計算気象予報士の「知のテーパ」

旧名の「こんなの解けるかーっ!?」から改名しました。

一週間が経ちましたが・・・

2015年03月08日 | CAMJ参加記録

 先月28日に東京・神田を会場に行われた「第7回日本気象予報士会研究成果発表会」も無事、盛況の内に幕を閉じました。私も日頃の練習の甲斐あって、スムーズにプレゼンテーションを終えることができました。

 発表1件当たり20分で、その内訳は発表14分、質疑討論5分、交代1分でした。当日の発表(プレゼンテーション)は事前の練習の甲斐もあってスムーズに進み、無事に14分以内に収まりました。


 その後の質疑討論では、活発なコメントや様々な課題点についてのディスカッションをさせて頂きました。今後は(未だ数値モデルに搭載されていない)積雲対流などのパラメタリゼーションをどのように考慮していくのかが主な課題ですが、その一方で、地形と風に単純化した状態であれだけの特性を再現できたという事は着眼点もとても良い、との評価も頂きました。また、米沢は大雪になるが、山形市ではなかなか雪が降らない理由が理解できた、との声も頂きました。

 質疑討論も規定の5分を超え、座長が「討論も盛り上がってはおりますが、そろそろ・・・」と切り上げる状況でした。討論が盛り上がりからも、反響の大きさを実感することができました。「局地気象の数値シミュレーションモデルを自作する」という試みにはとても興味・関心を持って頂けました。また、鋭いご指摘も頂き、さらに勉強していく余地があると感じました。

 これまで十数年もの長きに渡って取り組んできたことが、日の目を見た瞬間でもありました。

 発表会の後は懇親会に参加し、その後は上野のレトロなビジネスホテルに一泊しました。そして今朝は、またかつての勤務地だった小平市周辺を散策してきました。

 自分の社会人としてのスタートでもあり、色々な思い出のある所なので、特別な思い入れがあるのかもしれません。当時は半導体の設計技術者の端くれでしたが、週末などに局地気象の理論や熱流体シミュレーションについて独学していたものです。当時は、気象学会は雲の上の存在と言った感覚で、自らの研究をいつの日にかCAMJの場で発表することを夢見ていたものです。その想いが遂に実現しました。
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土曜日は東京です。

2015年02月26日 | CAMJ参加記録
 今週の土曜日は、東京都内で開催される(一社)日本気象予報士会(以下「CAMJ」)の「第7回研究成果発表会」に参加してきます。これは、CAMJに所属する会員、および会員によって構成される有志団体の日頃の研究活動の成果を発表する全国大会です。

 私は「山形県内における降雪域形成の数値シミュレーション」と題して、最新の研究状況を紹介する予定です。山形県の地形を取り巻く大気の流れを複雑な連立方程式で表現し、それらをコンピューターを用いて解くことで地域における気象の動きを予測するというものです。


 大気の流れやそれに伴う熱や水蒸気の輸送は、このような微分方程式で記述することができます。これをどのようにして解くのか、さらには様々な諸条件をどのように設定していくのか・・・。考えれば考えるほどに難しくなってしまいます。

 色々と悩みぬいた末に現在の数値モデルを構築するに至りました。当日はその概要を紹介し、これまでの取り組みの集大成として発表する予定です。
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上越高田に行ってきました。

2014年10月25日 | CAMJ参加記録
 今日は上越市高田でCAMJ(日本気象予報士会)の気象技能講習会を受講してきました。

 お昼休みには、会場から徒歩2分くらいのところにある高田特別気象観測所(旧・高田測候所)を(外から)見学しました。高田測候所は平成19年に無人化され、現在は、建物の解体工事の準備が進められています。



 建物の解体工事中なので敷地内には入れません。


 観測設備はこんな感じです。


 高い鉄塔の上端には風向風速計が設置されています。


 ウィンドプロファイラ


 帰りの車窓から見えた日本海の夕焼け

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大気象サイエンスカフェ「かだっぺや」・・・杜の都で「かだりまくった」夜。

