下の写真は私が初めて買ったゲレンデスキーの板です。上の方が就職1年目に買ったもので、それが壊れてから次に買ったのが下の方です。どちらも2mです。板の両側が直線的で、長さが2mあります。もう使う事もないだろうと終活の一環として整理しようと試みました。
今、使われているカービングタイプの板は中央部分がくびれた曲線で、かなり短かくなっています。私が初めて新品のスキーの道具を買ったのは、就職した年でした。約半世紀も前のことです。小学校へ入る前からスキーで遊んでいたのですが、常に「お下がり」で板の角がすり減って丸くなっていました。一緒に遊ぶ良い子たちも同様でした。それだけに、スキーを買える嬉しさはひとしおでした。
自分で買える日を夢見ていただけに、スキーに関する聞きかじりの知識を一丁前に持っていました。「スキーを買うときは、手を伸ばして届く長さがいい」は常識でした。しかし、これは充分にスキー技術を有する場合であって、決して初心者に当てはまる基準ではありません。それでも、畑沢で小学校入学前からスキーに慣れ親しんでいるとの自負だけがある若者(馬鹿者)は、2mにこだわりました。小学校時代の畑沢でのスキーは、踵が固定されていなくて歩くことを基本としています。私たちはパチンコと呼んでいましたが、正しくはゾンメルスキーだそうです。次の図は2018年4月8日に投稿したものです。
ゲレンデでターンするような種類のスキーではありません。当然、パラレルターンはおろかボーゲンでさえも真面に滑ったことがありません。つまりゲレンデスキーは初心者そのものでした。畑沢の湿った雪は横滑りを許さないのでターンには向かず、どうしてもターンしなければならないときは、転倒を覚悟して力ずくでテールをジャンプさせていました。その力ずくのジャンプをすれば、必要な時はいつでも曲がれると信じ込んでいたのです。
そのままに大人になった若者が、自分の給料で初めてスキーを買いました。頭の中にあるスキーの長さは、夢見た2mです。自分の技量はお構いなしです。絶対、2mでした。
若者が何十年も経て高齢者になってから、娘が蔵王でスノーボードをすると言うので、連れて行きました。ロープウェイのゴンドラに乗ったら、私のスキーが一際、頭上高く目立っていました。どうだ、ベテランスキーヤーのスキーだぞ。などと馬鹿な気持ちはありません。ただ、偏(ひとえ)に世の移り変わりを静かに感じていました。
ということで、思い出が沢山ありましたので、終活としての処分をする決心は先送りと相なりましたとさ。捨てるのは何時になるのでしょう。