2017年のノーベル賞受賞者が日本からでなかったことは、2000年以降、日本人ノーベル賞受賞者が続いたことの終宴ではないかという感想を言う研究者も少なくない。
平成11年ころから大学の法人化が検討され、平成15年に法制化されている。これにより、大学の研究費や定員が削減され、大学人は研究費を自分で確保しなければならなくなり、そのために大きな時間が消費されることになった。それとともに、研究時間が大幅に減り始めたと、国立大学の教官は言っている。特に、若手の准教クラスに対する影響が大きいという。そのため、質の高い研究が少なくなり始めている。下記の論文数を見ても、2000年の初頭をピークとして漸減の傾向がみられる。
中国の急速な成長で、米国などの科学先進国の地位が相対的に低下している。だが、日本の論文数の減少は、他の先進国と比較しても突出している。なぜこれほど減っているのか。ネイチャーは、その要因を国としての予算配分にあると指摘した。
「日本政府の研究開発支出額は、世界で依然としてトップクラスであるものの、2001年以降ほぼ横ばいです。一方で、ドイツ、中国、韓国など他の国々は研究開発への支出を大幅に増やしています」
東京に長く滞在経験のあるネイチャーの記者、デイヴィッド・シラノスキー氏も指摘は驚くべきことではないと言う。「過去10年以上にわたり、日本の論文数は増えも減りもしなかった。研究費が減り大学定員数も削減されているから、なぜなら、人口増加、経済成長、科学予算のすべてが横ばいだからです」