2008年11月23日 | CAMJ参加記録
 日本気象学会2008年度・秋季大会3日目の終わりに日本気象予報士会・東北支部が中心となってのイベント・大気象サイエンスカフェ「かだっぺや」が開催されました。日本気象予報士会・東北支部としても全国デビューを果たす良い機会になったと思います。この大気象サイエンスカフェでは、大学や気象庁の関係者、並びに気象予報士等が一同に会して各々の想いを語り合いました。

 まず始めに、大学で気象学の研究をされている先生をお招きして「カオスと気象学」と題した講演が行われました。かつては「物理帝国主義」と言う、全ての因果を詳細に解析することで、その後の未来の現象の全てが予測できるという決定論的な思想が罷り通っていました。すなわち、全ての未来・運命は既に定められているという事になるのです。しかし、未来は必ずしも一通りに定まっているわけではない事が発見され、今ではローレンツ・モデルとして知られている他、フラクタル構造、自己相似性=任意の一部分を拡大すると再び同じ構造が見えてくるような性質も発見されています。気象がカオスである事は予測限界性の議論においての重要な基本でありますが、短い時間ながら、とても面白い内容でした。

 教科書における予測限界性の説明では、ローレンツ・モデルを引き合いに出して初期値にほんの僅かな差異(誤差)が混入するだけでも将来に起こりうるシナリオが多種多様に広がっていく事を説いています。従って、気象予測においてはカオス性が不可避である事から、どうしても決定的な予想には限界があり、長期予報に見られるような「高い:平年並:低い=30:40:30」のような確率論的な予想になってしまうのです。この辺について、大学で数値予報モデルの研究に従事されている先生からからは現段階での予報誤差は「カオス性による誤差」よりも「モデル自身の誤差」が大きいので、まずこちらを無くす努力をしているとのコメントがありました。

 ユーザの立場からは「白か黒か」的な決定論的な予想を求められるのに対し、サプライヤーの立場からは確率的な予測での対応になるという、言わば「需給間のギャップ」が問題となります。必ず何らかの不確実性を含む予測情報であるとの認識に立ち、どのような形でユーザに情報提供をすれば良いのかについての議論にも発展してきました。それは、気象の予報がどのように社会に対して伝え、または伝わり、理解され、役に立つのかと言う所もまたカオス性を持つが故の問題でもあります。ある意味、どんどんカオスにカオスが輪を掛けるようなもの。ユーザ側に対しても気象の持つカオス性や気象情報の持つ不確実性に対する認識を持って頂けるよう、啓蒙活動を行う必要があるという点で会場の認識は概ね一致したように感じました。

 その際に、決定論的な情報に不確定性の情報を追加する形での提供する形が提案された一方、例えば、アンサンブル予報のスプレッドが不確定性の指標に相当するがこれをそのまま一般の人に伝えても混乱を招くという指摘もありました。利用者の予報に対する認識として「外れるときはどういう外れ方をするのか」と言うのも重要な情報であるという点の指摘もありました。いずれにせよ「カオスを隠れ蓑にして自らの予報の技量の無さの言い訳にしてはいけない」のは言うまでもありません。

 また気象庁の関係者の方からは、このような啓蒙活動を気象予報士に御願いしたい旨の発言があり、気象庁の代わりに啓蒙活動を行う、言わば気象庁のメッセンジャーというのはそれなりの対価がペイしないとできないのではないか、(現状行われている)ボランティア体制でも限界がある、との意見も出されました。これについては、気象庁が業務として行う啓蒙活動と日本気象予報士会の会員がボランティアで行っている啓蒙活動は似て非なるものです。一方はカネをもらって働くもの(=正当なる業務として行うもの)であり、もう一方はカネは無くても世のため人のために役立ちたいとの思いから行動している(=ボランティア活動として行うもの)という違いがあります。どちらが良くてどちらが悪い、というものではなく、単に「根本が違う」と言う点は忘れてはいけません。

