計算気象予報士の「知のテーパ」

旧名の「こんなの解けるかーっ!?」から改名しました。

11月07日(土)・「日本気象予報士会・秋の案内会(仙台)&東北支部11月例会」参加

2015年10月25日 | CAMJ参加記録
 まだ先の話ですが、11月7日(土)に開催される「日本気象予報士会・秋の案内会&東北支部11月例会」に参加してきます。

 冒頭30分ほどは、気象予報士試験に新たに合格された皆さんや、既に資格をお持ちで日本気象予報士会には未入会の皆さんと対象とした、入会に関する案内・説明会です。この後、3時間近くに渡って「東北支部11月例会」が開催されます。

 この東北支部11月例会において、8年ぶりに話題提供を行います。今回の演題は「山形県内における降雪域の独自数値シミュレーション ─ 熱流体数値モデルとニューラルネットワークによるアプローチ ─」です。プレゼンは40分程度を予定しております。


 私の故郷でもある山形県は、地形の起伏に富んでいるのが一つの大きな特徴です。このような地形が冬季の局地気象、特に降雪域の分布パターンの形成に与える影響は無視できません。そこで、2種類の数値シミュレーション技術を独自に開発し、解析を試みました。


 一つ目は熱流体数値シミュレーション(LES)です。最近は単なる熱流体モデルのみならず、新たに凝結・降水過程の簡易モデルも搭載して、降水域(降雪域)の分布パターンも描けるようになりました。このシミュレーションの取り組みについては、日本気象学会誌「天気」や春季・秋季大会を通じて、発表してきたものです。

 もう一つは、人工知能・ニューラルネットワーク(NRN)によるアプローチです。最近になって、ようやく形になってきたシミュレーション技術です。この秋に、最初に取り組んだサクラの開花予測実験が気象学会誌「天気」に掲載され、つい先日にオンライン公開されたばかりです。その技術を応用して、山形県内の降水域(降雪域)と気温の分布パターンの解析を試みました。

 今回の話題提供は、演題は一つですが、その内容は豪華2本立て(LES&NRN)の超重量級となっております。これまでの山形県内の局地気象に関する独自シミュレーション研究の集大成を御紹介する予定です。
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オンライン「天気」にて公開されました。

2015年10月25日 | 計算・局地気象分野
 10月03日の記事で御報告しました日本気象学会・機関誌「天気」掲載の「ニューラルネットワークによるサクラ開花日の学習・予測実験(山形・新潟を例に)」がオンライン公開されました(←タイトルに直リンクを貼ってます)。

 以前は学会誌掲載後1~2か月程経ってからのオンライン公開だったのですが、今回は1ヶ月以内に公開されました。最近はホントに早くなりました。

 これまでは3次元熱流体数値モデルによる計算気象シミュレーションや観測データの分析による局地気象特性の解明が主なテーマでしたが、今回は新たに人工知能(ニューラルネットワーク)を用いたアプローチがテーマとなっています。単にニューラルネットワークを用いるのみならず、線形重回帰分析を用いた場合との比較も試みています。

 そして、11月のはじめには、また話題提供の予定があるので、その準備も進めています。
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日本気象学会・機関誌「天気」9月号が届きました。

2015年10月03日 | 気象情報の現場から
 9月号には私の「ニューラルネットワークによるサクラ開花日の学習・予測実験(山形・新潟を例に)」と題した調査ノートが掲載されています。

 
 これまで山形県について取り組んできた、熱流体数値モデル(2009年)や降水域モデル(2014年)を経て、次に挑戦したテーマが人工知能(ニューラルネットワーク)によるサクラの開花予報でした。

 かつて、サクラの開花予報は気象庁の事業の一環としても行われていましたが、近年では民間気象会社が各々独自の予想を発表しています。そんな様子を横目に、それこそ「指を咥えて見ているしかなかった」状況が何とも歯がゆく、独自の手法で予測したいとかねがね思っておりました。

 また、ニューラルネットワークは、新卒当時の就職活動の際、ある気象情報会社が「ニューロ天気予報」なるものを実用化したことを契機に興味を持ちました。結局、その企業への就職は叶わなかったわけですが、得体の知れない「人工知能(ニューラルネットワーク)」が「天気予報」にも応用できるのであれば、その先の応用分野にも適用可能であろう、と直感しました。

 例えば、「ウェザーマーチャンダイジング」(気象予測を基にした発注計画・需要/売上予測や販売管理)はもちろん、(当時バイオメカニクス研究室にいた者としては)生気象学的な応用、すなわち「気象予測に基づく健康管理情報」、さらに現在であれば「気象予測を基にした防災計画支援情報」などが挙げられます。

 要は過去の事例・データを蓄積して、「原因」に相当する入力情報(入力信号)と「結果」に相当する出力情報(教師信号)の対応がとれた状態でのデータベースを構築して、あとは人工知能(ニューラルネットワーク)に学習させれば良いのです。

 肝心のニューラルネットワークの仕組みや理論はさっぱりわかりませんでしたが、色々な分野に応用できるであろう・・・という可能性を漠然とながら感じていました。

 あれから時が流れ、熱流体数値モデルの開発を進める傍ら、ニューラルネットワークにも挑戦しましたが、はじめから順風満帆に行くはずもありません。研究を放り投げた(断念した)のも3~4回?・・・結局10年近く掛かって、何度目かの挑戦でようやく、一つの形になりました。

 現在は、ニューラルネットワークを用いた局地気象の解析、特に上空の条件に応じた降水域と気温の分布のシミュレーションを研究しています。例えば、山形県の場合は降水域分布の形成までは「熱流体+降水域モデル」でシミュレートできますが、内陸の冷気プールのようなものは再現できません。そこで、この不足部分をニューロモデルでフォローしようというわけです。

 そしてさらには、気象条件に応じた、その他の分野への波及効果についてもアプローチしてみたい、と思ってはおります・・・が、さすがにマンパワーが限界を超えてしまいそうです。
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