平成29年3月26日、大変、天気が良かったので、畑沢のフクジュソウ(福寿草)を見たくなりました。山形を9時半ごろに出発して、天童、東根、村山、尾花沢を通っていくうちに、益々、春の雰囲気が出てきました。一部の天気予報では雨マークもあったのですが、雲さえもほとんどない状態でした。
荒町の集落を過ぎた直後、目の前にいつものナデツギ山(雪崩付き山)が立ちはだかりました。この山の地元で呼ばれている正しい名前をまだ知りません。今日こそは荒町の人に尋ねてみようと思っていたのですが、またしても忘れてしまいました。忘れっぽいのは、今に始まったことではありません。お陰で「老化現象」を疑わないことにしています。別の言い方をすれば、「昔から老化していた」だけかもしれないのですが。
さて、この山は、厳冬期にしょっちゅう雪崩が起きます。上の写真を拡大すると、山肌は急斜面の岩だらけであることが分かります。どんな岩であるかを知りたくて、近くまで登りたいのですが、スビタレの身には荷が重過ぎます。気持ちだけを何十年も抱き続けています。
岩肌をよく見ると、樹木の幹が見えますが、どうも尋常ではありません。普通、下から上へ伸びるはずの幹が、逆に上から下へ垂れさがっているように見えます。姿・形を変えて、たび重なる雪崩にも耐え忍んでいるのでしょう。どんな植物がそのような離れ業(わざ)をやってるのか益々、興味が湧きます。私も見習わなければいけません。でも、行けるでしょうか、そこまで‥‥
その場で、体を百八十度回すと、朧気川(花の木川)とその上流に細野集落が見えます。集落の上には、何やらスキー場のような白く細長く伸びた雪原が見えました。細野地区にスキー場があると聞いたことがありませんので、スキー場ではないのでしょうが、それでも「滑りたくなる」ような斜面です。google earthで調べたところ、「草地」のようでした。草地であっても積雪期は使用できないわけですから、スキー場として使っても何ら問題はなさそうです。細野地区では、素晴らしいリーダーの下に大勢の人たちが地域振興に励んでおられます。きっと、この草地も草地以外の何かの役に立てているのでしょう。
朧気川は、まだ雪融け水が多くなっていません。当然、雪融けの濁りはありません。川の様子は昔と大分、変わりました。護岸工事によって流れが直線的になっています。ただ、嬉しいことには、水の生き物が遡上できるように、魚道的な工作物が多用されています。
今度は、真北の方を見ました。下の写真はかなりの望遠で撮影しています。遠くに尖った山があります。今度こそは神室山系だと思います。その右脇には、どっしりとしていて真っ白い神室山らしき姿も見えます。前回の投稿で畑沢から北を見た写真をお見せしましたが、それとは全く異なる景色です。としますと、畑沢から見えたあの山は小又山ではないことになります。google earthを立体化して調べたところ、畑沢から見えた山は、宮城県境に聳える禿岳(標高1,262m)でした。
畑沢では福寿草が咲いていました。まだ、最盛期には程遠いので、早めに雪が消えた土手にぽつりぽつり程度です。水路には、ショウブの仲間の植物が子ヤギが角を出し始めたように、つんつんと水面から顔を出していました。この植物、この状態ですと、セキショウに似ています。畑沢には結構、セキショウが生えていますので、セキショウかもしれませんが、ショウブも結構、多いので、もう少し成長してから確認してみます。
上の場所を拡大しました。近づいて撮影すればよいのですが、土手に水分が多いので崩れやすい状態です。しかたなく、離れたままで望遠撮影しました。三脚も使いませんでしたので、手ぶれが生じました。10輪程度の福寿草の外に、オオウバユリの芽が見えました。このみずみずしさを見ると、美味しそうなので食べたくなりますが、「食べられる」と聞いたことがありません。根は食べられるらしいのですが。
私が昭和30年代~40年代を畑沢で「がき時代」を過ごしたころ、この時期は雪がまだ大量に積もっていて、土手も雪で覆われて、福寿草もほとんど見えませんでした。視界一面が雪原でした。学校は春休み中で、大人も子供も一生懸命に橇(そり)で水田へ堆肥を運んでいました。橇引きは、強靭な足腰と精神を鍛えます。私は例外でした。
その時期は、ヤギの出産時期でもありました。橇引きが終わると、直ぐに「苗床(なえどこ)」という温室が作られました。親ヤギと子ヤギの間にある藁(わら)が敷かれているところが苗床です。当時の温室の熱源は、藁の発酵熱でした。かなりの温度になりました。
ところで、写真には肘掛椅子みたいなものが写っていますが、私が中学生のころに作った肘掛椅子の残骸です。肘掛の部分が壊れています。肘掛椅子を使うような生活様式には縁がなかったのですが、単なる興味本位で作ってしまいました。どうも私の人生には無駄が多いようです。