計算気象予報士の「知のテーパ」

旧名の「こんなの解けるかーっ!?」から改名しました。

動かざる事山の如し、頭の中は炎の如し

2007年10月31日 | 気象情報の現場から
 この前は、長期予報の研究に着手したと言う話題を書きましたが、それと平行して数値シミュレーションの研究も相変わらず進めています。これまでの研究の結果、興味深い現象を新たに解析できましたので、関連する短報を「てんきすと」に投稿しました。まあ、編集委員会には掲載号はいつでも良いと伝えて置きましたので、忘れた頃にひょっこり掲載されるかもしれません(まあ、ボツにされなければの話ですが)。

 そんな中、積年の研究の中でも最重要課題の一つである気象シミュレーションのための境界条件の自動決定法の開発に苦戦しております。(まあ、楽勝な研究だったら何年も掛からないで解決するわけですが)。LESを応用した3次元乱流数値シミュレーション技術そのものの開発で10年近く掛かっている・・・。

 いや!より正確な事を言うと、熱流体力学の方程式を解く事から始まりそれを2次元計算で数値的に解き、さらに熱エネルギー方程式を加えて解き、そこから3次元計算に拡張し、乱流モデルを搭載して安定的な数値解析を行い、しかも実際の複雑な地形条件を考慮したシミュレーションを構築するまでに10年近くを要しているわけですf(^^;)。時間、掛かりすぎ!って言われるとグサッ!とくるのですが、まあ殆ど独学だった事に免じて勘弁してやって下さい。

 研究を始めた当初は流体力学の研究ではなかったんです。単に山形県置賜地方の気象特性を知りたかったのです。そこから流体力学の壁にぶち当たった、というものです。もちろん当時(10年位前の話)はLESはおろかk-εモデルを知らなかったのです(爆)。その長~い長~いこれまでの研究では流体力学方程式を解く事に主眼を置いてきたわけですが、それと平行して重点を置いていたのが境界条件の問題です。

 学生時代を経て、前職の頃は本業の傍ら「週末研究」の体制でしたが、その頃から何年も悩まされてきた「因縁」の問題なのです。CAMJの話題提供でも流体力学方程式の数値解法の他に「境界条件」についても鋭い議論をさせて頂きました。やっぱり数値解析を手がける皆さんは悩んでるんですね。

 シェークスピアのハムレットの名台詞に「この命、生きながらえて良いものか、それが問題だ」なんてものがあったように思いますが、私の場合は「境界条件をどのように設定するのか?それが問題だ」

 キャビティ流れやバックステップ流れのようにある程度パターン化された流れ、特に閉空間の流れの場合は境界条件も決定しやすいでしょう。しかし、局地気象の場合はまず、広大に開かれた3次元空間から計算対象領域を切り出さなくてはなりません。そして、その計算対象領域の周囲の流れを仮定しなければなりません。この周囲の仮定が境界条件となります。局地的な風の流れは複雑です。風のプロファイルなどを基に境界条件を設定しようにも複雑すぎて表現が難しいのです。

 これまでの局地気象に関する数値シミュレーションでは、境界条件は一つ一つ丁寧に人間が精査した上で決定していました。当然、人間の気象場に関する解釈(=主観)が入りますが、それ故に気象特性が反映されやすくなるという利点があります。一方、このプロセスを自動化するという事は、境界条件をある「一定の基準」で客観的に解析すると言う事。その基準は、これまで人間が行ってきた気象場に対する解釈の基準に極力近づけなければなりません。しかし、だからといって流体力学の法則を逸脱する事は許されません。境界層理論をより深く勉強していかなければならないと感じています。

 この板挟みの中で、境界条件の基準を策定するのは、大げさに言えば自分の境界条件に対する思想・哲学を問われると言っても過言ではありません。私自身、境界条件にはずっと悩まされています。これからも悩み、模索し続ける事でしょう。その時その時で「現時点での答え」を導いていくしかないのでしょう。ひょっとしたら、今の私には解けなくても、未来の自分が解いてくれるかもしれない・・という淡い期待を寄せてながら。

