前号の続きである。
1819年11月から「中期」に突入した シューベルト は、次々と「解決策の回答」を得る。「初期」にも「糸を紡ぐグレートヒェン」作品2D118 や 「魔王」作品1D326 などの超名作が続々あるのだが、
だった。後世ドイツリートの大作曲家の後輩となった ヴォルフ のような「作品体系」では シューベルト は満足できなかったのである。(ヴォルフの作品は短いが濃いぞ!)
「私高本説のシューベルト中期」の作品について、多くの 音楽学者とヒョーロンカ は、弦楽四重奏曲第12番ハ短調「断章」D703 が重要、と書いているが、私高本は同意しない。
以上の7曲が「後期のシューベルト」を形作った、と思う。これに
を加えても良いと思う。
この中で「規模の拡大に寄与した名曲」は間違いなく「美しき水車屋の娘」である。まず、全体構想が(シューベルト自身だけでなく、ベートーヴェンやモーツァルトやハイドンと比べても)素晴らしい。
この一覧をご覧になって気付いてほしいことがある。
ことを! ミサ曲で「ソプラノが風邪気味なので、半音下げて ト長調にしました」なんて演奏は絶対に無い(爆
このような環境で シューベルト は、「ベートーヴェン並みの大作曲家への道」を歩んだ。大事な大事な シェーンシュタイン男爵 からの委嘱作品も(シェーンシュタイン男爵自身はバリトンなのに)「心の声」に従って「テノール用」に作曲した。シューベルト自身もバリトンだったのだが(苦笑
である。「緩徐楽章」をたっぷり聴かせるのが「シューベルトの特性の1つ」だが、「美しき水車屋の娘」から既に芽が出ているではないか!!!
・・・で、「調性の話題」である。この曲集を聴く時、私高本は「第2曲はト長調で無いと変」に感じる。多くの場合、ヘ長調で演奏されるのだが(涙
が特徴。中期には確立しなかったが、弦楽四重奏曲D887 や ピアノソナタD894 や ドイツミサD872(この順の作曲だよ~ん!) で明らかになっていく。これがヘ長調やホ長調で「鳴る」と違和感大なのだ!
第3曲「どこへ?」も、ハ長調でないと変。「明るく開放的で大規模な曲」の特徴。交響曲第8番「グレート」D944 とか 弦楽五重奏曲D956 とか 「さすらい人」幻想曲作品15D760 とか。これが変ロ長調とかイ長調で鳴ると調子が悪い。
第10曲は特に「調性」について違和感が大きい曲の1つ。「明るいイ長調」から「暗闇のイ短調」での終曲へ。この落差は「ト長調 → ト短調」とかでは実現しない! この長い長い曲集でたった1回だけ「憧れの女性の肉声」が聴ける曲がこれ。その冷たい言葉は「イ短調」だからこそ、効果が上がる。
1819年11月から「中期」に突入した シューベルト は、次々と「解決策の回答」を得る。「初期」にも「糸を紡ぐグレートヒェン」作品2D118 や 「魔王」作品1D326 などの超名作が続々あるのだが、
当時「現役作曲家のベートーヴェン」を越す = 規模の拡大 が必須
だった。後世ドイツリートの大作曲家の後輩となった ヴォルフ のような「作品体系」では シューベルト は満足できなかったのである。(ヴォルフの作品は短いが濃いぞ!)
「私高本説のシューベルト中期」の作品について、多くの 音楽学者とヒョーロンカ は、弦楽四重奏曲第12番ハ短調「断章」D703 が重要、と書いているが、私高本は同意しない。
シューベルト中期(1819.11 - 1825.03)の代表作一覧
ミサ曲第5番変イ長調D678(1819.11 - 1822.09)
交響曲第7番ロ短調「未完成」D759(1822.10.39 - 11)
「さすらい人」幻想曲ハ長調作品15D760(1822.11)
ピアノ五重奏曲イ長調「ます」D667(1823夏)
「美しき水車屋の娘」作品25D795(1823.10 - 11)
弦楽四重奏曲第13番イ短調「ロザムンデ」作品29-1D804
弦楽四重奏曲第14番ニ短調「死と乙女」D810
以上の7曲が「後期のシューベルト」を形作った、と思う。これに
「しぼんだ花」による変奏曲(1824.01)D802
8重奏曲ヘ長調D803(1824.02 - 03.03)
を加えても良いと思う。
この中で「規模の拡大に寄与した名曲」は間違いなく「美しき水車屋の娘」である。まず、全体構想が(シューベルト自身だけでなく、ベートーヴェンやモーツァルトやハイドンと比べても)素晴らしい。
この一覧をご覧になって気付いてほしいことがある。
「美しき水車屋の娘」作品25D795以外は全て『調性が決定している曲』である
ことを! ミサ曲で「ソプラノが風邪気味なので、半音下げて ト長調にしました」なんて演奏は絶対に無い(爆
このような環境で シューベルト は、「ベートーヴェン並みの大作曲家への道」を歩んだ。大事な大事な シェーンシュタイン男爵 からの委嘱作品も(シェーンシュタイン男爵自身はバリトンなのに)「心の声」に従って「テノール用」に作曲した。シューベルト自身もバリトンだったのだが(苦笑
「美しき水車屋の娘」作品25D795の構成
第1~12番までは(第5曲唯1曲を除き)長調
第13番で「緑(grunen)」と言う言葉が出てくると、最終曲=第20番まで呪ったように「緑(grunen)」が付き纏い、主人公は死ぬ
第7番「焦燥」で、最高音=2点A が(1曲だけ)出る
第10曲「涙の雨」で、初めて「イ長調で開始されたのに、同主調=イ短調」で終曲する
第11曲「私のもの!」で、初めて「ff」が使用される
第17曲「嫌いな色」で、3曲目(にして最後の)「ff」が使用される
全体構成として、「第1楽章相当 = 第1~第3番」、「第2楽章相当 = 第4~第10番」、「第3楽章相当 = 第11~第12番」、「第4楽章相当 = 第13~第17番」、「コーダ相当 = 第18~第20番」
全20曲は「主調」または「同主調」で終結する
である。「緩徐楽章」をたっぷり聴かせるのが「シューベルトの特性の1つ」だが、「美しき水車屋の娘」から既に芽が出ているではないか!!!
・・・で、「調性の話題」である。この曲集を聴く時、私高本は「第2曲はト長調で無いと変」に感じる。多くの場合、ヘ長調で演奏されるのだが(涙
「シューベルトのト長調」は、「遅めのテンポ」で迷いながらも、明るく確立される!
が特徴。中期には確立しなかったが、弦楽四重奏曲D887 や ピアノソナタD894 や ドイツミサD872(この順の作曲だよ~ん!) で明らかになっていく。これがヘ長調やホ長調で「鳴る」と違和感大なのだ!
第3曲「どこへ?」も、ハ長調でないと変。「明るく開放的で大規模な曲」の特徴。交響曲第8番「グレート」D944 とか 弦楽五重奏曲D956 とか 「さすらい人」幻想曲作品15D760 とか。これが変ロ長調とかイ長調で鳴ると調子が悪い。
第10曲は特に「調性」について違和感が大きい曲の1つ。「明るいイ長調」から「暗闇のイ短調」での終曲へ。この落差は「ト長調 → ト短調」とかでは実現しない! この長い長い曲集でたった1回だけ「憧れの女性の肉声」が聴ける曲がこれ。その冷たい言葉は「イ短調」だからこそ、効果が上がる。