マスミンのピアノの小部屋

ピアニスト兼ピアノ指導者松尾益民が、ピアノや教育、世の中の出来事など日々感じることを、徒然なるままに綴ります。

ドビュッシーの「喜びの島」

2012-11-29 23:58:02 | ラ・プロムナード・ミュジカル
今回のプロムナード・コンサートで最後に弾くのは、ドビュッシーの「喜びの島」、コンサートの最後にふさわしい華やかな曲です。
1904年の作といわれるこの曲は、ロココ時代のフランスの画家ワットーの名画で、ルーブル美術館にある「シテール島への船出」から着想したと言われています。

この絵は、もともと「シテール島への巡礼」という名前だったそうです。
この絵が成功して、そのレプリカの依頼があり、もう1作描いています。
シャルロッテンブルク城にあるレプリカの方が少し華やかになっています。

シテール島は、ギリシア神話の愛と美の女神アフロディテ(ヴィーナス)が祀られていて、恋人たちはそれにあやかるべくこの島に詣でたと言われています。
「シテールへの船出」の絵は、シテール島へ行くところか、帰ってきたところか、いろんな説があるようです。
シテール島は、ギリシアの南、エーゲ海の入り口にある「キティラ島」のこと、海の美しい島です。

さて、ドビュッシーがこの絵に「喜びの島」の着想を得たという話、実は確かな話ではないようです。
しかし、ピアノの技巧を最大限に発揮して愛の喜びを表現したかのようなこの曲は、この逸話がありそうな話に思えるのも事実です。
絵画的な色彩感にあふれています。
当然のことながら、演奏は難しい…。
音型の突然の変化、右手の3,4,5の指の速い動きの多用、4和音、5和音の連続…等々、苦労していますが、喜びを最大限表現できるよう頑張っているところです。

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