 漠然としたアイデアはあるけれど、それでも具体化していくにつれて緻密な仕掛け(=計算アルゴリズム)が何重にも必要になってくるのです。かつての私ならこんな業を思いつけなかっただろうな・・・と思いながら、これまで培った経験の重さを噛み締めています。理論計算は一見スマートに見えますが、ある意味「匠の技」です。某局の「プ○フェッショナル ~仕事の○○~」からお呼びが掛かるには至りませんが(爆)

 そういえば、今日は浅水方程式とNavier-Stokes方程式の適用限界についても議論を交わしました・・・。やっぱり、誰しも皆悩んでる。

 傍目には数値解析なんて方程式を解くだけでしょ!な~んて簡単に考えている人も少なくないのでは?概論を語るだけなら自由です。かくかくしかじかをこうするだけじゃないか!というだけなら、誰でも出来ます。専門知識も殆ど不要でしょう。ただ方程式を解けばよい、というものではないのです。精度・妥当性・計算の安定性や仕掛け、そういった細々とした条件を考慮しつつインプリメントしていかなければならないのです。

 ひと視線を外に向けてみると・・・携帯電話は今では非常に身近なものになりました。しかし、携帯電話のカバーを開けてみると、基盤にびっしりと張り巡らされた電子回路や半導体部品。その一つ一つの部品もまた精巧に設計されたものですね。でも、ユーザーはそんな電子回路や半導体部品の事など気にすることなく、携帯電話を使っているわけです。

 私がやろうとしているのは、強引に例え話をすると、携帯電話のテクノロジーを一から学び、その中の一部の機能に特化した新たな通信デバイスを半導体部品や電子回路の部分から設計・開発しようとしているのです。ただ、携帯電話の真似をするのではありません。携帯電話の真似が出来てはじめてプロトタイプなのです。そこからオリジナルの技術を発展させていこうとしているのです。

 熱流体の計算システムだけなら自分で開発しなくても、市販のCAEシステムを使えば良いじゃないか、というお声もあるかもしれません。それもただ単に熱流体のシミュレーションをして、それでこんな結果が出来ました~~ちゃんちゃん♪で終わるならそれも一理あるでしょう。しかし、これはコアテクノロジーの一つに過ぎないのであってそれだけで全てとなるものではありません

 熱流体CAEにはない特性を独自に組み込んだり、全く異質の数値モデルと連動させたりする事もあるでしょう。数値モデルの計算過程に気象予報士の感性を意図的に盛り込むような修正も考えています。市販のCAEでもある程度はできるかもしれませんが、究極的にはCAEソフトそのものを解体して大改造する必要が出てきます。それこそ、某局の「大改造○的○フォー○フター」です!いずれにせよ(仮に市販のCAEをぶっ壊して大改造するとしても)独自に数値シミュレーションを組み上げる位の技術が無ければ、何にも出来ないと言う事です。

 だんだんヒートアップしてきましたので・・・そろそろこの辺で強制的にクールダウンします。
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地域防災に関するシンポジウムを拝聴してきました

2007年10月27日 | 気象情報の現場から
 今日は、地域の防災に関するシンポジウムを拝聴してきました。今回の会場もマンションから歩いて30~40分程度で行ける距離(近場)だったと言う事もあり、参加しやすかったという事もあります。基調講演とパネルディスカッションの2部構成でしたが、後半のパネルディスカッションの大まかな内容について以下にご紹介します。私自身、色々と勉強になりました。

【携帯メールで必要な情報共有のネットワーク】
 現在、携帯メールで行政の防災情報を配信する事業を展開している。3年前の中越大震災時は、被災者から風呂が入れる所、洗濯できる所、スーパーが営業している所に関する情報の要請があった。特に災害発生時はこのような情報に対するニーズが高い。また、行政情報の一方通行的な伝達のみならず、ネットワークのメンバー各々が今自分が居る場所付近の情報を提供し合い、共有する事で被災状況や交通状況等も把握できる。将来、携帯電話人口は確実に増加する。このような情報ネットワークはよりその重要性を増していくだろう。NPOだからこそ市民と行政の間に立って事業を展開する事ができる。

