国際情勢の分析と予測

地政学・歴史・地理・経済などの切り口から国際情勢を分析・予測。シャンティ・フーラによる記事の引用・転載は禁止。

日本の文系エリートと理系エリート

2011年10月15日 | 日本国内
 私がこの統計で言いたいことは、日本のエリートは旧制中学・新制高校で見ると文系が東京一極集中、理系は首都圏は弱く関西を中心に中部地方にかけての地域にやや集中する傾向があることである。日本では旧制高校や新制大学受験の時に文系・理系を分けるので、旧制中学卒業の17才又は新制高校卒業の18才の時点での地域の環境が進路決定に大きな影響を与えていると思われる。  冷戦崩壊後にオフィスにIT機器が導入され、インターネットが普及するようになってビジネスの環境は激変した。IT技術とインターネットを利用して高い人件費を節約して価格競争力で勝負するビジネスモデルが圧倒的に強くなり、既存のビジネスモデルの多くが危機を迎えている。個人投資家はネット証券に大挙して移動した。新聞やテレビ・雑誌は利用者が減って売り上げが激減している。出版業界はペーパーレスへの移行に抵抗しているが無駄な努力であり、iBookなどの電子端末に急速に移行することは確実だ。生命保険や損害保険も多数の営業マンを雇うビジネスモデルは破綻しており、恐らくネットの安い保険に完敗していくだろう。銀行や商社も過当競争の中で利幅は削られていくだろう。株式などの自己売買部門も、愚かな個人投資家が材料に素直に反応するのでその逆に価格を動かすことで無理矢理儲けを出している様な印象を持っており、決して価値を作り出している訳ではない。今後は利潤目的の機関投資家の短期売買は規制されていく可能性がある。 まとめると、結局起きているのは、自ら価値を作り出さず、理系技術者や芸術家が生みだした価値を搾取して高給を得ていた文系事務職・営業職が大量に失業していくという事態であり、これは現在進行形であって今後も進行し続ける。その結果、文系大卒者の高給の職場はどんどん減っていく事になる。そして、理系研究者や芸術家などの価値を生み出せる職が相対的に優位になる。 首都圏は中央官庁や大企業の本社が集中し、高度成長時代の膨大な事務職の需要で繁栄してきた。この強みが今や弱点に変わりつつある。文系重視で理系の研究を軽視する首都圏の文化が、21世紀の首都圏の衰退を生み出すことになるだろう。そして、理系研究職を重視する関西や中部地方が日本の繁栄の中心になっていくだろう。囁かれる大阪空港跡地や大阪駅北側貨物駅跡地への首都機能部分移転はそれを更に強めることだろう。 . . . 本文を読む
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