Piano Music Japan

シューベルトピアノ曲がメインのブログ(のはず)。ピアニスト=佐伯周子 演奏会の紹介や、数々のシューベルト他の演奏会紹介等

シューベルトが手本にしたベートーヴェンソナタ第16番ト長調 前編(No.1923)

2011-08-25 21:27:39 | 作曲家・シューベルト(1797-1828
 もし、ベートーヴェンが57才まで生き延びずに「シューベルト死亡と同じ31才で没していたら」を想定してほしい。作品番号で言えば、作品29までの全ての作品と、「プロメテウスの創造物」作品43と ピアノ協奏曲第3番ハ短調作品37 などが作曲済み、と伝えられているが定かで無い点もある。(特にピアノ協奏曲第3番)
 ベートーヴェンは「モーツァルトを目標」にしていた。シューベルトが「ベートーヴェンを目標」にしていたように。モーツァルトは(シューベルトの31才ほどは短くなかったが)35才で死んだ。31才になったベートーヴェンは思った。「傑作の森が無いぞ!」と(まさか!)

ベートーヴェン「傑作の森」の通常数えられる「傑作」



  1. ヴァイオリンソナタ第9番イ長調「クロイツェル」作品47


  2. ピアノソナタ第21番ハ長調「ワルトシュタイン」作品53


  3. 交響曲第3番変ホ長調「英雄」作品55


  4. ピアノソナタ第23番ヘ短調「熱情」作品57


  5. ピアノ協奏曲第4番ト長調作品58


  6. 3曲の弦楽四重奏曲「ラズモフスキー」作品59


  7. ヴァイオリン協奏曲ニ長調作品61


  8. 交響曲第5番ハ短調「運命」作品67


  9. 交響曲第6番ヘ長調「田園」作品68


  10. 歌劇「フィデリオ」作品72


  11. ピアノ協奏曲第5番変ホ長調「皇帝」作品73



 この作品(とこの後の作品)が存在しなかったら、「悲愴」「月光」「春」くらいしか人気作が無い?(爆


 特に、ピアニストとして絶大な人気を博していたベートーヴェンにとって、ピアノソナタは何とか質&量でモーツァルトにひけを取らない、と言える作品群が作曲されていたが、ピアノ協奏曲が質&量で劣っていた。量はともかく、質が K453,K466,K491 などにはっきり劣っていたことは実感していたようだ。「このままではいけない!」
 さらに(後世から見ると異様だが)「交響曲」も1曲しか作曲していなかった! 凄い人気作だったのだが、モーツァルトにも「誰が聴いても名作」の5曲(「リンツ」「プラハ」「後期3大交響曲」)があった。何が何でも6曲は書かなければいけない!!


作風を意識的に「大規模」にしたベートーヴェン


  この言葉、当ブログ読者だと、覚えているでしょ。「シューベルトの中期」「シューベルトの後期」がベートーヴェンを目標に邁進したことを何度となく書いてきたから。ベートーヴェンも(生涯で1度だけ)実行している。この目的で2曲が作曲された。

  1. ピアノソナタ第16番ト長調作品31/1


  2. 交響曲第2番ニ長調作品36



 上が「協奏曲」下が「交響曲」で、それぞれ モーツァルトの K453, K504 が直接の手本になった。(後者についてはK297 & K385も手本にした可能性あり)

ベートーヴェン:ピアノソナタ第16番は、モーツァルトピアノ協奏曲K453を直接の手本にして「協奏曲の作曲技法」を習得した名曲


である。詳細は後編で。
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