気温の急な上昇は、植物だけでなく、動物へも影響を与えて、動物の行動を騒がしいものにしました。昨日の植物編に続いて今回は動物編です。
4月24日、荒町を抜けて松母に入り、いよいよ畑沢の風景が広がった時に、真っ青な空を東から西に横切る鳥が見えました。鳥の種類は直ぐに分かりました。最近、畑沢でよく見かける隼(ハヤブサ)でした。隼は畑沢祭があった4月15日にも目撃し、その時は嘴に蛙がくわえられていました。この日の隼が15日の隼と同一個体であったかどうかは分かりませんが。畑沢を縄張りにしている同一の番(つがい)の一匹であろうと思います。
隼は実に分かりやすいシルエットを持っています。猛禽類の鷹・鷲とは、主翼の先端で容易に区別できます。鷹・鷲のそれは、何本もの風切羽根が手を拡げたよう広がっていますが、隼の主翼の先端はツバメのように、鋭く尖っています。高速飛翔する鳥の特徴のようです。
ところで、この写真を御覧になって、一言も二言もケチを付けたい方がおられるでしょう。上手に撮られていません。ちゃんとした撮影をする方は、きちんと準備をしたうえで、かつカメラもそれなりにいい一眼レフをお持ちです。スビタレは、「行き当たりばったり」で安いデジカメで適当に撮ります。この写真だけでは、隼であることは判断できないでしょうが、写真では見えないスビタレの目が確認しましたので、御安心下さい。
いきなり、畑沢の南端に話が飛びます。背中炙り峠に向かう入口、坂下です。古道の上に作られた農道には、まだ雪が残っていました。雪は盛んに融けて雪解け水が道の轍に二本の線を引いて流れ下ります。その水を水路に導こうとして、シャベルを水路に突っ込んだところ、勢いよく蛙が飛び出しました。体長(吻端から後足の付け根まで)が10cmほどもあります。蛙としては大きい方です。この蛙、見覚えがあります。中畑沢の屏沢に流れている小川で見たものです。名前は「ヤマアカガエル」です。大きな鼓膜、赤みを帯びた体色はアカガエル属の特徴です。などと知ったような言い方になりましたが、お許しください。覚えの悪い小生でも、少しは覚えたものもあるのです。特にこの蛙は覚え易い蛙です。同じアカガエルの仲間のトノサマガエルとは、簡単に区別できますし、他に鼓膜が大きい蛙は、畑沢ではこの蛙ぐらいなものです。
さらに背中炙り峠に向う古道を歩いていると、静寂な春の日差しの中で、「ガサガサ」と枯れた草むらの中から音がしました。見ると、トカゲの様な生き物が小さな坂を転げ落ちてきました。「なんだ、餌でも採っているのか」と思っていたのですが、よく見ると一匹のお腹に別の一匹が噛みついていました。何と、こいつは共食いをしようとしているのか。実に「畜生道に生きている野蛮な奴よ」と軽蔑の思いが湧いたのですが、帰ってから調べるとそういうことではありませんでした。
トカゲのような生き物の種類はニホンカナヘビでした。一度、私が中畑沢で撮影したものを投稿したことがあります。もっと分かりやすく申し上げますと、「カナチョロ」です。今は繁殖時期、お腹が大きくて噛みつかれているのは雌、噛みついているのは雄だそうです。これがカナチョロの求愛行動だそうです。乱暴です。世界は広いものです。こんなこともあるのですね。
次に登場するのは、動物そのものではありません。糞(ふん)です。この写真を見ただけで畑沢の人達には、説明が不要のはずです。そうです。ノウサギの糞です。そんなものをどうして登場させたかと申しますと、嬉しかったからです。周囲には沢山ありました。沢山のノウサギが生きているのです。最近、畑沢ではノウサギの痕跡を見つけることが稀有になりました。しかし、此処には沢山いるようです。
山の斜面を中ほどまでに登ると、眼下に大きな池が見えます。人工的な池ですが、人が訪れることもなくなったのです。水鳥の楽園になっているようです。秋にはマガモが何百羽も羽を休めていました。春にはカルガモが唯一のカモ類としてこの池にいるのかなと思っていましたが、カルガモではない別のカモ類がいました。「コガモ」です。初めて知りました。最近は頓(とみ)に物騒になってきた日本に見切りを付けて、早くシベリアへ帰った方が良いのにと思ったのですが、この鴨は渡りをしないで、日本に四季を通じて暮らしています。そう言えば、シベリアがある魯国も大統領が物騒なことをやらかしています。どこも住みにくくなっいます。
さて、このコガモはきっとこの池で繁殖しているのでしょう。上の写真が雌で、下の写真は雄です。カナチョロのように噛みついたりしないでしょうね。
最後に畑沢に棲む大型哺乳類の登場です。カモシカです。正確には足跡だけです。しかし、この足跡を撮影する一時間以内にはここを通った証拠です。古道を登っている時にはこの足跡がなく、同じところを下ってきたら付いていました。