助手「博士、昨夜も徹夜ですか。いいかげん体を壊しますよ」
朝一番にやってきた助手が、あきれた口調で博士にもの申した。
博士「助手よ、君が来るのを午前二時から待っておったぞ。来るのが遅い。まったくけしからん。今何時だ」
助手「午前八時です」
博士「そうか。遅くもないな。なら早速……何か食べたいものは無いかな」
助手「朝ご飯は、つい先ほど食べました」
博士「まあ、そう言わずに。ちょっとこれを見ろ」
博士は自分の背中に隠していた、A4サイズのタブレットを取り出した。
助手「それがなにか……」
助手はヤホーのトップページを確認した。
博士「ほれ、食べ物の画像をだすのじゃ」
助手「ずいぶんしつこく聞きますね。じゃあ、強いて言うと、「焼き芋」ですかね」
博士「焼き芋ね。庶民的でよいな」 画面に焼き芋の画像がずらりと並ぶ。
博士「この黄金色に輝く芋の画像を、ワシの開発したアプリに入れる……」
助手の後ろから機械の動く音が響きだした。
甘いにおいがただよいだした。
助手が振り返ると、3Dプリンターが動いていた。
助手は中をのぞく。
今まさに、焼き芋の下半分が出来上がりつつあった。
助手「博士、これはどういうことですか」
博士「画像データから有機物をつくる装置「いつでも食べれる君」じゃ。糖質、脂質、タンパク質の原料ボトルがセットされておる。魔法の香料でにおいと味を作るのじゃ。まあ、食べて」
博士は出来上がりのアラームを確認した。
焼き芋を機械から取り出す。
熱々の湯気が上がっている。
助手「害は無いのでしょうね」
博士「ああ、大丈夫だ。安心して食べたまえ」
助手は焼き芋の皮をむいた。皮も身も精密に再現されている。本当の焼き芋と見た目は少しも変わりがない。
助手は少しかじる。
助手「あまい。そして驚くほどうまい」
博士「そうじゃろう。次は大福なんかどうじゃ」
博士はタブレットを操作して画像を探す。
博士はなにやら不思議な表情を浮かべた。
助手「博士。何です?」
博士「いや、なんでもない」
「どこでも食べれる君」が静かに動き出す。
静まりかえった研究室に出来上がりを知らせるアラームがなった。
博士は半笑い。
助手には少しひっかかる。
博士「どうぞ、召し上がれ」
助手「いただきます」
助手は大福にかじる。
助手の口中にあんの甘みが広がるはずなのだが……。
なんというのか、味がしない。
味がしないというか、粘土を口に入れた味がする。
助手はあわてて吐き出した。
助手「何を食べさせたのですか」
にやにやしながら博士は口をひらく。
博士「ちょっとした実験」
助手「どんな?」
博士「データとなる画像は、本物そっくりに作った、作り物のまんじゅうの画像じゃ。どこでも食べれる君の画像を観察する力をためしてみたかった。自分で食べて確かめるのはいやだったものでな。一度やってみたかった。君のおかげで性能を確かめることが出来てうれしい」
助手「ぼくは、ちっともうれしくありません」
博士「原料はすべて食べれるもので再現したから、安全は安全じゃ」
助手「やっぱりうれしくありません」
博士「もっというと、本当に試したかったのは、うんこ味のカレーと、カレー味のうんこ。そっちを試さないのが、ワシの最後の良心じゃ」
朝一番にやってきた助手が、あきれた口調で博士にもの申した。
博士「助手よ、君が来るのを午前二時から待っておったぞ。来るのが遅い。まったくけしからん。今何時だ」
助手「午前八時です」
博士「そうか。遅くもないな。なら早速……何か食べたいものは無いかな」
助手「朝ご飯は、つい先ほど食べました」
博士「まあ、そう言わずに。ちょっとこれを見ろ」
博士は自分の背中に隠していた、A4サイズのタブレットを取り出した。
助手「それがなにか……」
助手はヤホーのトップページを確認した。
博士「ほれ、食べ物の画像をだすのじゃ」
助手「ずいぶんしつこく聞きますね。じゃあ、強いて言うと、「焼き芋」ですかね」
博士「焼き芋ね。庶民的でよいな」 画面に焼き芋の画像がずらりと並ぶ。
博士「この黄金色に輝く芋の画像を、ワシの開発したアプリに入れる……」
助手の後ろから機械の動く音が響きだした。
甘いにおいがただよいだした。
助手が振り返ると、3Dプリンターが動いていた。
助手は中をのぞく。
今まさに、焼き芋の下半分が出来上がりつつあった。
助手「博士、これはどういうことですか」
博士「画像データから有機物をつくる装置「いつでも食べれる君」じゃ。糖質、脂質、タンパク質の原料ボトルがセットされておる。魔法の香料でにおいと味を作るのじゃ。まあ、食べて」
博士は出来上がりのアラームを確認した。
焼き芋を機械から取り出す。
熱々の湯気が上がっている。
助手「害は無いのでしょうね」
博士「ああ、大丈夫だ。安心して食べたまえ」
助手は焼き芋の皮をむいた。皮も身も精密に再現されている。本当の焼き芋と見た目は少しも変わりがない。
助手は少しかじる。
助手「あまい。そして驚くほどうまい」
博士「そうじゃろう。次は大福なんかどうじゃ」
博士はタブレットを操作して画像を探す。
博士はなにやら不思議な表情を浮かべた。
助手「博士。何です?」
博士「いや、なんでもない」
「どこでも食べれる君」が静かに動き出す。
静まりかえった研究室に出来上がりを知らせるアラームがなった。
博士は半笑い。
助手には少しひっかかる。
博士「どうぞ、召し上がれ」
助手「いただきます」
助手は大福にかじる。
助手の口中にあんの甘みが広がるはずなのだが……。
なんというのか、味がしない。
味がしないというか、粘土を口に入れた味がする。
助手はあわてて吐き出した。
助手「何を食べさせたのですか」
にやにやしながら博士は口をひらく。
博士「ちょっとした実験」
助手「どんな?」
博士「データとなる画像は、本物そっくりに作った、作り物のまんじゅうの画像じゃ。どこでも食べれる君の画像を観察する力をためしてみたかった。自分で食べて確かめるのはいやだったものでな。一度やってみたかった。君のおかげで性能を確かめることが出来てうれしい」
助手「ぼくは、ちっともうれしくありません」
博士「原料はすべて食べれるもので再現したから、安全は安全じゃ」
助手「やっぱりうれしくありません」
博士「もっというと、本当に試したかったのは、うんこ味のカレーと、カレー味のうんこ。そっちを試さないのが、ワシの最後の良心じゃ」