【規模は小さくとも、地域に根ざして最大の役割を果たす】
 コミュニティーFM放送事業を展開している。3年前の中越大震災の際は、地震発生直後に発信した第1報は「現時点では情報が無い」という内容だった。特に、災害直後は行政にも情報が無い状態である。それから不安な夜の中、安否情報、交通情報、がけ情報等を発信し続けた。これらの情報の多くは行政発表以外の所謂リスナーからの情報であった。災害発生時に重要なのは「情報の一元化・共有化」である。特に震災直後にも関わらず営業し続けているコンビニやガソリンスタンドの情報をリスナーからの情報提供を頼りに発信した。また、私信や伝言ダイヤル代わりの機能も果たした。コミュニティー放送局は規模は小さい。しかし災害発生時には地域に根ざして最大の役割を果たす。

【コミュニティー+自主防災組織で体制確立】
 災害時は現地では情報が集まらないのが実状。そこで例えば、数多くのモニターに「あなたが今居る場所の状況を教えて下さい」と呼びかけて集まった情報を集計する。そうすれば、「現在の地震の影響や被災状況」が把握できるだろう。都会から見れば確かに地域コミュニティーはアドバンテージ。しかし全国的に地縁コミュニティーは脆弱化傾向にある。昔は「向三件両隣」と言ったものだが、現在ではアパート、マンション化が進み「隣は誰か分からない」状態。今後は更に地域の自主防災組織を結成する事(防災体制を予め決めておくと言う事)が重要。そして情報の一元化が重要。メールの双方向活用も視野に。

【言葉と文化の壁を越えて】
 行政の現場で国際交流を担当している。外国から来られた方にとっては言葉の壁と文化の壁の2つの大きな問題がある。災害時の避難所での過ごし方一つとっても日本人とは異なる価値観・文化があるので、その視点に立った配慮が必要。日本における避難所での体制について、理解を深めてもらえるような配慮が必要である。特に3年前の中越大震災では避難所でのトラブルも発生したが、その際の教訓が先の中越沖地震に活かされた。

【コミュニティーの現場判断で防災力の向上を】
 従来、防災・災害対策というものは行政主導で行われてきた。しかし、その体制の限界が阪神淡路大震災の時に露呈した。現在では、IT技術やインフラが発達し、誰もが放送局・出版社化している。いわば、皆が「現場判断」で情報を発信し、または対応する事が求められ、それが地域の防災力を高めていく事になるだろう。よく使われる「コミュニティー」にも2種類ある。それは昔ながらの地縁のコミュニティー、そしてIT技術によって実現してきたネットワーク・コミュニティーである。この2つを如何に両立していけるかが鍵となるだろう。


 今回のシンポジウムを通じての感想は、情報一元化のため「基地局」との連携不可欠であるという事です。そして、その基地局と言うのは必ずしも行政とは限りません。以前は行政主導でしたが、少しずつ民間主導、市民主導の防災活動、災害対策活動と言う流れの胎動を感じる事ができました。
 自分達が今居る場所の状況を現場の判断で情報基地局に情報提供して、基地局で一元化を図り、その結果を集計し市民に広くフィードバックしていく。このような、現場判断による市民と行政が協力し合う形での情報の一元化・共有化が図られる体制をどのようにして実現していくのか、課題は大きいですがこれからの時代に則した防災体制のあり方が少しずつではありますが見えてきました。
 今日のシンポジウムは地震発生時のケースを中心に議論されましたが、気象災害に関しても同じような事が言えるのではないか、と思いました。災害をもたらす気象の動向が予想される時、そして不幸にして災害が発生してしまった時にどのような情報が求められるのか?と言う点についても示唆に富む議論でした。
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日本気象学会・秋季大会・・・お疲れ様でした。(次回こそは)

2007年10月18日 | 気象情報の現場から
 さて、細胞生物学からすっかり遠ざかってしまった元バイオメカニクス専攻です。

 計算気象予報士にキャリア・チェンジしてからというもの、LESによる局地風のシミュレーションを研究していたかと思ったら、やれ回転熱流動問題やら、やれニューラルネットワークやら、今度は熱対流のセル・・・それで?今度は何をやっているの?(もう、何が出てきても驚かないよ・・・)と思ったら・・・今度は長期予報の実験に向けて準備中です。