 やはり、どのような対象に向けて提供するかに応じて、提供する情報も変わっていくものと考えた方が良いのでしょう。どんなに専門性の高い、きめ細かい情報も受け手となるユーザが使いこなす事ができて初めて、意味のある道具になるのです。そこに気象予報士の活躍の場のヒントが隠れているように思えてなりません。

 肝心の研究発表については、またの機会に・・・。
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(速報) 日本気象学会2008年度秋季大会 + 大気象サイエンスカフェ「かだっぺや」 無事終了

2008年11月22日 | CAMJ参加記録
 ようやく仙台から戻ってきました。さすがに3日も仙台にいると、最後には以前からずっと仙台にいるような錯覚さえ覚えてしまいます。今回は初めての気象学会での発表であり、ポスターセッションも初体験でした。これまでの学会発表や色々な場所での研究発表は全てオーラルセッション形態でしたので、いつもとは勝手が違いました。ただ、肝心の発表それ自体は一先ず成功だったと思います。今回の発表ポスターは、こんな感じ↓で纏めてみました。ポスターセッション終了後、打ち上げを兼ねて懇親会?と相成りました。


 2日目は時間に余裕があったので、ランチには予めお薦めを頂いていたお店(一番町)に行ってきました。私にとっては仙台名物の一つになりそうです。その後は学会のシンポジウム「地域の詳細な気象と気候の再現を目指して ─ダイナミックダウンスケール技術の高度利用─」に出席して、そのまま学会主催の懇親会にも参加しました。


 3日目は午前中に会場近くの仙台城跡に足を運んで、有名な伊達政宗公の騎馬像を見てきました。政宗公はこうして、時空を越えて仙台藩の様子を見守っているのでしょうね。



 この後、今回2回目のポスターセッション発表を見学し、午後からはスペシャルセッション「産業と気象ー気象情報・技術の産業への寄与を考える」、日本気象予報士会・東北支部主催の大気象サイエンスカフェ「かだっぺや ─天気を知って家庭や地域をもっと元気に!─」、そして打ち上げを兼ねたCAMJ主催の懇親会と続きました。つまり3日連続で「学会行事+懇親会」の繰り返しになっていたのです。

 日本気象予報士会からも数件の発表がありましたが、私の発表だけが何故か1日目で、その他の皆様の発表は3日目に集中しました。いっその事、私も仲良く3日目に入れてくれれば良かったのに・・・とも思いましたが、わざわざ初日から応援に駆けつけて下さった方もいらして、とても嬉しく、また心強く感じました(本当にありがとうございました、この場を借りて御礼申し上げます)。日本気象予報士会および同東北支部の行事に参加するのは本当に久しぶりでしたが(実に1年以上ぶり)、充実した一時を過ごす事が出来ました。

 大気象サイエンスカフェ「かだっぺや」では、文字通り気象予報士を取り巻く諸問題についても、いろいろ「かだりあい」ました。気象予報士と一口に言ってもそのバックグラウンドは実に様々で多様性に溢れています。気象業務法上、気象予報士の職務は「現象の予想」にあります。ただ、気象情報の活用方法は単に「予報」に留まらず、「現象の予想」と言う要素は色々な局面で内包される位置付けではないかと思われます。気象情報ビジネスの在り方や具体的な形、そこでの気象予報士の関わり方、気象研究者の関わり方、気象行政の関わり方、というのも多種多様なのかもしれません。すなわち、気象情報とそれに関わる人々、そしてその周囲のニーズといったものもある意味カオスなのかもしれません。「これをやれば必ずメガヒット」という解は無いのかもしれないが、だからといって気象情報産業が必ずしも「希望の見えない産業」という事ではない、と感じました。

 それでは、どのような希望があるのか?・・・それがわかったらもう起業してますわ!!(自爆)・・・おぼろげには見えるのですが、具現化しきれていないのが正直な所です。
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10年目にして「てんきすと」デビュー

