計算気象予報士の「知のテーパ」

旧名の「こんなの解けるかーっ!?」から改名しました。

そろそろ年度末

2022年03月16日 | オピニオン・コメント
 2021年度も残す所、あと半月となりました。

 毎度のことながら、年度替わりの時期は何かと異動の知らせも賑やかに感じております。三月末を以って「卒業」など、それまでの活動に終止符を打ち、この四月から新生活・新しい門出を迎えられる方も多いのではないかと思います。まずは、お疲れ様でした(ちょっと早いかな)。私も昨年11月半ばから続いている降雪予報期間のゴールが近づいてきました。

 さて、昭和から平成、平成から令和に移り変わるにつれて、世の中の在り様は怒涛の如く変化しています。まさに「VUCA時代」と言う言葉に象徴されるように、従来の常識を覆すような社会変化が次々と起こっており、今となっては「将来」を予測するのが困難な状況です。

 この「VUCA(ブーカ)」とは「Volatility:変動性,Uncertainty:不確実性,Complexity:複雑性,Ambiguity:曖昧性」を組み合わせた用語です。現代の状況を端的に表す4つのキーワードともいえるでしょう。まるで「下りのエスカレータをひたすら上っている」ような錯覚さえ覚えます。

 このような時代の流れの中で変化を拒み続けることは、最早「保守的」や「停滞」所の話ではなく、確実な「衰退」を意味します。さらに時代の変化に伴い「加速度」も加わります。従って、この現代を生きていくためには、常に「学び、考え、行動し、成長する」ことが必要です。そして、この積み重ねこそが「努力」です。人は何のために学ぶのか。それは、このような激流の中を「生きるため、生き抜いていくため」と言っても過言では無いでしょう。

 ところで、巷では「○○ガチャ」と言う言葉が流行しているようです。この言葉を使うことには賛否両論ありますが、私は肯定的に捉えています。要は「人に与えられる条件は必ずしも平等ではない」と言う本質を、カジュアルに表現したものです。別の言い方をすれば、人生には「自分の努力ではどうにもならない」要素が多いと言うことです。

 確かに「ガチャ」に当たった人は幸運であり、「ガチャ」に外れた人は不運と言えますが、そもそも人生の「ガチャ」は無数にあります。ある「ガチャ」には当たれども、別の「ガチャ」には外れることもあり得ます。とは言え周囲を見渡せば、「当たりガチャ」が多い人もいれば、「外れガチャ」の多い人もいます。「やはり、人に与えられる条件は平等ではないのだ」とあらためて実感します。

 しかし、「それならしょうがない」とばかりに、いつまでも同じ所に留まって、ボーッと救いの手を待っていても、誰かが手を差し伸べてくれるわけではありません。それこそ「ボーッと生きてんじゃねーよ!」と言われるのがオチでしょう。「ガチャ」に外れたならば、その不運を乗り越えるための「努力」が必要です。しかし、「ガチャ」に当たったとしても、やはりその幸運を活かすための「努力」は必要です。

 もちろん「ガチャ」と言うのは「努力ではどうにもならない」ものですが、「ある程度のダメージ・コントロール」はできるでしょう。いわば「運命」と言う名の荒波に乗るサーファーのようなイメージ、もしくは人生の「リスクマネジメント」とも言えるでしょう。努力は成功の必要条件なれど、十分条件ではありません。それでも努力を続ければ、どこかで道は開けるかも知れません。

 私も何かと「ガチャ」に振り回されることが多い人生と感じてます。一方、人生の節目・分かれ道において「天の見えざる手」によって導かれているではないか、と感じることもあります。ただし、ここで「天」とはいかなる存在かについては考えません(これは「宗教」の領域なので、宗教家の皆様にお任せします)。

 ふと、外に目を向けてみると「私たちの社会が多くの仕事によって構成されている」ことに気付きます。社会を構成する一人一人が各々の役割を担っており、各自の務めを果たすことで成り立っている、と言い換えることもできるでしょう。

 別に「社会」と言った大きなものに限りません。例えば、「オーケストラ」であれば、大きくは弦楽器・管楽器・打楽器に分けられ、さらに指揮者やソリスト、曲目によっては合唱団が加わることもあります。各々の奏者が譜面を通して与えられた旋律を奏でる事で、全体として壮大な音楽が作り出されます。また、「野球」や「サッカー」などの団体球技でも、様々なポジションがあり、その各々に固有の役割があるはずです。

 さらに、様々な意味でマジョリティが存在する一方、マイノリティも存在します。そして、それぞれに何らかの役割があるはずです。社会はまさに多様な人材多様な役割によって構成されています。この多様性こそが「ダイバーシティ」です。

 ただ、ここで悩ましいのは、個々人が「どのような役割を担ってこの世に生を受けたのか」つまりは「天によって与えられた役割(使命)」が判らない、と言うことです。予めそれが判っていれば、今更「何を学ぶべきか、どのような行動を起こすべきか」と迷うこともありません。しかし、現実は違います。それは、換言すれば「自らの創意工夫によって、自らの活路を切り開くことが可能」と言うことです。