 この私が長期予報の研究!?・・・いえいえ、別に新しい事ではないのです。ず~っと前からあれこれ手法を試しては失敗しているのです。かつて、CAMJ東北支部が、旧名の仙台支部として発足間も無い頃、私の話題提供デビュー戦でも、いきなり(←いきなりかいっ!)山形県置賜地方の冬の長期予報への挑戦を題材にした事がありましたが・・・見事に撃沈しました。もう、かれこれ・・・数年前

 それからも新しい方法を思いついては実験して、失敗して・・・の繰り返し。いつしか、長期予報はもうや~めた・・・と放り投げてしまった事も(爆)今度は少しマシなものになると良いけれど・・・良い加減、根気強く検証してみようと思います

 ちなみに、長期予報の専任技術者になるわけでは勿論ありません。長期予報はあくまで私の個人的な意地です(つまり、事業ではありません)。意地も張り続ければいつかはモノになる筈・・・(山形県置賜地方のLES研究のように!気象の研究は必ずしも、気象事業者や気象庁、気象系の大学や研究機関に身をおかなくても出来るんです)

 そういえば・・・今週は日本気象学会・秋季大会だったのですね。ぶっちゃけ、参加したかった・・・(学会デビュー戦も考えてはいました)。でも、無理でした。

 北海道は遠すぎる・・・(会場が北海道だったのです)。気になる交通費ですが、北海道←→新潟県某市の往復で・・・飛行機を使っても、JRで青函トンネル突っ切っても、それ程のコストの違いは見出せず、結局、往復の移動だけで六萬円近く、さらにホテル代だの何だのって・・・ドンブリ勘定で見積もっても約壱拾萬円也!!あっ、じゃあ無理だわ⇒ほぼ即決! 

 で、来年の春季大会はどこだ?⇒横浜か・・・じゃあこっちにしよう。⇒けって~い!!というノリで、今回の学会進出をあっさりと断腸の思いで見送り。(学会進出を実現するためには・・・やっぱり先立つものが必要だなあ・・・バイトでもしようかな

まあ、このブログやメールマガジン、さらには7月のCAMJ東北支部例会の場で、学会進出は公言しているわけで・・・万が一、学会進出が図れなかった場合は・・・切腹!・・・というのは勘弁して下さい(懇願)。多少時間は掛かっても公約は果たせるように善処します(さすがに「職を賭して」とは書けませんが)。

 現時点で、研究予稿もある程度準備は出来ています。今後新たな知見があればそれを加える用意はあります。場合によっては2件の投稿も検討しようかと・・・(爆)。(それはさすがに参議院で否決されるかな?)

 その前に、折角なのでCAMJ会報の「てんきすと」にも何か面白いものを投稿しようかと企んでいます(よしっ!閣議決定して国会に提出だ!)。
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不思議な模様と思い出話

2007年10月08日 | 計算・局地気象分野
 さて、不思議な図を掲載してみました。これは一体なんでしょう・・・。

 実は私の皮膚の細胞を顕微鏡で拡大した写真です。

 と言うのは勿論「嘘」です(^o^)。動物細胞と植物細胞のどっちに見える?と言ったら、まあ植物細胞に近いでしょうね。この黒っぽいのが如何にも細胞壁に見えるじゃないですか!でもまあ、この細胞の形がいびつなのは動物細胞っぽいし・・・というわけで、

 これは私のマンションに飾っているチューリップの茎の細胞を拡大したものです。・・・エ?それも嘘だろ!?・・・ですか(信用ないですね~~^^;)。

 はい、嘘です(あっさり認めます)。

 それでは何故嘘だと分かるのでしょうか?まあ、

(1)冒頭で嘘をついているから、もう1回くらい嘘をつきそうな気がする(←鋭い!私の性格を読んでますね)
(2)マンションの部屋にお邪魔したことあるけどチューリップなんかなかったぞ!(←え?いつの話?)
(3)私のキャラクターからしてお花を愛するキャラじゃない!(←そうね、お花よりもお金かなぁ)
(4)なんとなく・・・嘘っぽかった。(←シックス・センスってヤツね)