2007年09月08日 | CAMJ参加記録
 この度の台風9号の被害に遭われました皆様には心より御見舞い申し上げます。

 さて、つい先日の事ですが日本気象予報士会の会報「てんきすと」の最新号が届きました。いつものようにパラパラとめくっていると・・・ん?どこかで見覚えのある図や数式が乗っていました。山形県に関する研究でした。「偶然にも、同じような研究をしている気象予報士がいるのか~~。山形県ってそんなに興味深い地域なのか~~。」と思い、著者名を見て驚きました。それは紛れも無く私の名前。タイトルを見ると確かに「熱輸送を伴う3次元乱流数値シミュレーションを・・・」

 この時、はじめて自分の研究論文が会報に載ったという事実を認識しました。そういえば・・・半月程前に校正依頼がありました(半月前の事さえもすっかり忘れているのもどうかと思うが)。私が、日本気象予報士会(当時はまだ気象予報士会)に加入して今年で10年目。つまり入会「10年目」にして念願の「てんきすと」デビューを果たす事ができました。いつも送られてくる「てんきすと」を眺めては、こんな記事を書ける人が羨ましい・・・といつもいつも思っておりました。そして「いつか自分も記事を投稿できるようになりたい」と思いながら、月日は流れていきました。

 山形に関する研究は、私が気象予報士になってからずっと続けている研究でもあり、当時まだ見ぬ東北地方の気象予報士会支部の場で講演するのが夢でありました。まさか、その研究を「てんきすと」に掲載できるまでになるとは・・・当時は想像さえしていなかった事です。しかし、今後は学会進出を視野に入れようとしています。思い起こせば、かつての気象予報士会の行事は主に大都市圏が中心となっていましたが、地方支部での活動も活発になってきました。かつては、地方支部も整っておらず、地方が全体の動きから取り残された感がありましたが、今はもう違います。地方がそれぞれに動き出しているのです。

 一旦、話は変わりますが、前農水相の辞任劇は記憶に新しい事と思います。私は正直、落胆しました。既にお気づきの方もいらっしゃるかと思いますが、前農水相は私の故郷である米沢の出身です。地域を代表する政治家です。私自身は、詳しくは存じ上げない方でしたが「地方が良くならなければ、国が良くなるはずはない。」をスローガンに掲げておられた事だけは覚えています。この一件で、故郷がマスメディアに大々的に報道されるのを見るのは何とも辛いものです。

 先に安倍改造内閣の組閣人事が発表された時、前農水相に少なからず期待を寄せた同郷の方も決して少なくなかったでしょう。そしてそれは、閉塞感漂う地域にとっての希望の星として期待ではなかったかと思います。自分の町からこの置賜の地から大臣を輩出した、その事実が少なからず勇気になるのでは、そのような想いを私は感じていました。それだけに、残念でなりません・・・。それにしても、この落胆は「加藤の乱」の時以来です。

 かつて、まちの広場にサンホーユー(ファミリーデパート)、そしてその隣にポポロというよりジャスコが建って双璧をなし、その真ん中に噴水がまだ残っていたあの頃の米沢が懐かしいです。あの頃はまだ町が活気付いていました

 私も就職を機に様々な地域に移り住むようになり、年に何回か帰省をする生活になりましたが、その度に変わり行く故郷の姿は、閉塞感を感じてしまいます。これが単に「よそ者の錯覚」であるのなら、それで良いのです。これまで故郷を離れて、異なる地域文化に感化されてきた結果、かつての自分とは異なる感性で故郷を見ているが故の錯覚なのかも知れません。それならそれでよいのですが、やはり時代の流れを痛感します。地域の雇用を支えてきた工場が次々に諸外国へと移され、この結果、雇用や将来への不安が増大の一途を辿っています。現実を直視すれば直視するほど、ネガティブな気持ちにさえなってきます。

