私は昨年で「背中炙り峠の楯」の調査が終了したと思っていました。そこで平成29年5月14日に、「楯」に関する師匠であるお二人と、城跡に関心を持っていて信頼できるお一人を背中炙り峠の楯跡に案内しました。すると、驚いたことに幾つかの間違いと新たな堀切が出てきました。私の調査が杜撰(ずさん)だったのです。独りよがりというものは怖いものです。在るものが見えなかったり、ないものが見えたりします。
しかし、今回のブログはその盾の址に関するものではありません。調査をまとめることが苦手な私は、いつものように調査結果を「後日」投稿いたします。今回は峠周辺の状況をお知らせします。
峠へは、県道「尾花沢関山線」を使えばいいのですが、雪が融けてしばらく経つのに通行止めになっていました。通行止めのゲートには、通行止め理由の欄が空欄で、期間も「当面の間」としかなっていません。帰宅後に山形県のホームページで確認しましたところ、通行止め理由がなくて全面通行止め期間が「H29.05.19 ~H29.07.28」となっていました。えーっ、今年も7月の終わりごろまで通行止めですか。ここ4、5年は無積雪時期のうちの長期間が通行止めになっています。昨年は10月末ごろまで通行止めではなかったかと思います。また、どうして看板にもホームページにも、通行止め理由が書いていないのでしょうか。書かないほうがいいのか、それとも書けないからでしょうか。何とも不思議な道路です。
この道路は通勤にも使われています。常盤地区から村山市や山形市へ行くのに、尾花沢をまわるよりもこの峠を通ったほうがかなりの時間を短縮できます。便利な道路なのです。通行止め原因の箇所は、今回も村山市側のようです。峠まで歩いた畑沢側の道路には、原因となる箇所がありませんでしたから。 どうして、村山市側だけ工事が多いのでしょうか。
背炙り峠にも交通止めの馬(うま)がありました。峠への入り口で通行止めをしているのに、峠にどうして「通行止め」の馬が必要なのでしょう。不思議です。そして、ここで初めて「1km先 古道路工事中」と出ています。つくづく不思議です。もしかしたら、この言い方は「印象操作」にあたるのでしょうか。そして国家転覆を企むと見られて、共謀罪で捕まるのでしょうか。最近のニュースを見ていると、世の中が怖くなります。「長いものに巻かれる」のが苦手な私には、注意が必要なようです。
背炙り峠からの眺めは最高でした。村山市側の展望が広がっています。遠くには残雪の白い筋を纏(まと)った高い山々が、空との境界線を飾っていました。山の写真は、順序良く視界の右から左へ進むことにします。
最初の写真は、一番近くにある「葉山」です。葉山はカルデラの外輪山だとも言われており、この写真のさらに右側にも稜線が続いているのですが、手前の山がそれを隠しています。
葉山から少し離れて、朝日連峰が見えます。左側の一番高い山が大朝日岳です。これらの山々は、総て一続きではあるのですが、山並みが二重なっています。滝太郎で有名な大鳥池を抱いている以東岳も見えています。
さらにぐっと左には、飯豊連峰があります。残念ながら霞(かす)んでいます。何しろ100kmもの距離があります。私がもっと早く峠に来ていれば、飯豊連峰ももっと美しく見えたでしょう。私が峠に到着したのは、もう11時近くになっていました。
これは背炙り峠ではなくて、背中炙り峠越えの古道から撮影しました。背炙り峠と背中炙り峠の違いは、Wikipediaの「背炙峠」を御覧ください。先ほどの3枚の山の写真とは反対側を撮影したもので、鳥海山です。大きいですね。山形県で最も高い(2,236m)山です。私がこの山へ登ることは、もうないでしょう。遠くから眺めるだけです。
さて、ここで山を終わって植物の鑑賞です。ギンリョウソウです。何十年と畑沢を見てきた私でも、初めて畑沢で見ました。しかも、ぞくぞくと湧き出しているような生え方です。私がこの植物に会ったのは、今から40年以上も前で、隣県の山中です。それ以来、山登りをするたびに目にしてきました。その意味ではけっして珍しい植物ではないのですが、畑沢の低い山で大量に見られたことは感激でした。
ところで、ギンリョウソウをWikipediaで調べましたら、菌類に寄生している寄生植物だそうです。私は昔々、腐生植物と教わりましたが、この点でも目から鱗でした。しかもツツジ科だそうですから、またまた驚いてしまいました。とても、ツツジやサツキに似ているとは思えません。このような分類をする学者さんは、天才ですね。とても私は学者にはなれません。長く生きていると、いろんなことを学べます。今度はどんなことを学ぶことができるでしょうか。
この植物は、珍しいものですが、盗掘の対象にはなりません。山から採取しても容易に寄生できる環境がありませんし、押し花にしようとしても直ぐに真っ黒に変色してしまいます。
次の植物は珍しいものではありませんが、その大きさに驚きました。植物名はウスバサイシンです。写真には手袋も見えます。大きさを比較するためです。普通の葉の大きさは、この半分ぐらいです。もしかしたら、新種でしょうか。例えば、オオ(大)ウスバサイシンなどと。冗談です。
次の写真も珍しいものです。種としては珍しくもなんともないし、街中でもよく見かけるものです。でも、山の中では殆ど見かけなくなりました。園芸業者などが販売目的で盗掘したためです。私の子ども時代には、畑沢に沢山、生えていて、しかも嫌われていました。嫌われたのは、蜜に毒があるからです。食べられなければ嫌います。年がら年中お腹を空かしていましたから。エヌツツズ(犬ツツジ)と呼んでいました。
ところが花弁が大きいので、庭木としての人気が高まって値段が高騰し、たちまち山からレンゲツツジが消えました。今でも幹が太いレンゲツツジは畑沢にありません。この写真の木は、極めて小さいものです。細々と悪徳業者から見えないように咲いています。今度、盗掘でもしようものなら、畑沢の石仏たちが黙っていません。祟(たた)りを起こしてくれるでしょう。石仏でない私も下手な歌を聞かせてやります。 熊も猪も近づけない強烈な♪ 松風騒ぐ丘のうえ~♪ です。
帰路、道路わきに黄色い花が大量に咲いていました。今までもあったのかもしれませんが、私は3年前ごろから気になりだしました。これほど大量に咲いていると、それはそれで見事で美しいのですが、心配なことがあります。「もしや外来種が蔓延(はびこ)り出したのでは」との心配があります。キバナニガナかなと思ったりしていますが、自信は全くありません。どんな名前の植物でしょうか。
この日、写真にできない音は、カッコウ、ホトトギス、鷹の一種、春ゼミの一種などです。勿論、何だか分からない多数の鳴き声もありました。