・・・等々、色々な理由が考えられますが、ズバリ!オルガネラ(細胞内小器官)が映ってないじゃないですか!少なくとも細胞なら核を始めとするオルガネラが無いとおかしいのでは?と元バイオメカニクスの研究者はツッコむのであります。

 というわけで、一体この図は何なのだ?という所に戻りますが、実はこの2~3日この不思議な細胞?の研究をしておりました(とは言っても、実際に頑張っていたのはコンピュータなんですが・・・)。この一言で、ビビビと来た方は相当鋭いですね。これが綺麗な六角形になればベストなんですが、なかなかこれが難しい。

 要は、不安定成層場における熱対流セルの数値シミュレーションです。条件が合えばベナール型対流の綺麗な六角形状の構造を再現できる筈なのですが・・・その条件は未だ見つかっておりません。

 かつて前職の頃(3年以上前は半導体のエンジニアだった)は計算流体力学の専門書籍等を読んで、見よう見まねの渦度法(ζ-ψ法)で2次元の簡単なベナール型対流を再現していました。そういえばGPVを細分化して、簡単な流れの数値解法にぶち込んで局地気象の予測に応用する、なんて研究もやっていましたね(しかも、これは本業ではなく、休日に行っていたのだ!!)。今思うと懐かしい思い出です。

 当時職場の飲み会の度に必ず聞かれるのは、「休日は何してるの?」です。それだけ不思議な存在だったのでしょう、よくわかんないけど。まさか本当の事(以下に述べる)を言うわけにもいかず、適当にはぐらかしていました。それゆえに色々と周囲の妄想を駆り立てたようで、奇想天外な週末を過ごしているという伝説だけが勝手に作り上げられたような気がします。

 色々と辛い思いもしましたし、精神的にも相当追い詰められた筈なのですが、あの頃の嫌な辛い思い出が時間の経過と共に不思議と消えていっています。辛い記憶だけがピンポイントで脳の海馬のなかで破壊されているかのようです。まあ、無駄な記憶は消去して、これからの為にメモリを確保してくれた方が効率は良いですね。今では楽しかった思い出だけが鮮明に残っています。こう考えてみると、人間の脳って都合よく出来てますね(何かの本で読みましたが、人間の脳には記憶を取捨選択できる機能があるらしいですよ)。

 実は、私は公共交通機関を利用する機会が多いです。バスや列車での移動の際は必ず何らかの専門資料を携帯します。乗り物に揺られながら資料に目を通し、集中力が途切れると車窓から望む風景を楽しみ、また資料に目を通す・・・この繰り返しです。バスや列車を待つ時も読書、一人でレストランに入り、注文が済むと料理が出てくるまで読書(どうせ時間が掛かるから)・・・何かと細切れの時間に読書をする習慣があります。

 この習慣はまさに、前職の頃に身に着けたものなのです。当時は東京都内の在住・在勤でしたから、公共交通機関はとっても充実していました。都心部に出かける事もあれば、全然違うところにも行きました。そんな時、必ずカバンを携帯してその中には気象予測の専門資料をギッシリと?忍ばせて、列車の中で勉強していました。日曜日には近くの図書館(萩山だったかなあ)に通って、気象力学の理論を勉強した事もありました。ひたすら方程式の導出を繰り返して、数式操作のテクニックをマスターしようとしていました。

 勿論、楽しいイベント夜通しのイベントにも遊びに出かけました(たまには息抜きもしナイト!)。都心部へのお買い物もよく行きました。CAMJの会合にもちょこっと?参加しました。あの頃の皆さん、今も元気にしてるかな~。で、もちろんその際の移動手段も列車がメインですから専門資料を携帯しての参加です。あ、イベント中には勉強はしませんよ、念のため。とにかく列車の中ではよく勉強しました。そして、当時は社員寮に住んでいましたので、社員寮ではひたすら数値シミュレーションの研究と半導体設計の勉強(←本業が半導体だったから)でした。それと平行して有料・無料のメールマガジンをピーク時には4本同時連載!、さらにホームページを2本!・・・今の私にはまず無理です!!あの頃は技術は無かったけど、若さあふれる情熱に溢れていたんだなあ・・・不遇の境遇だったから余計にそれを莫大なエネルギーにしていたのかもしれない。

