台風の情報は、刻々と知らされる。
いまやあらゆる情報が瞬時にして得られる時代になった。
またもや、古い話でごめんなさい。
戦時中(第二次世界大戦中)は、気象情報は軍の機密であり一般には知らされず、農民は天を仰いで雲や風の動きで読み取るしかなかった。
雨でなく、爆弾の雨が降ってくる時代、警戒警報から空襲警報の発令まで、ほとんど間がなく、サイレンがなると同時に敵機が頭上に来ていて防空壕に駆け込むまもない。
信じられない大本営発表、それに代わって大空から降ってくるはアメリカの飛行機から撒かれる「伝単」(チラシ)は、日本語で書かれたもので、はやく戦争をやめて降伏を勧める内容。
稲の苗が植えられたばかりの水田に、日の光に照らされてチラシはひらりひらりと舞い降りてくる。高空から撒かれるチラシは、どれくらいの枚数なのか、田畑や、樹木、家々の屋根にとあたり一面に降り注ぐ。
空の青、チラシの舞散る輝き、水田の鏡のような反射。何事もない時代なら、美しい農村風景。 田舎の「小国民」(戦時下の少年の呼称)の心に焼き付いている。当時、都会から疎開してきていた人たちも、同じ体験をしていて今は、七十歳前後であろう。
戦争の体験が薄らぐ中で、戦争を知らない政治家や、国の中枢にある人々が、憲法の改正や自衛隊の海外派遣(軍隊?)を急いでいる。防衛庁が、防衛症防衛省になり、女性の大臣がジャンヌダルクともてはやされて、閲兵式に臨む。
「おもちゃの兵隊」チャチャッチャじゃないよ。国の借金が増大する中で、多額の防衛費が支出されるのだから。真剣に考えて下手な兵隊ごっこは、やめようよ。