池泉回遊式大名庭園である『中津万象園』は、丸亀藩主である京極高豊の命によって貞享5年[1688]に丸亀市中津町に造られました。庭園名は森羅万象を由来としているそうです。京極氏の故郷である近江国の琵琶湖をかたどった八景池が掘られ、帆、雁、雪、雨、鐘、晴嵐、月、夕映と近江八景になぞらえ名付けられた島々が浮かび、橋で巡るようになっています。丸亀市指定の名勝にもなっています。
【中津万象園|2016年3月12日|Canon EOS 50D】
京極家は、鎌倉幕府の御家人であった佐々木信綱の子・佐々木(京極)氏信を祖とします。琵琶湖の北あたりを領国とし、鎌倉・室町・戦国時代を過ごします。高豊の曽祖父である京極高次は福井県の小浜を領国としていました。高次の妻は初で、信長の妹・市の娘で、浅井三姉妹の一人であります。姉の茶々は豊臣秀吉の側室・淀殿で、妹は徳川秀忠の正室・江となります。その後京極家は、島根県の松江を経て、丸亀藩の藩主となったのが、高豊の父・高和です。丸亀藩は6万石弱の小さな藩ではありますが、織田家や豊臣家や徳川家とも関係の深い家柄だったともいえます。
【中津万象園|2016年3月12日|Canon EOS 50D】
写真右の建物は、現存している煎茶の茶室としては最古のものだそうで、丸亀市指定有形文化財でもあります。昨年、建築当時の姿へ復元改修されています。
庭園は、松を中心に構成されていて、小さな大名庭園ではありますが、なかなか見ごたえのある庭園です。丸亀市に来られた際には是非足を運んでみてください。
【中津万象園|2016年3月12日|Canon EOS 50D】
【中津万象園|2016年3月12日|Canon EOS 50D】