さて、先日バイクに乗って走り回ったのち、最後にはここに立ち寄っておりました。
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年末の企画展は「ミュシャ・スタイルの秘密」。
いわゆる、あのスタイルの魅力を、モチーフ、構図、そしてデザイン論などをもとに紐解こうという内容です。
「ということは、メインはやっぱあの一連のポスター群だろうな…」
そう思い展示室に入ると、いきなり中に大きな柱!
そしてそれには、カラフルで大小様々なポスターがびっしり!
そう、ポスター黎明期であり絶盛期の世紀末パリの街中を再現しているではないですか!
これは嬉しい予想外!いわゆる一つのサプライズ!
だから、まずはそれらを一つ一つを丁寧に眺めて、
作品時代の中に入り込む準備をしつつ数々の作品へ。
同時代の他作家のポスター作品もあり見どころはたっぷりなんですが、
やはりなんといってもここはミュシャ。
大判で迫力ある作品は、視線をがっちりとらえ放さない。
なるほど、やはりこれは広告というポスターの一番の目的を立派に果たしている。
そして、目の惹きどころからの視線の誘導というか…
どの作品も、最初にモデルの女性に目を奪われ、
そののち、その視線を追うように眺めていくと、最終的には劇場名や商品目に行きあたる。
これが本当に自然な流れで、
ある時は流れる髪の毛であったり、零れる星屑であったり、立ち上がる棕櫚の葉であったり…
ミュシャの言葉に、
「目はカーブを見ると喜ぶ。」
(視線を移動させるのは眼の筋肉に良い刺激となるので気持ちが良い)
というのがありますが、まさにその通り、心地よく視線を誘導してくれている。
よく装飾や構図の美しさが取りざたされるミュシャですが、
実はこういうした視線誘導のセンスもまた、彼を時代の寵児にした大きな要因じゃないだろうか?
そういうことを身に沁みて感じしばし眺め入りつつ次の展示室へ。
で、お次は様々なモチーフや構図のバリエーション。
具体的には、彼が発刊したデザイン集をもとに、そのさまざまなアイディアの源を探るのですが、
つまりそれらは、虫や草花といった自然界のものたち。
だからそういうものをデザイン化する前に、徹底的に、そして時には分解して写実的にとらえている。
その様子は博物学のそれか、もしくは医学書のようですらある。
そういう細部に至るまで見落とすことなく、とことん観察したからこそのあのデザイン。
だからそれは、大まかのイメージの簡略化ではなく、イメージのエッセンスの抽出。
ミュシャは美術講師時代、若い学生にギリシア芸術の鑑賞を勧めませんでした。
その時の言葉が確かこういったような内容。
「洗練された芸術は、そぎ落とされ簡略化したものだから、到達すべき最終地点。
学び始めのものは、その省かれたものをこそじっくり観察する必要がある。」
これはつまりミュシャ自身の実体験に基づくものであったのですね。
なお、ポスターはじめ多くの習作が、その完品と並んで展示されているのも大きな見どころでした。
最後に階下の展示室では、ミュシャの祖国のチェコをはじめとするクリスマスツリーのあれこれが。
これも時節柄面白く楽しめてとても良い内容でした。
この企画展は来春4月まで開催しておりますので、ぜひぜひ!
堺 アルフォンス・ミュシャ館(堺市立文化館)
**追記**
自転車会社のポスターと一緒に、当時の自転車が展示されていたのですが、
それが状態もよくすごく良かった!
特にリアフェンダーの取り付けや、警告ベルト連動したフロントブレーキなど!
ああ、そういや堺市は自転車製造で世界的に有名だったか!
**蛇足**
実はこの時、このバトルスーツを着込んでバイクに乗っていたため、
暖房のきいた館内では暑くて重くて動きづらく、受付で上着を脱いで預かってもらいました。
その時のやり取り。
「すみませんが、重いですよ?」
「はい大丈夫です。」
「では…」
「!!!??!」
「ね?」
「本当ですね!」
「すみません。」
「いえいえ。」
てなわけで、やはり美術館をあの格好でうろつく姿はかなり異様であっただろうと…
(=^^=)ゞ
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年末の企画展は「ミュシャ・スタイルの秘密」。
いわゆる、あのスタイルの魅力を、モチーフ、構図、そしてデザイン論などをもとに紐解こうという内容です。
「ということは、メインはやっぱあの一連のポスター群だろうな…」
そう思い展示室に入ると、いきなり中に大きな柱!
