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    by ぷーどる♂ & ぷーどる♀

ミュシャ館 ~ミュシャとラリック 花々と植物の形~

2019-08-07 09:48:15 | ぷ♂の日記
昨日は久かたぶりにミュシャ館まで行っておりました。
毎回いろいろな企画展示で楽しませてくれるこの美術館。
さて、今回の企画展示はといいますと…

「アール・ヌーヴォーの花園
ミュシャとラリック 花々と植物の形」


DSCN3971.jpg

19世紀末フランスを中心に世界中で主流となった美術様式であるアールヌーヴォー。
そのデザインの根幹は花々や植物の姿かたちをモチーフとしながらも、
本質は、そこから見出される生命力を表現することでありました。
そこで、今回はそのアール・ヌーヴォーを代表する二人の作家、
画家ミュシャとジュエリー職人ラリックの作品を通じ、
実際の花々などがいかにデザイン化されていったかを見ていくというものです。

実はこの二人はお互いに時代を代表する作家というだけではなく、
ミュシャは商業ポスターを、ラリックは香水容器のガラス瓶などを通じ、
芸術を大衆に向けて一般化していったという意味でも共通点があり、
共作ともいえる作品(ユリ)も発表しております。

そういうわけでまずはミュシャ。
彼の作品は写実的な植物のスケッチや、それをもとに図案化したデザイン集をはじめ、
作品中にそういうものが前面に押し出されるものがたくさん展示されておりました。
そしてそれは結果的に、四季四つの星四つの宝石四芸術、などといった連作の展示となったので、
これら一連の連作ファンの私はウハウハものの大喜び!

DSCN3973.jpg

また、そういう連作のみならず、菓子会社の景品用のカレンダーの同様な連作も展示してあり、
これは非常に珍しく直に見るのは初めてだったのでとても嬉しかった♪
また、とある作品(夢想)が、実はもともとは印刷会社のためのPR用の作品であったといった風な、
いくつかの作品にかかわるこぼれ話も面白かった。

また特に今回は、その中に描かれている植物の名前まで記載されていたり、
描かれている植物をその絵画のテーマに沿った形で生け花(造花)にして展示するなど、
内容的にも、見た目的にも立体的な展示方法で非常に楽しめました。

また、ラリックの作品については、私は直に見るのが初めてでしたが、
今まで映像や画像で見たものとははっきりと違い、見る角度による陰影や色彩の変化、
また触れずともわかるその質感に、思わずため息をつきました。

そしてなんといっても、圧巻だったのはそのこだわり!
まるで作品の中に花々そのものを封じ込めようかとするほどの、
意地ともいえる手の込んだデザインに作りこみ。
ですので作品名も、シンプルに題材とした植物の名前にしているものが数多くあり、
いかに自信とプライドを持って製作したのかがうかがわれます。

個人的には、「ケシ」、「フジ」と名付けられたカップとブローチにくぎ付け。
ケシは、文字通り大輪の芥子の花を表したガラスと銀製のグラスですが、
その表現のこだわりが半端なく、形・色彩のみならず、その質感の表現、
とくに花弁と雄しべ周辺の艶や粉っぽさに驚き!
グラスならではの中央にある空間を奥行きとして利用したその大胆さには、
度肝を抜かれ、結構長い間眺めておりました。
また正反対だったのが後者のフジ。
繊細な藤の花はもちろん、うねるような生命力あふれるツル性の幹を、
小さなかわいらしいペンダントの中に見事に納め切るその技量!
先ほどのケシが表現者として、こちらが職人としての真骨頂ではないかと思いました。

さて、そのラリックですがジュエリー作家として成功したのちガラス工芸作家に転身するわけですが、
実は個人的にそれが少し不思議だったのですよ。
「なぜ宝石で成功したのにガラス細工へ?」と、そう感じていたから。
でもその理由が、
「植物の微妙な色彩を表現するには、宝石よりもガラスが適していたから。」
だということを知り、なるほど、と納得!
彼はいわゆる名前よりも、自分自身の求める作品作りを優先したのですね。

この点、ミュシャがヒットした商業ポスターの世界から身を引き、
民族運動に携わる作品を描き始めたのと似ていますね。

そういう目で作品をもう一度見ると、
「確かに、この部分の色彩にかなりこだわったのだろうな…」
とそう思えるものがいくつもありました。

そうそうそう、先ほど書いたように今回はどのような植物をモチーフにしたかが表記されているのですが、
実はそれらの中に、意外なほどに日本固有の植物が多いのですよ!
というのも、19世紀末の世界万博で日本が一大ブームとなりいわゆる「ジャポニスム」ともてはやされ、
それがゆえに、椿、鉄砲ユリ、菊、藤、ボケなどの花々を中心にヨーロッパで日本園芸ブームが巻き起こったのだそうです。
ですが、当時はまだまだ日本の花々は数は少ないうえに栽培するのも難しかったので、
文字通り「高嶺の花」であったから、絵画はもちろん身に着ける装飾品にもそれらが多く取り入れられたのでしょうね。

そんなわけで、今回の展示内容はかなり満足のいくもので、思わずにっこり♪

さて、今回も入館料500円!
(私は前回の半券持参で割引きの400円!)

この金額でミュシャのみならずラリックも楽しめるなんて美術館まずないよ!

電車に乗って来てでも見る価値あり!
何なら自分の足で走っておいで!



今回の企画からでしょうか、
小ぶりながらも個別のパンフレットが製作されておりました。
IMG_1229_20190807104653dcd.jpg
丁寧な造りでとても良い記念になります。

これも嬉しい♪
コメント
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