今日4月20日はギタリストのブッチャーさんこと浅野祥之さんの命日でした。
年齢的なものだと思うけどバンドを始めてからというもの知り合った大切な人たちがずいぶん亡くなった。それを全て覚えておくことは不可能だから命日にはその人のことを思い出すのかなと思う。
Peppermint Leafの夏のライブは6月3日。
「6月と言えば『六月の雨』だね。」と言われてちょっと複雑な思いになる。
あの曲には思い出がある。
山下憲治くん。高校の同級生。
通称やまけん。彼とは普通の友達で高校の時も特別に恋愛感情はなかった。ドカベンに似た風貌の彼は頭も性格も驚くほど良い人で、高校生くらいになるとほとんど誰もやりたがらない生徒会長なんて役もみんなの推薦を受けてやってくれるような人気者だった。
やまけんとはいろんな話をしたけど特に記憶に残ってるのは「男女間の友情は成り立つか」という話。結論は「双方にステディな相手がいれば成り立つ」ということになったと思う。当時私には片思いだけど好きな人がいて、やまけんの方にも多分誰か好きな人がいたと思う。彼は私にとって恋愛対象というよりむしろ人間として尊敬の対象だった。
ちなみに私の片思いの相手はやまけんとは比べものにもならないくらダメな男だった。授業はサボるし部活には来ないし女の子の誘いには弱いし今考えればなんであんな人を好きになったんだろう。アイツのためにどれだけ泣いたことか。
今はそれも思い出(笑)。
やまけんは筑波大学を卒業後コンピューター関連の雑誌社に就職したと伝え聞いた。卒業してから一度だけ会ったけど、月刊アスキーという会社でバリバリの編集長をしていてNHKのBSの番組にもゲスト出演したりしていた。
彼ががんで亡くなったと聞いたのはそれから何年後だったろう。
享年34歳。地元で行われた葬儀には行けなかった。
彼が亡くなって1年後に「六月の雨」という曲を書いた。
雨の日の西広島バイパスを走ってた時に曲が浮かんだ。
ブッチャーさんの命日に何故かそのやまけんのことを思い出した。
試しにネットで名前を検索。
なんとこんな記事が。
Wikipediaにも名前があった。
まぐまぐを始めとする「メールマガジン」を誕生させたのが他ならぬ彼だったということを今日初めて知った。
そう言えば、一度だけ会った時に彼はこんな話をしてくれた。
インターネットが普及してくると情報は雨のように無限に降り注ぐようになる。自分はどんな傘でその情報の雨を受け取るのか(取捨選択するのか)それが大事なんだって。
情報を雨にたとえたやまけん。だから雨が降ると彼を思い出すのか。
やまけん、私の傘はどんな感じに見えますか?
「六月の雨」
霧に煙るような六月の雨は
見慣れた風景をノスタルジックにした
ひどく眠れなくて寝覚めの悪い朝
ぼんやりした頭でぼんやり考えた
君は僕に何を求めていたのか
僕は君に何を与えられてたのか
君が最初に言った言葉
そして最後に言った言葉
ずっと忘れずにいたいから
ずっと覚えていたいから
君を苦しませたすべてのものから
君を守る為にその為に生きてきた
それは君にとって救いの場所に
結局なれなかったやっぱりそうだよね
君が風のように逝ってしまった後
胸につかえたまま吐き出せぬ思い
君が最初に言った言葉
そして最後に言った言葉
それは今も僕のことを
ずっと悩ませ続ける
君がこの世界に見つけられなかった
愛をぼくはいつか見つけるだろうか
君が最初に言った言葉
そして最後に言った言葉
それは今の僕にとって
生きて行く心の支え
君が最初に言った言葉
そして最後に言った言葉
ずっと忘れずにいたいから
ずっと覚えていたいから
(『六月の雨』三輪真理作詞・作曲)