「美」を愛する人へのメッセージ

岩国市を中心に「いろ・色・パステル画」展を開催しています。また、「美」という大きなテーマに向かって発信していきます。

「憧れと和」・・友末さんの作品から

2011-04-30 07:56:10 | 「友末冨美子さんの作品」

「やまぐちフラワーランド」を裏手から見ると、こんな風に見えます。そこには華やかな「花」の色彩はなく、淡い色調につつまれた木の葉の色が見えます。

また、こうした休憩所の側には、紫色の花が並んで咲いていて、どこか落ち着いた空間を作り上げています。

友末さんの作品にはそうしたものがあるように見え、その色合いもどこか共通点があるように見えました。

 

また、「違うもの」への「憧憬」のようなものが見られ、それを表現しているように私の目にはうつりました。

 

人は誰もが、「異質」なものに対して、「嫌悪」か「憧憬」のような両極端のものを持っており、我々の世代はどちらかと言えば「憧憬」のようなものがあるのではないでしょうか。

 

特に戦後、アメリカに対する日本人の「憧憬」は極端なものがあり、その文化や暮らしに対する憧憬が今の日本を作ったといっても過言ではありません。

 

という私も子供の頃、「アメリカ」に憧れ、アメリカのような暮らしに近づきたいと思ったものです。

 

そうしたことは日本人の心に大きな力を与え、大きな起爆剤になってきました。

 

しかし、一端そうしたものが実現し、身近なものになると、そこから新たに自分たちの根底にある文化を見直す場面が出てきます。

 

そこには「原日本的」な心がよみがえり、心落ち着ける空間が欲しくなります。

そうしたことをイメージしながら友末さんのパステル画を見ると、とてもよく理解できる作品になっています。

 

「アメリカ」と「日本」、この二つの国を行き来している心の葛藤の中に、「日本」という捨てられないものがあることに気づくと思います。

この画像の花を見ていると、そうした曲がり角にきている我々の考え方が見えてくるようで、とてもおもしろいものを感じてしまいます。

しかし、「日本人」にとって、「和」と言うものはいつまでも忘れたくないもので、失われつつある「和」を持ち続けたいと言う願いはあります。

 

今「東北」では大震災にみまわれ、たくさんの人が困っています。しかし、日本人はあわてることなく「協調」してこの難関に対処しています。

 

「暴動」の一つも起こらず、不平不満も言わず、みんなで協力しながら復興しようとするその姿に、外国人は「驚異」としてとらえ、信じられないものとして伝わっています。

 

それほど、日本人の心には「和」というものが存在し、違和感なく受け継がれている証だと思います。

 

「日本」という存在を思い出さしてくれたのも、友末さんの作品を見たからにほかなりません。

 

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「静と動」・・中村さんの作品から

2011-04-30 07:56:10 | 「中村伸之さんの作品」

「やまぐちフラワーランド」の中で、「イベントホール」からの眺めはこうしたものになります。

 

「花」が見えない空間にあると、とても穏やかですが、どこか人の持つ「精神性」を感じてしまいます。

それとよく似た作品に、中村さんの「青海島遠望」という作品がありました。

 

水平線に浮かぶ島々と作者の間にどこか会話のようなものが見られますが、その会話は現在の問題点を浮き彫りにしているかのように見えました。

 

今、日本ではものが溢れ、いろいろな虚飾に囲まれて生きていますが、そうしたものをいっさいのけると、そこには「自然との正面からの対話」が見えてきます。

 

単純に「自然の存在」だけに目をうつすと、そこには「人」の「原点」さえ見えてきます。

 

そうした静かな空間の中で「思索にふける」喜びのようなものが伝わって来ます。

そうした「静」の時間を共有できる花は、これではないかと写真にとりましたが、どこか心休まる色彩になっています。

一変して、「菜の花」というこの作品に、目をうつすと「春の訪れ」という場面を中村さんは歓喜を持って描いていることがよくわかります。

 

「黄」という色調を使って、心の躍動感を表したこの作品から、「心の動き」を感じ取ってしまいます。

 

「ゴッホ」が「アルル」にうつってから描いた作品の中に、「ひまわり」や「麦畑」「夜の照明」という場面でさかんに「黄」を使い、「喜び」と言うものを「黄」で表現しています。

 

そうした関連からもこの「黄」の持つ色調は、「気分の高揚」を感じ取ってしまいます。

 

前の作品が「青」を色調にしているのに対し、この作品は「黄」を色調にしています。中村さんに「どうしてこういう変化がでたのか」聞きましたが、「自然とこうなった」という答えが返りました。

 

それは、裏を返せば、人の「心の起伏」がいつも同じでないことの説明にもなります。

 

いつも心の中が変化していることは、ある意味ではとても大事なことのように思えます。

「黄」からのイメージで、園内を回るとこういうものに出会いました。会場に来た人々を祝福するかのようなこの形態と色はまさに「心の喜び」を私たちに教えてくれます。

 

また、こうした「すえひろがりの黄」は、それらを讃えているかのように見えて仕方ありません。

 

「静と動」の二つの相反するものが、どういう場面でも働いて要ることが良くわかり、どこか「哲学の世界」を浮遊している感覚に陥りました。

 

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