 これからの地方再生・地方発展の鍵となるのはまず「変えるべきもの、そのままで良いもの、変えてはいけないもの」は何なのか、と思います。そして、デスティネーションである地域の発展、地域の活性化とは一体、何を持ってそういえるのか。単純に大都市圏のクローンやミニチュアになれば良いのか?という視点です。こんな事を書いていながら私自身、具体的な未来像のデザインやビジョンを持っているわけではありません。しかしながら、その地域に住む者達が活き活きと、活躍できる場が多くあるという事は必要不可欠な要素ではないかと思います。

 しかし、主な活躍の場である地域の産業の構造は、変えるべきか否かを論ずるまでも無く、否応なしに勝手に変わって行ってしまいます。極論を言えば、地域の大企業の系列企業の海外移転が、挙って地方の雇用不安を煽っているようなものです。「ウチは大企業のグループ企業だから大丈夫さ」等といって安心してはいけないのです。いや、大企業こそ明日は何が起こるかわかりません。私もその経験者の一人です。

 だからこそ、地方発のベンチャー企業が続々誕生し、大いに全国を、そして世界を視野に活躍してほしいと思っています。地方の中小企業やベンチャーを育成する社会的土壌を整えていく必要性を感じています。今でこそ輝ける?大企業も、創立当時から大企業だったわけではないのです。こんな事を考えるようになったのも、今私が住んでいる地域の影響かもしれません。色々な地域で色々な地域事業を展開しています。その中には、他の同じような問題を抱えている地域にも応用できるアイデアがあるかもしれません。

負けるな地方!うつむくな地方!
地方が良くなるためには、地方から新たな波を発信していこう!


 「地方だから何をやっても駄目」なのではないのです。地方発の新しいインセンティブであったり、新しい時代の波を引き起こす位の気概を持っていく事が大切なのではないかと思います。私自身、地方から日本の気象界を変える位の気持ちでいます(できるかどうかは別にして)。だからこそ「次の段階として」学会を目指すのです。

 前の半導体の職場を去るに当たって、私の原籍子会社からの出向メンバーで送別会を開いてくれましたその席で私は退職の挨拶に加えて次のような趣旨を述べました。

 「日本の国土の70%は地方である。現在は大都市圏がイニシアティブを牛耳っているが、今後は地方から新しいインセンティブを発信していく時代にならなければならない。これからは新たなる地方の挑戦が始まる。」

 考えてみれば気象、特に局地気象という分野は地方が主役になれるフィールドではないでしょうか。その地域毎に異なる気象特性を持っているのです。私の気象に関する研究も、地方で進められたものです。研究時代は既に次の段階に移っています。新たなの知見がまとまるのは当分先の事になりますが。私の挑戦はまだまだ続きます。先の木村賞受賞、そして今回の「てんきすと」への投稿及び掲載は一つの大きな節目となりました。

「いま、地方の気象が面白い」そんな新時代を切り開いていきたいですね。
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一つの節目を迎えました。

2007年07月08日 | CAMJ参加記録
 久々に杜の都に行ってきました。やはりと言うべきか、熱い討論が繰り広げられました。終わった後にはもう力尽きました・・・。出せる力は出し切った、今はもうそんな感じです。毎回、例会での話題提供の討論では有意義な討論をさせて頂き、その後の研究の方向性にも大きな影響を受けておりましたが、今回もまたとても実のある勉強ができたと感じております。その夜、宿泊したホテルの部屋で「必殺仕事人2007」を見ながら、今後の研究の方向性もかなり具体的に定まってきました。

 前の職場では果たせなかった(と言うより、永遠に実現することは無かったであろう)「学会進出」の夢に、いよいよ手が届きそうです。勿論、学会発表だけに終わることなく、実用的な応用に結び付けていかなければなりません。その基礎的な技術がゆっくりとではありましたが少しずつ実を結び始めています。

 かつては解くことができなかった方程式を解く事ができるようになった一方、今度は境界条件に関する問題を抱え、さらにはDry→Wetへのモデルのバージョンアップまでを視野に入れた課題へと、一つの壁を越えると同時に次から次へと問題が沸いて出てきます。これらの課題は決して収束することはありません。発散する一方です。

