『長いお別れ』中島京子/文芸春秋(2015年5月)
帰り道は忘れても、難読漢字はすらすらわかる。
妻の名前を言えなくても、顔を見れば、安心しきった顔をする―。
認知症の父と家族のあたたかくて、切ない十年の日々。~帯より~
この作家さんの本は『小さいお家』に続いて2冊目。
認知症の父をめぐる家族の話しだけれど、それほど重くならず
淡々と読み終えました。
<長いお別れ>ロンググッバイ。。。我が家も近づきつつあります。
完全版マンガ『水木しげる伝』上・中・下 水木しげる/講談社漫画文庫
本書は「ボクの一生はゲゲゲの楽園だ」を改題・再編集したもの。
NHK朝ドラ『ゲゲゲの女房』は奥様の武良布枝さんの書かれた著書で、
結婚後のことは、あのドラマでよくわかりました。
こちらは、水木氏の幼少期から戦中・戦後編が上中下に分かれています。
ちょうどお盆休みの間に読んだのですが、
悲惨な戦争は決して繰り返してはいけないと固く思いましたので、
このマンガは子供たちに読んでもらいたい。
それと、裏表紙に書かれている言葉がまた良いのです。
(上)
毎日がつまらんと思う人は、
この本を読むといいですよ。
きっとフハッと驚いて、
生きる意欲が湧いてきます。
(中)
今の人は簡単なことで、
やる気をなくしたり、あきらめたりする。
水木さんを見習って、好きなことを
一生懸命に続けていけば、
モノになるハズです。アーメン。
(下)
あなたが今、貧乏だからといって
落胆しとったらイカン。
明日、”金霊(かなたま)”が
飛んで来るかもわからん。
妖怪は、気まぐれですから。
『過剰な二人』
林真理子×見城徹/講談社(2015年9月)
16年間の絶縁期間を経て、また、二人の関係が始まった。
二人は、いかにしてコンプレックスと自己顕示欲を
人生のパワーに昇華させてきたのか。
才能を見出し見出され、また刺激し磨き上げていく編集者と作家の関係が、
濃密な名言の応酬となって一冊に凝縮された、文学史上前例のない、
とてつもない人生バイブル! ~BOOKデータベースより
林氏の話しは、どこかで読んだような内容ばかりでしたが、
その話しに呼応するような書き出しの見城氏の文章は読むのが初めてで
とても興味を持ちました。
絶対的努力を惜しまず仕事に打ち込む事って。。。大変だろうけど、
一度は死に物狂いで仕事に打ち込んでみる経験もするべき事なのかもと、
刺激を受けました。
『原節子の真実』石井妙子/新潮社(2016年3月)
小津との本当の関係、たったひとつの恋、空白の一年、そして引退の真相―。
伝説を生きた女優の真実を鮮やかに甦らせた、決定版本格評伝。 ~BOOKデータベースより
14才でデビューし、国民的女優として戦前・戦後の時代を体現した、原節子。
そして42才の時に銀幕から忽然と姿を消し、50年以上もの間沈黙を守り、
2015年9月5日にひっそりと95年の生涯を閉じた。
著者は、ずっと鎌倉で隠棲生活を送っていた原節子(会田昌江)さんの元に
何度か取材に訪れたものの、一度も願いはかなわなかったそうな。
この本を読んで、原節子さんに対する世間の(私も含めて)間違った見方が
あったことがよくわかりました。
例えば、代表作とされる小津監督の「紀子三部作」に対する彼女の気持ちとか。
著者は原さんには会えなかったものの、
過去のインタビュー記事や近しい人々の取材を丁寧に繰り返されているので、
そっとして置いて欲しいと願っていた彼女もこの本にはOKを出しているような気がします。
本当の姿は謎のままですけれど、本心に迫っている内容ではないでしょうか。