸血鬼は血のしたたる口をあけて「おらぁ、おらぁ」と追いかけてくる。
麻衣たちはなれたもので、キャァ!!!!! こわい。
と黄色い声をあげて逃げていく。
GGは息を切らせながら追いかける。
そのGGを吸血鬼が調子にのって追いたてる。
めざすは、駅前通りの先の暗がりだ。
大久保方面に数分走った。
クノイチ48ガールズが走りこんだのは……。
麻衣はガールズが増えたのでGGの護衛についている。
GGと伴走している。
「けがさせるとミイマにしかられるから」といって、
舌をぺろりとだした。
解体中の雑居ビル。その駐車場。
「あんたたちは、おれたちをここにさそいこんだと勘違いしているよな。ここに追い立てられてきたのは、あんたらんなんだよ。わかるかな」
霊園でたたかったテツとトオルのコンビだった。
「おれたちの軍師、信行さまを滅ぼしたではないか。なにが共存共栄だ。ミイマにうまくだまされるところだった」
雑司ヶ谷霊園の前で、戦ったときよりふたりとも逞しくなっいいる。
この新宿の頭上に君臨する魔王の巨大な力が、権威が、彼らを強靭な吸血鬼に変えたのか。
テツのナイフのように長大な鉤爪がおそってきた。
「あまり、爪を長くするとろくなことはないぞ」
GG鬼切丸を抜き放った。
あらくれた悪鬼がいっせいに襲ってきた。
ガールズが苦戦している。
神代寺バラ園で戦ったときには。
翔子と純がいた。
ミイマがいた。
神代寺MV族の始祖とその一族がいた。
ボスの百子もいたではないか。
ガールズだけではかなりヤバイ。
得意の敵陣かく乱戦法もうまくいかない。
突然大地に伏せる。姿が消えたようだ。
中空に跳ぶ。うえから敵を襲う。
走る。その素早さ。分身の術、敵を幻惑する。
伏せる。
跳ぶ。
走る。
斬る。
斬る。
跳ぶ。
伏せる。
走る。
その技が効果が上がらない。
手の内を吸血鬼に読まれている。
GGは剣を地面に立てた。
麻衣だけはしっていた。
非常事態なのだ。
GGはわたしたちを救うために決断した。
あれを使う気だ。
麻衣にはわかっていた。GGがいつも腰にさげているサイドバック。
詰め込んであるものの正体が。
それは、ミイマがもしものときの、GGの防御にと心血をそそいで作ったものだ。
ミイマ手製のバラ手裏剣。
吸血鬼必殺のバラ手裏剣。
それがいまGGの手からガールズに迫る吸血鬼にむかって投げられた。
バラ手裏剣は吸血鬼の体に食いこむと、棘が成長する。
吸血鬼の血をすったバラの棘はのびるのだ。
だからいちど刺さると、ぬくことができない。
「なんだこれは」
吸血鬼が絶叫する。
ジイッと溶解音をたてて吸血鬼が消えていく。
ジイッと妖怪が音をたてて溶けていく。
あたりは悪臭が立ちこめ、息苦しい。
GGはバラ手裏剣にミイマが心血を注いだという理由を理解した。
手裏剣には、ミイマの血が塗られていたのだ。
ミイマはじぶんが不在でもGGを守る手段を施しておいたのだ。
同族の血を吸収した吸血鬼は溶けてしまう。
悪臭の満ちる廃ビルの広がりの中でGGは感動していた。
あらくれてた悪鬼がたじたじとしている。
ガールズが戦機をとらえて反撃に出た。
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