 平日は半導体設計技術者(と言う事にしておこう)として過ごし、休日は気象の勉強や研究をを少しずつ少しずつ積み上げていました。気象庁や民間気象会社に所属するという形を取らなくとも気象に関われるアマチュア気象予報士のあり方を模索していました。当時は、アマチュアならばアマチュアを極めてやろうと言う想いもありました。だから、当時の職場でも自分の休日を赤裸々になんて、言えるわけ無いですよね。

 今はもう、かつてのようにイベントに参加するとか夜通しで遊ぶという事もなくなりました。まず、東京を離れてしまったので(爆)。もうホームページもメールマガジンも縮小して、メールマガジン1本+ブログ1本になってしまいました。かつての救急めいとの皆さん、お元気ですか?(←この言葉も今ではどれ程の方に通用するのだろうか)

 この当時からは想像も出来ないくらい?今は本当にひっそりと暮らしています。もしかするとCAMJの中でもすっかり忘れ去られた存在になっているかもしれません。恐ろしい位、地味な生活を送っています(前職時代が派手と言うわけでは無いけれど、そこから比較しても地味と言う事)。

 ちょっと視点を変えて、もし修士課程を修了してから就職せずにそのまま博士課程に進学していたら・・・という事を考えていたりもします。標準で3年、まあ実情に鑑みて4~5年位掛かって博士号取得できたとして28~29歳になってしまいます。修士を終えてそのまま博士課程に進学していたら、あのままアカデミックな世界の中で28~29歳になり、そこから社会に進むわけですが・・・博士課程ではなく就職を選んだ事で、それまでの世界とは違う4年間を過ごす事ができました。それから転職して現在に至るわけです。気象データ解析技術の研究開発が加速したのは言うまでも無いことです。CAMJで表彰されるに至ったのは周知の通りです。確かに、博士課程に行くのも一つの人生ですが、あえて棘の道を進んだ事で色々な経験ができました。決して、資格や学位と言ったハッキリした形ではありませんが、あの時の辛い思いや苦しかった事も私の中では勲章です。

 これまで研究を続けてきた気象解析の基礎技術。ここまでくるのに時間が掛かった。まあ、掛かりすぎたと言う思いも無きにしも非ず。最近は、色々な熱対流や乱流現象の研究を進めております(ようやくその技術的な基盤が整いました)。教科書では2~3行で定性的に片付けられる事も、深く掘り下げるとなかなか奥が深いものですね。

 まあ、「結婚はどうなっている」との周囲の外圧にも負けず、気象監視体制にも負けず、薄給にも負けず(←しつこいっ!)地味な生活を送っていると言う事は、それだけ研究開発に集中しているとも言えるわけで(エ?実際のところは?・・・セイ!セイ!セイ!)、いよいよ満を持しての・・・(謎)
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必殺!○○人

2007年10月06日 | 何気ない?日常
 所用のため列車で片道1時間近く掛けて県庁所在地に行ってきました。その駅のすぐ近くの大きな書店に立ち寄ってきました。この書店はなかなか良い参考書が揃っているのです。

 つい先日もこの書店に立ち寄って、ニューラルネットワークの本も購入したばかりです。気象学の専門書も色々あるので、ついつい衝動買いしたくなるのですが・・・そこは我慢、我慢、くぅ~~(泣)。まずは今、手元にある書籍を一通りマスターする方が先です。日本気象学会から送られてきた書籍もまだ読めていないので、ここで新たに本を買っても、どうせ読まないだろうとの予測が成り立ちます。何せ薄給の私に、無駄遣いをする余裕などありません。

