Piano Music Japan

シューベルトピアノ曲がメインのブログ(のはず)。ピアニスト=佐伯周子 演奏会の紹介や、数々のシューベルト他の演奏会紹介等

作曲家論 : ガーシュイン第6回 (No.1351)

2006-08-26 17:41:59 | 作曲家・ガーシュイン(1898-1937
 本日号では、ガーシュインの自作自演以外の「ピアノソロCD」を紹介する予定だったが、『演奏の良いのに限って廃盤』になっている様子。 う~ん、「ラプソディー・イン・ブルー」以外は売れないのか?
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「ラプソディー・イン・ブルー」Best3 CD 一挙同時批評!



 ガーシュインのピアノソロ曲は、ガーシュイン本人の遺した演奏も音も良いので、それで良し、としたい。
 ・・・で、問題は「ラプソディー・イン・ブルー」である。 問題が2つある。

  1.  信じられないほど大きなカットがある!
  2. ソロ曲に比べて、音質があまり良くない

 2番目は、音質に目くじら立てない人には、問題ないことだ。 問題は「カット」である。
  •  18:05 ← 手元の最も長い演奏時間のCD
  •  09:10 ← ガーシュイン自作自演

 う~ん、テンポの問題もあるので、「半分」では無いのだが、信じられない大幅カットがある。 アメリカの ワーナー・ブラザーズ社 の「通常オーケストラ版スコア」には「カットして良い」指示が 4ヶ所あるのだが、そんなレベルでは無いことをここに明言しておく。
 これまで評判を取ってきたCDの中から、「ガーシュインほどのカットの無い」CDの ベスト3 を取り上げる。ガーシュイン並みのカットがある盤ならば、自作自演盤の方が良いぞ!(プレヴィン盤とかの信じられない「大カット」を薦めるオンガクヒョーロンカを私高本は信じない!)

第1位 レヴァイン(ピアノ & 指揮)シカゴ交響楽団 (DG 431625)





1,924円(税込)



  • 演奏   :☆☆☆☆☆
  • 資料価値:☆☆☆☆
  • 音質   :☆☆☆☆☆


 「普通のオーケストラ版を、とにかく最高の演奏&音質で聴きたい」人には、コレ1枚あれば良い! 細かい箇所では、「グローフェのオーケストレーション」に満足しないで、隠し味で打楽器を追加したりしているが、

基本的に世界中の ラプソディー・イン・ブルー オケ版の模範演奏を狙い成功した演奏


である。
 まず、レヴァインのピアノが何とうまいことか!!! ガーシュイン本人よりもうまいかも!? そして「弾き振り」とは思えない 「精密にして 踏み込みの良いオーケストラ演奏」が魅力。 シカゴ響 だから当然?! 管の鳴りも素晴らしいが、弦の力感も 全ての同曲演奏中最高だ!
 尚、「カットが全く無い」演奏は貴重なことをここに記す。 ピアノが難し過ぎるんだよね。

第2位 トリット(ピアノ)クンツェル(指揮)シンシナティジャズオーケストラ (TELARC CD-80166)






  • 演奏   :☆☆☆☆☆
  • 資料価値:☆☆☆☆☆
  • 音質   :☆☆☆☆☆


1,290円(税込)



 「ガーシュインのオリジナルを完全に復元した演奏」はコレ! ブラスバンド + ヴァイオリン8本である。 指揮者クンツェル は同曲2度目の録音であり、「通常版」との違いも完全に掌握している。 ピアニスト トリット がわずかレヴァイン に及ばないかも。(速いパッセージ)
 「ガーシュインの頭に浮かんだオリジナルを聴きたい人」は絶対にこのCDを購入のこと! 「通常オーケストラスコア」よりも(おそらく)48小節長いから。「楽譜のママ」でも難しい曲を さらに難しくした演奏なので、ほんの少々 レヴァインのピアノに叶わない。あぁ。

第3位 ロルティ(ピアノ)デュファッロ(指揮)オランダ管楽アンサンブル (CHANDOS CHAN-9210)



  • 演奏   :☆☆☆☆
  • 資料価値:☆☆☆(← トリット&クンツェル盤の後の録音だが、後退した解釈なので)
  • 音質   :☆☆☆☆☆


3,617円(税込)



 「ガーシュインのオリジナル編成を、通常のスコアと同じ小節進行」で聴きたい人にはコレ。 ロルティは「3回目の録音」になり「手の内に入っている」のだが、それがちょっと裏目に出ている。 う~ん、難しいものだ。

  1. デュトワ指揮 モントリオール交響楽団盤(Decca)
  2. ピアノソロ盤(CHANDOS盤)
  3. デュファッロ指揮 オランダ管楽アンサンブル(CHANDOS盤)


の順番で録音しており、前2回に比べものにならないほど「手の内に入った表現」が魅力。反面、「オリジナル通り」に戻すのに、抵抗があるのだろう。
  • バックは「オリジナル ブラスバンド版」 であるのに
  • ピアノは「グローフェ編曲 オーケストラ版」 になっている

 ロルティ は、腕利きのピアニストだが、前々から「以前に習得したクセが抜けない」傾向があり、「ピアノソロ版」でも 楽譜に無い 2小節(おそらくグローフェがガーシュイン死後に無断で加えた)を 勝手に(オケ版に合わせて)補筆して録音している。 思い入れのあるピアニストほど、こんなことがおこるのかも。「腕利き」なだけに、私高本としては少々残念。
 尚、ここだけの話だが、「ロルティ(ピアノ)1回目の録音 = デュトワ指揮 モントリオール響盤」は、音をいじりまわし過ぎて「ブッ壊れている」ので、ハズした方が無難。ナマの演奏会では「絶対に聞こえない」ヘンテコなミキシングが気持ち悪い。 Decca盤エンジニアは耳があるのか? 信じられない思いである。
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