そしてそれには、カラフルで大小様々なポスターがびっしり!
そう、ポスター黎明期であり絶盛期の世紀末パリの街中を再現しているではないですか!
これは嬉しい予想外!いわゆる一つのサプライズ!
だから、まずはそれらを一つ一つを丁寧に眺めて、
作品時代の中に入り込む準備をしつつ数々の作品へ。
同時代の他作家のポスター作品もあり見どころはたっぷりなんですが、
やはりなんといってもここはミュシャ。
大判で迫力ある作品は、視線をがっちりとらえ放さない。
なるほど、やはりこれは広告というポスターの一番の目的を立派に果たしている。
そして、目の惹きどころからの視線の誘導というか…
どの作品も、最初にモデルの女性に目を奪われ、
そののち、その視線を追うように眺めていくと、最終的には劇場名や商品目に行きあたる。
これが本当に自然な流れで、
ある時は流れる髪の毛であったり、零れる星屑であったり、立ち上がる棕櫚の葉であったり…
ミュシャの言葉に、
「目はカーブを見ると喜ぶ。」
(視線を移動させるのは眼の筋肉に良い刺激となるので気持ちが良い)
というのがありますが、まさにその通り、心地よく視線を誘導してくれている。
よく装飾や構図の美しさが取りざたされるミュシャですが、
実はこういうした視線誘導のセンスもまた、彼を時代の寵児にした大きな要因じゃないだろうか?
そういうことを身に沁みて感じしばし眺め入りつつ次の展示室へ。
で、お次は様々なモチーフや構図のバリエーション。
具体的には、彼が発刊したデザイン集をもとに、そのさまざまなアイディアの源を探るのですが、
つまりそれらは、虫や草花といった自然界のものたち。
だからそういうものをデザイン化する前に、徹底的に、そして時には分解して写実的にとらえている。
その様子は博物学のそれか、もしくは医学書のようですらある。
そういう細部に至るまで見落とすことなく、とことん観察したからこそのあのデザイン。
だからそれは、大まかのイメージの簡略化ではなく、イメージのエッセンスの抽出。
ミュシャは美術講師時代、若い学生にギリシア芸術の鑑賞を勧めませんでした。
その時の言葉が確かこういったような内容。
「洗練された芸術は、そぎ落とされ簡略化したものだから、到達すべき最終地点。
学び始めのものは、その省かれたものをこそじっくり観察する必要がある。」
これはつまりミュシャ自身の実体験に基づくものであったのですね。
なお、ポスターはじめ多くの習作が、その完品と並んで展示されているのも大きな見どころでした。
最後に階下の展示室では、ミュシャの祖国のチェコをはじめとするクリスマスツリーのあれこれが。
これも時節柄面白く楽しめてとても良い内容でした。
この企画展は来春4月まで開催しておりますので、ぜひぜひ!
堺 アルフォンス・ミュシャ館(堺市立文化館)
**追記**
自転車会社のポスターと一緒に、当時の自転車が展示されていたのですが、
それが状態もよくすごく良かった!
特にリアフェンダーの取り付けや、警告ベルト連動したフロントブレーキなど!
ああ、そういや堺市は自転車製造で世界的に有名だったか!
**蛇足**
実はこの時、このバトルスーツを着込んでバイクに乗っていたため、
暖房のきいた館内では暑くて重くて動きづらく、受付で上着を脱いで預かってもらいました。
その時のやり取り。
「すみませんが、重いですよ?」
「はい大丈夫です。」
「では…」
「!!!??!」
「ね?」
「本当ですね!」
「すみません。」
「いえいえ。」
てなわけで、やはり美術館をあの格好でうろつく姿はかなり異様であっただろうと…
(=^^=)ゞ
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