 折角なのでCDソフト店に立ち寄ってきました。珍しく特撮・アニメコーナーにも赴いてきました。あ、ありましたよ!「創聖のアクエリオン」のDVDシリーズ。1巻あたりなんと約8千円!!全部揃えたら・・・○万円近くするなあ・・・OPの歌詞「8千年過ぎた頃からもっと恋しくなった」にちなんで1巻当りこの価格かよっ!という突っ込みはさておき、まあ、それだけ素晴らしい内容なんだろうとは思いますが・・・薄給の私には手が出せません。年収が(少なくとも)今の2倍になったら、絶対に「大人買い」してやる~~ぅ!!と固く心に誓うのでありました。まあ、その前にレンタルビデオ(DVDを扱っているのが絶対条件)屋を見つけるのが先だなあ。(レンタルできれば安く抑えられるわけだし・・・)

 そして、クラシック音楽のコーナーを見ると、シベリウスの交響曲2番・・・この最終楽章の最後のトランペットのアンサンブルが良いんだよなあ、ヴェルディのレクイエム・・・映画「バトルロワイヤル」のテーマにもなったなあ、ワーグナー・・・ぅお~~久々に聞いてみたい・・・等々、どれもこれも買い占めたくなるような気になってきたので、後ろ髪惹かれる思いでその場を立ち去りました。あのままあの場所にいたら、間違いなく衝動買いで散在してしまうので・・・。

 で、テレビドラマのサウンドトラックのコーナーに行き、ついに長い間求めてきたCDを発見しました。「必殺!The BEST」!。いわゆる必殺シリーズの(仕掛け・仕置きの)テーマ音楽のCDです。通販で買おうとしたのですが、サイトとの接続が上手くいかなくて、結局また今度・・・とそのまんまになっていたものです。こんな所でお目にかかるとは、価格も2,800と(ギリギリ)お手ごろなので、この1枚だけを購入しました。

 必殺シリーズは私が生まれる前からやっていて小さい頃に見ていたので、色々な番組がこんがらがっています。しかし、悪逆非道の限りを尽くした悪党どもが、これまた絶妙な仕掛け技で退治されていく様には衝撃を受けました。今思うと、よくまあこんな技を考えたもんだ・・・・と感心してしまいます。

 7月には「必殺仕事人2007」がTVで放送されましたね。この時、私は仙台のホテルで見ていました。現代版の必殺シリーズが復活しないかな~と、淡い期待を寄せています。まあ、あの仕掛け技は真似しようとしても、そうそう真似できるものではないと思いますけどね(特に「飛び道具」系は)

 それにしても、購入したいCDや本は色々あるけれど・・・勉強してみたい事も色々あるけれど、先立つものが・・・。いっそ、手持ちのクラシックのCDを全部○ック○フに売ってしまうか・・・(これまで結構、売り払ってきたよなあ)。それでも、数百円が良い所かなあ。

 それなら「休日」にアルバイトでもしようかなあ・・・。定期は無理でも単発のアルバイトとか・・・。もちろん仕掛人仕置人になるわけではなく合法的な内容のバイトで(交通量の調査って何かオイシそうですね)。まぐまぐプレミアムの新しい企画も考えようかなあ・・・でも、良いネタが見つからないので(沈)。

 そういえば、学生時代は塾講師とコンビニの店員、後は指導教官のティーチングアシスタント(実際は出欠の確認と採点補助)」をやっていました。

 その前に、会社にばれたらヤバイ?それもそうなんだよなあ・・・。

 今の世の中、どこの企業でも従業員の給料を低く低く抑えようとする傾向があるけれど、給料を低く抑えると言うのなら、従業員の副業くらい認めてくれても良いのにね(せめて黙認くらい)。今日もフリーペーパーの求人情報誌を立ち読みしているスーツ姿のサラリーマンと思しき方々を何人も見かけました。彼らも、会社に内緒でバイトしようと考えているのかもしれませんね。

 いずれにせよ、本来のプロフェッショナルとして自分を見失わない事が大前提ですけどね。でも、ある程度のお小遣いが無いと最新知識を仕入れる(=学会活動や専門書籍の購入、論文投稿など)事もままならないわけですし・・・そしてちょっと位は道楽にも使わせてよ、という思いも。
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