 ・・・さて、マンションに戻ったら新しい「てんきすと」が届いていました(^^)。総会での表彰に際して会長と一緒に記念撮影した写真が掲載されているではありませんか!・・・ン?前髪が思いっきり・・・変!100メガショーーック!!/('O';)\まあ、写真が白黒印刷だったのがせめてもの救いです。あの前髪が変なのは偶然のなせる業です。ある意味「奇跡の1枚」です。

 肝心の研究内容については今回は掲載されておりませんが、一応投稿の手続きはしましたので忘れた頃に掲載されるかもしれません。まあ、掲載される事には次の新たな研究が進んでいる事でしょう。そういう意味では今回の出張をもって、私の山形の研究は一つの大きな節目を迎えました。

 さ~て、のんびりしたいな~~・・・って、そうは問屋が卸さないのは、毎度のお約束ですが(爆)。
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七夕の前夜

2007年07月06日 | CAMJ参加記録
 笹の葉さ~らさら・・・♪ そんな歌声も聞く事もなくなりました。

 私の頭の中ではN○K大河ドラマの「独眼竜政宗」のテーマ音楽がひっきりなしに流れています。伊達政宗公と言えば・・・そう、仙台です。そして政宗公の生誕の地は我が故郷・米沢です。いよいよ明日はCAMJ東北支部例会です

 これで一先ずこの山形のシミュレーション研究は節目を迎える訳ですが、改善すべき点が次から次へと見えてきています。今後さらにこのシミュレーションはグレードアップを図る予定ですが、その際の研究の進め方の指針となっていくことでしょう。それはともかく、明日は久々の研究発表です

 前日にはちょっと弱気なお話をしたばかりですが、今はもうそんな事を言っている余裕はありません。私の話題提供は総力戦です。それまでの気象予報士としての研究の全てを懸けた真剣勝負です。どうしても、気合が入ってしまいます。どうせやるならお互いにとって実のあるものにしたいですからね。

 とにかく今は、明日の成功を祈るのみ。人事を尽くして天命を待つ。
 時間になったら、いざ出陣
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新PC到着・・・そして御報告。

2007年06月06日 | CAMJ参加記録
 かれこれ約半月ぶりのブログになります。本日・・・4時間ほど前に新型のPCが届きました。ようやくセットアップも終わってネットも開通してホッと一段落着いて、こうしてブログを書いております。

 さて、復帰早々ではありますが、一つ御報告がございます。

 この度、日本気象予報士会に提出しておりました研究論文「熱輸送を伴う3次元乱流数値シミュレーションを用いた山形県置賜地方における冬季局地風の解析」に対し、「木村賞」という賞を賜りました。先月26日の同会の定期総会の場で表彰式が催され、会長より表彰状とメダルを賜りました。

 今後はその他の研究分野も併せて、本格的に学会への進出を考えていこうと思います。今回の受賞に際し、審査員の先生からも学会進出を前提とした実践的なアドバイスを頂きました。いよいよ学会進出を本格的に考える段階に来たという事です。私はこれまで余り学会を意識はしておりませんでした。学会に出るにはまだまだ不十分と感じていたためです。それだけに、今回の受賞は「もういい加減に学会に出なさい!」という背中の一押しなのかもしれません。

 山形県の局地気象の研究それ自体は、かれこれ十年近く続いてきたものであり、これまでの気象予報士として歩んできた道そのものと言っても過言では無いものです。この研究の成果としていくつかの知見を得るに至り、今回このような形で表彰を戴けた事で、一角の専門家としての道を歩み始める事ができたかと感じています。この研究を始めた頃は機械系の大学生、それから大学院では細胞膜の変形挙動の解析、半導体メーカーで論理回路設計・・・と週末起業ならぬ週末研究を続け、計算気象予報士となって現在に至る訳ですが、時の流れを改めて感じます。

 詳しい紹介については、日本気象予報士会のHPや会報にも掲載される・・・?のかどうかは分かりませんが、名前と論文名称くらいは・・・載るのではないかと密かに期待しております。

