計算気象予報士の「知のテーパ」

旧名の「こんなの解けるかーっ!?」から改名しました。

春の学会も終わりました。

2021年05月22日 | 気象情報の現場から
 日本気象学会2021年度春季大会も閉幕しました。そこで、今回の体験録です。前回(2020年度秋季大会)の体験録はこちらも併せて御参考下さい。


(1)リモート形式のオーラルセッション

 オンライン学会のオーラル形式の発表(口頭講演)を見学すべく、半年ぶりにzoomに接続しました。実は学会参加中でも「通常業務」から離れられないので、業務の傍らイヤホン経由で講演を拝聴していました。学会発表を「ラジオ」のような形で聞き流していました。

 発表スライドもチラ見はするのですが、やはり、詳細の研究内容は後で「オンデマンド講演」のポスターで閲覧しました。この「オンデマンド講演」とは、次のような感じで発表と討論を進める形式です。

(1)発表者は予め、Web上に発表資料をアップロード
(2)参加者は興味のある発表の資料を閲覧・コメント等を書き込む
(3)発表者は書き込まれたコメント等にリプライを書き込む

 さらに希望する人はオーラル形式でも発表することができます。つまり、講演者は「オンデマンド形式は必須である一方、追加のオーラル形式は任意」と言うことです。毎回、最先端の研究に触れていると、(専門的な細かい内容は良くわからないものの)視聴していて面白いです。インスパイアされて新たなアイデアが閃くような感覚もあります。

 願わくば、日常業務から切り離されて、それこそ「日がな一日」学会の口頭講演を聴講していたい、とさえ思いました。


(2)オンデマンド形式の発表終了

 私のオンデマンド講演のコアタイムも無事に、静かに終了しました。これで今回の研究テーマ「GSM地上を用いた山形県内における降雪量ニューロ・モデルの開発」も「一区切り」です。今度は例えば「気温」をターゲットにするもの一案と考えています。

 さて、従来の会場参加型のポスターセッションでは、目の前を通り過ぎる人、議論までは行かないけれどポスターだけは見てくれる人、または挨拶ついでに脱線して世間話で盛り上がる等、バラエティに富んでいました。

 一方、Web上のオンデマンド形式の場合は「純粋な討論コメント」のみが可視化されました。その他の交流は「オンライン交流サイト」が別途用意されており、そちらを利用します。

 しかしながら、「コメントには至らないものの、ちょっと興味はあるのでポスターは見たよ」と言う人もいる筈です。私もオンデマンド形式のほとんどのテーマを一通り拝見しました。

 「閲覧者」の視点で「何かコメントを残す」となると、やはり「的外れなことは書けない」という心理的ハードルがあります。本格的な討論コメントの横にただ単に「興味深かったです!今後の研究に期待しています!」と一言感想を書くのは・・・正直、気が引けます。結局、どのテーマについてもコメントは書いてません。

 逆に「発表者」の視点では(コメントするほどではないが)「興味を持ってくれた方」の存在が判るだけでもモティベーションにつながります。上述のzoom経由のオーラル形式であれば、現在の参加者が「○○名」と画面上に表示されます。そこで、Web上のオンデマンド形式でも、せめて「これまで何人見てくれたのか」が判るようになると良いかもしれません。

 また、従来の学会発表(会場開催)における口頭講演やポスター形式では、資料の提示方法や時間的な制約の違いはあれど「資料と説明の両輪」で趣旨を伝える事ができました。一方、オンデマンド形式では「資料のみ」で行います。従って「一目見ただけで」スライドの趣旨が伝わるような工夫が必要と感じました。


(3)オンライン交流サイト

 参加者間の交流用として、オンライン交流サイトが用意されているというので、アクセスしてみました。今回は「Gather.town」と言うサービスが用意されました。初めて使うサービスなので、操作方法をなど判らないことだらけ。とにかく検索しながら操作方法を調べる状態です。

 オンライン学会の開催に当たって、いろいろなクラウドツールが登場するので、その都度「ぶっつけ本番」で使うになります。何かやらかして派手に迷惑をかけそうな気もするので、検索して調べながら、恐る恐る触ってみる・・・というのが正直な所です。

 こうやって、様々なツールを使わなければならない状況に(半ば強制的に)追い込まれるわけですが、正直に言って「少しのことにも、先達はあらまほしき事なり」の心境です。
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梅雨入りの便り

2021年05月12日 | 気象情報の現場から
令和3年の梅雨入りと梅雨明け(速報値)」(気象庁HP)を見ると、梅雨入りの便りもちらほらと届き始めました。

 高層天気図を通して、遥か上空の偏西風の流れを知ることができます。この流れの様子からも季節の歩みが感じられます。冬になると上空の寒気が北から南下するのに伴って、偏西風の流れもヒマラヤ山脈の南側を通るまでに南下します。一方、夏になると、偏西風の流れはヒマラヤ山脈の北側を通るまでに北上します。



 そして、その中間の冬から夏の移行期に当たる梅雨は、偏西風の流れがヒマラヤ山脈にぶつかり、南北に分流します。このようなパターンが、少しずつ見られるようになりました。



 梅雨の時期となると気になるのが「集中豪雨」です。そこで、集中豪雨の特性要因図を描いてみました。



 集中豪雨の背景には様々な要因が挙げられますが、主に「鉛直対流の強化」と「水蒸気量の増加」に分類されます。これらはさらに細かい要因に分けられます。個々の事例において「どの要因が、どのような形で、大きな役割を果たすのか」を見極めるのが肝要です。

 特に豪雨のカギとなるのは下層における多量の水蒸気の流入です。
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再び春の学会の時期です。

2021年05月10日 | 気象情報の現場から
 気が付けば、4月1日の記事を最後にブログの更新が止まっておりました。

 暦も5月も中旬に入り「日本気象学会2021年度春季大会(オンライン開催)」の開幕まで一週間を切りました。今回は5月16日~21日の日程で開催されます。

 前回に引き続き「オンライン開催」と言うことで、講演資料の「Web公開」(オンデマンド形式)やテレビ会議システムを経由したオーラル形式を併用します。なお、前回の詳しい体験談は過去の記事に掲載しています。

 今回も「GSM地上を用いた山形県内における降雪量ニューロ・モデルの開発(第3報)」と題した発表を行います。前回の演題に「(第3報)」を付しただけの「何とも捻りのない」タイトルではありますが、敢えて「研究の継続性」という意味を込めました。

 ここ最近の研究テーマを振り返ると(地域気象に関する)「数理モデル」ではあるものの、どちらかと言うと「情報システム」に比重を置いた感があります。

 ついでに「情報システム」に関連して、去る4月18日に「情報処理技術者試験」を受験しました。受験区分は「応用情報技術者(AP)」です。かれこれ20年以上も前に「第2種情報処理技術者試験」(現在の「基本情報技術者(FE)」に相当)に合格して以来と言うこともあり、最近のIT分野の基礎知識を勉強する良い機会となりました。気になる合格発表は「6月25日」の予定です。随分と先の話です。
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