国際情勢の分析と予測

地政学・歴史・地理・経済などの切り口から国際情勢を分析・予測。シャンティ・フーラによる記事の引用・転載は禁止。

東南アジアで深まる日中両国の勢力争い

2011年10月17日 | 東南アジア・南アジア・オセアニア
10月5日にタイのメコン川で中国人船員の乗った船が武装勢力に襲撃され、中国人船員13名全員が死亡又は行方不明になるという事件が起きた。中国の国内世論は沸騰し、中国軍の派遣を主張する声が強くなっているという。この事件は表向きはミャンマーの麻薬密売組織が実行したとされるが、ミャンマーの麻薬密売組織は中国国民党系で中国人と仲が良いこと、タイ軍に押収された麻薬はモーターボートでも運べる量で、2隻の大きな船を奪う必要はなかったこと、さらに、麻薬グループの目的は金銭であり、残虐なやり方で船員を殺害して中国を怒らせる必要はないという分析もあり、謎が深い。しかし、この事件以後メコン川の中国船舶は激減しているという。私は、中国のシーパワーがメコン川流域に及ぶのを恐れたタイがミャンマーと組んで中国船舶を追い出すためにこの事件を実行したのではないかと考えている。 日本と東南アジア諸国連合(ASEAN)が11月中旬にインドネシアで開く首脳会議で、8年ぶりに「日ASEAN共同宣言」を採択することも決定された。海洋活動の拡大を続ける中国を念頭に、日本とASEANの間で海の安全保障分野での協力を推進する内容を盛り込む方向だという。明らかにASEANは中国ではなく日本の勢力圏に入ることを選択している。台日米安全保障シンポジウムも、台湾が米国のアジアからの撤退後に日本陣営に入ることを反映していると思われる。 米国のアジア撤退後の東アジア国際システムは固まりつつある。ASEANと台湾は日本の勢力圏になり、韓国は済州島に脱出して日本の衛星国になり、半島を統一する北朝鮮は帝国陸軍人脈で日本と結びつく。中国は衛星国を保有することが出来ず、モンゴルと朝鮮を緩衝国として保有するに留まる。そして、将来的には上海や大連などの沿海部大都市が独立状態に移行して日本の衛星国になっていくことだろう。 . . . 本文を読む
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