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『あざみの歌』は まだ歌えますか

泣いて、笑って、歌って介護!!そんな日常の過去の記録と
新たに今一度自らを見つめてぼちぼちと戯言なりを綴ります。

今日は東へ明日は西へ

2012年06月07日 02時05分27秒 | かぁちゃんにまつわる話
昨日は南へはたまた北へ
足の向くまま気の向くまま、こちらの思いに素知らぬ顔で、何ゆえ傾くおっかさん!!

かぁちゃん、上半身の傾きが半端なく、笑いを取ろうとしているのかと思う程の状態がかれこれ2か月。
以前から傾くことは度々あったけれど、近頃はその勢いが増して殆ど“くの字”に曲がってしまう。
日替わりで左へ右へ時には前へ・・・かと思えば何事もなかったようにしゃんとまっすぐ座っている事もある。
あっっぶねぇと、時折ひやっとするのは、椅子に座らせて靴を履かせている時で
足元に気を取られていると、上半身が墜落しそうなくらい傾いてしまうので
片手で上半身を支えながら右手だけで靴を履かせる。なかなか私の右手は器用である

それに、以前から支え無ではもちろん歩けないのだけれど
いやいや、ほんっとに直立が出来ない。いつも斜めってる。
それでも、手を引けばちゃんと足は交互に出せるので、しっかり前進可能である。
ただ、普通にお行儀良く手を引いていては支えきれない程傾くので、ちょいとこつがある。
傾きのある方の手を肩よりぐんと高く挙げて、もう片方は腰のあたりで手を繋ぐ。
挙げた方の手でバランスを取るのが決め手となる。そうすると
動きにくい方の左足がつま先しか床についてはいないけど、結構平気で歩いている。
でも、一番安定するのはかぁちゃんの左側に立ち、私の右手とかぁちゃんの左手を組んで
左手でかぁちゃんの右手を掴んで前方に突き出して前進。これだと危なげなく歩ける。
・・・まるでダンスしているような気分にもなれる

障害物がなければそのままスムーズに行くのだけれど
誰かの靴がデンッと玄関にあると、かぁちゃんはそのままピタリと止まる。
なので、私は右足で靴を片方ずつつまんで横へ移動。夏ならではの便利さである(裸足だも~ん♪)
ちゃ~んと綺麗に揃える事が出来るのだから、なかなか私の右足の指は器用である
(そう言えば、ず~っと昔、ぴぃを足の指で抓っていじめて・・・いや、遊んでたっけ。)


傾きが酷くなった頃から併せて酷くなったのが右手の震え。
左手はもう随分長く握りこぶしのままなので、食事の時も右手だけを頼りにしてるのに
小刻みに震えるのではなく、大振りなので器にフォークを打ち付けちゃって
カンカンカンカンと派手な音を立てる事がしばしば。
まるで半鐘を鳴らしているような騒がしさである。
けれど、その手を持って口に持って行くと、あら不思議。
その後しばらくは、ちゃんとご飯をすくって口に運んでいるからたいしたものだ。

と言う事は、この手の震えはパーキン野郎が悪化したのではなく別の理由があるのかな?
確かにいつも震えているのではないので、ひょっとするとかぁちゃんの数少ない自己表現の一つなのかもしれない。

と言うのも・・・
「かぁさん、ちゃんと返事してくれるんですよ。」と馴染みのデイのスタッフさんがいつも言ってくれるのだ。
そして何かと話しかけては「ほら、うんって♪」・・・確かにかぁちゃんはコクリと首を落とす。
落とした首は上がって来ないので下を向いているようにしか見えないのだけれど
それから気を付けて事あるごとに話しかけると、やっぱり首を下に向けている。これはなかなか楽しい♪

ある日、珍しくぴぃと話しながらかぁちゃんをトイレへ連れて行こうとしていた時である。
「かぁちゃんもばぁちゃんを看てたんやからしゃぁないわなぁ。」としみじみとぴぃが言うので
「そやけど、あん時は足掛け5年やったやん。かぁちゃんはもう10年やで。」と私が大きな声で答えると
かぁちゃん、喉の奥から絞り出すように「んんんっ!」と音を発したのだ。
きゅるきゅるでなく、んんん!なんだってばっ!!!


・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・。
・・・・・・・・・う・・・うっそ~っ!?

ぴぃと顔を合わせて同時に叫んだのは言うまでもない。


かぁちゃんは私たちが思っているより理解できている事がたくさんあって
風の向くまま気の向くまま、今日は東へ明日は西へ。心は気儘に旅したりしてるのかもしれない。
そんな風に思ったらちょっと楽しい。



あのさ・・・だったら、傾くなよ~っ!!







コメント (2)
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