 ホームページ「救急?『お天気』診察室」から始まった研究であり、多くの皆様からのご意見や温かい激励、アドバイス等が研究を続けるに際して大きな支えとなりました。この場をお借りして改めて御礼申し上げます。ありがとうございました。

 さて、これからは今までの分を取り戻さなくてはなりません・・・。ここ半月ほどのんびりまったりしてましたので、そろそろエンジン全開で行かなければなりませんね。
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仙台に行ってきました♪これで一息つきたいなあ・・・

2006年04月17日 | CAMJ参加記録
 仙台は遠かった・・・。新幹線で片道4時間近く、往復で8時間近くです。朝は7時過ぎに家を出て、戻ってきたのがなんと21時を過ぎていました。普通にJRの切符を購入していたら、軽~く「参萬円超え」なのですが、JR東日本の「土日きっぷ」を購入したので締めて「壱萬八千円」也!要するに土日はJR乗り放題なんですね。

 折角の「土日きっぷ」なので、土曜日も東京都小平市にちょこっと散歩してきました。彼の地は前職時代を過ごした思い出の地・・・もとい嵐のような戦場の地。あの頃は自分の人生を深く考え、またとてつもなく不安と絶望に悩んでいた日々を送っていました。あの頃に必死で活路を見出そうとしていたことがきっと今に繋がっているのだろうと思っています。

 その当時からのささやかな夢の中に、「東北地方に気象予報士会の地方組織が結成されたら、以前から続けてきている山形の天気に関する研究を発表したい」というものがありました。この頃から週末研究と言う形でシミュレーションの研究を始めていましたので、当然、山形県内の数値シミュレーションは既に視野に入っていました。

 つまり、今回のCAMJ仙台における、山形県内の数値シミュレーションの話題提供は苦節ン年にも渡るそれこそ「積年のささやかな夢」がいよいよ実現する瞬間でもあったのです。だからこそ、その前にもう一度、小平の土を踏みしめて置きたかったのです。あの頃の自分に想いを馳せていました。

 翌日はいよいよ仙台に出陣。仙台駅から会場まではいつもならタクシーを飛ばすのが、今回は地下鉄に乗ってみました。仙台市の地下鉄は初めてだったのですが、駅が地下深くでまるで迷路?と感じました・・・が1度慣れてみると、東京よりは分かりやすくて使い勝手が良いですね。

 さて、会場について半年振りに仙台支部の皆様と再会を果たし、連れ立って会議室へ。例会の始めに自己紹介と事務連絡などがあり、その後で話題提供に移りました。そう、本番です。

 発表が25分くらいで質疑討論も20分位だったかなあ・・・。質疑応答では活発な議論に発展しました。やっぱ緊張しますね~。事前配布資料はインターネット経由で配布済み、発表用スライドも何度も書き直し、ここ2週間はプレゼンの練習も欠かさず、準備はしっかり重ねていました。それにこの発表は「積年のささやかな夢」という重いモノです。もちろん、失敗が許される事は万に一つもありません。

 私の話題提供はまさに真剣勝負です。唯でさえ難しい非線形偏微分方程式の概念を簡潔に分かり易く導入し、乱流モデルや流体の計算に関する専門的な手法から現実の気象にスムーズに結び付けていかなければなりません。ただ「資料を提示して喋れば良い」というものではありません。当然、事前に話の進め方を自分なりに研究して臨むのです。本当にこれで伝わるだろうか?この内容が気象予報士の方々に受け入れてもらえるだろうか?実際に不安です。

 単に話題提供と入っても、準備には莫大なエネルギーと神経を使います。ずっと実現させたかった夢でもあったので尚更です。

 私の不安は、発表直後の質疑討論で解消されました。討論は非常に盛り上がり、文字通り「話題提供」としての役目を十二分に果たす事が出来ました。私もまた言葉に詰まることなく、それなりに討論する事が出来たと思います。

 ・・・発表と質疑討論が終わり、割れんばかりの拍手が会場に鳴り響いた瞬間、私のささやかな夢は安堵と達成感の中に終わりました。帰りの新幹線の中には、静かな笑みを浮かべながら横たわる計算気象予報士の姿がありました。

 さて、折角なので今回の講演要旨をちょこっと掲載しておきます。

【今回の講演要旨】

 今回、山形県置賜地方の局地的な地形を考慮した計算シミュレーションの実現に際し、その一環として有限差分スキームに基づいた3次元乱流数値シミュレーション(LES)モデルを開発した。本報告では、境界条件を簡素化した状態で上空の季節風の地上での影響に関して検討を試みた。

 本研究で使用する基礎方程式群は、物性値一定を仮定した連続の式、Navier-Stokes 方程式で構成される非線形連立偏微分方程式である。さらに今回は乱流の影響を考慮するための物理モデル方程式群が加わっている。本研究では従来型のRANS に替わり、次世代型の乱流解析手法であるLES(Large Eddy Simulation)を採用する事とした。これは基礎方程式群に空間的なフィルタリング操作を行い、流れ場を計算格子で解像できる成分とそれ以下の小さい成分(SGS:Sub Grid Scale)とに分離し、前者は直接計算し、後者についてはモデル化を施す解析手法である。本研究ではSGS 成分については標準型Smagorinsky モデルを適用する事とした。

 本報告で紹介する計算シミュレーション・モデルは、直交等間隔スタッガード格子系を用いた有限差分法により離散化を行った。圧力解法にはMAC 法を用い、圧力方程式を解く際に出現する連立方程式の解法にはSOR 法を用いた。また、対流項には3 次精度風上差分(UTOPIA スキーム)、粘性項には2 次精度中央差分、時間進行には2 次精度のAdams-Bashforth 法をそれぞれ適用した。尚、乱流のSGSモデルに標準型Smagorinsky モデルを適用したのは先述の通りである。

 山形県及び宮城県を包括する山岳モデル地形に対し、西・西北西・北西の季節風が吹き付ける気象場を想定して局地的な風の流れの様子を計算した結果、小国・米沢では上空の風向に関わらず地上風速が比較的強めである一方、長井・山形では風速が弱めであることが示された。これは、朝日連峰による季節風のブロック効果が、本計算においても再現されたものと考えられる。

(p.s.)
 ささやかな夢は終わりを告げました。しかしそれは、新たな挑戦の始まりを意味します。さて、次なるテーマは・・・こりゃあデカイなあ~~ぁ。
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広瀬川~ 流れる岸辺~ 過ぎた日は~ 帰らず~♪

2006年04月10日 | CAMJ参加記録
 昨日も書いた事ですが・・・4月16日(日)は日本気象予報士会・仙台支部の4月例会の日です。仙台支部では原則月1回、定例会を開催しています。

 さて、昨日の時点で私も久々に話題提供に応募した旨を書きましたが、本日正式に「受理」されましたのでご報告します。つまり、当日は私も発表すると言う事です。もう半年振りに人前でプレゼンテーションするという事で、緊張・・・というよりも気合だ!気合だ!気合だーーー!!

 さて・・・その気になる話題提供のテーマと内容ですが・・・

【題名】山形県置賜地方における冬季季節風の計算シミュレーション
【内容】簡単な3次元乱流数値シミュレーション技術の導入、テスト計算及び山形県内の山岳地形と冬季季節風を加味した計算例を紹介。

 事業成果報告書が終わったばかりで頭がボ~ッとしがちですが、ボケている暇も無く?しっかり準備に余念がありません。そういえば、5月20日は日本気象予報士会の定期総会なんです。いや~ぁ、忙しくなるな~ぁ。

 ちなみに、日本気象予報士会会員もしくは同仙台支部員の皆様、4月例会の話題提供テーマは現在も募集中だそうですよ!新年度最初の支部例会ということもあり、この度めでたく会員となった皆さんの御参加もお待ちしておりま~す。
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