 もし「大まかな役割(方向性)」は与えられていたとしても、その具体的な在り様は、時々刻々とその状況に応じて変わります。VUCA時代には「決まった答え」のない問題が山積しています。自分の役割を果たすといっても、その現れ方のヴァリエーションは無限にあるでしょう。

 そして、その活躍の「根源」となるのは、自らの中に構築される「知識・知恵の体系」すなわち「知のテーパ」です。そして、自らの中にどのような「知のテーパ」を構築するのか、それは人それぞれです。昨今のコロナ禍における制約もありますが、学び、考え、行動と成長を重ねることで、来るべき「アフターコロナ」に備えましょう。
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春の訪れと積算最高気温

2022年03月14日 | お天気のあれこれ
 暦は3月を迎え、いよいよ春の足音が聞こえてみました。
 さて、この時期に参考になる積算最高気温の目安として次のようなものがあります。

1月1日から日々の最高気温を足して、300~350℃が東日本で花粉飛散が始まる目安。
2月1日から日々の最高気温を足して、600℃サクラの開花時期の目安。

 そろそろ花粉も飛び始めているようです。気温も上がってきているので、サクラの生育も進みそうですね。

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このブログについて ~いまさらながらのトリセツ~

2022年03月13日 | このブログについて
【1.はじめに】

 この記事は、主に「はじめてこのブログに訪れた方」のための内容です。

 このブログは「2005年12月27日」に開設されました。従って、この記事を上げる時点で既に「17年目」となります。最近は様々な検索を通じてアクセス頂くことが増えてきたため、あらためてブログの説明を上げることにしました。

 私にとってこのブログは「サイバー空間における落書きのようなもの」です。特にこれと言った「コンセプト」を決めず、徒然なるままに書き綴る方針を貫いています。更新頻度や記事の内容も、気が向いたときに書きたいことを書きたいように書いています。

 記事の内容も、自分の勉強や思索に関する「メモ書き」「雑感・つぶやき」と言ったものから、「人生の記録」と言ったものまで様々なジャンルを含んでいます。

 また、かつて理解するのに苦労した物理学や気象学の概念を、図や言葉で判りやすく解説する「学習ノート」という意味合いもあります。このような記事については「かつての自分が教えて欲しかった疑問や悩みについて、今の自分の視点で回答する」ようなイメージで書いています。

 なお、ブログはあくまで「落書き」なので、後から修正を加えることもあります。学術論文のような厳格なものでは無く、極めてアバウトなものです。

 従って、当ブログの内容に基づいて行った活動により発生した、いかなる「生命、身体、財産上の損失又は損害」についても責任を負いかねますので、予めご了承下さい。

※この記事(トリセツ)も必要に応じて、アップデートします。


【2.タイトルについて】

 これまでタイトルを2回変更しています。現在のタイトルは3つ目です。

 1つ目:計算気象予報士の「ここだけの話」
 2つ目:計算気象予報士の「こんなの解けるかーーっ!?」
 3つ目:計算気象予報士の「知のテーパ」

 正直、ブログのタイトルは深く考えておりません。始めの2つはほとんど思いつきノリで決めました。

 1つ目は開設当初と言うこともあり無難なタイトルを付けました。しかし、余りにもありきたりなネーミングだったので、インパクト重視を狙ったのが2つ目です。その後、タイトルの存在はすっかり忘れていました。

 そして、最近の少し真面目な記事の傾向に合うように、現在のタイトルに代えました。ここで「知のテーパ」とは、様々な学びや経験を通して自らの中に構築される「知識・知恵などを体系化したイメージ」を表現しています。こちらの過去記事も御参考下さい。


【3.引用・リンクについて】

 著作権法の扱いについては文化庁のサイトで詳しく解説されています。
 著作物が自由に使える場合(文化庁)

 その上で、必要要件(出典の明記など)を満たした「引用」については私の許諾は必須ではありません。実際、当ブログの図を引用しているサイトを見かけます(出典を明記して頂けるのはありがたいです)。ただ、引用先の内容については、私は一切責任を負いません

 また、リンクの許諾も原則不要(リンクフリー)です。既に様々なQ&Aサイトでも当ブログの記事のURLを御紹介頂いているようですが、その状況については私も十分には把握していません(でも、たまに見かけます)。ただし、リンク元の内容についても、私は一切責任を負いません

 また、当ブログの記事を引用・リンクしたことに伴う損害などの責任は一切負いません。従って、記事の内容や図を御精査頂き、引用・リンクするに値するか御検討をお願い申し上げます。


【4.連絡先について】

 当ブログの図や記事の他の著作物等への改変・転載、または取材・講演・出版・事業(※)などの案件でコンタクトを希望される場合は、この記事のコメント欄に下記の事項を記載して下さい。頂いた記載内容はブログ上では「非公開」とした上で、折り返し御連絡致します。

・御担当者様のお名前
・返信先メールアドレス
・御相談内容

 但し、頂いた内容によっては返答できない、または対応を保留する場合もございます。予め、御了承下さい。なお、その他の過去記事についてはコメント欄を閉じています。交流の場については別途SNS(ツイッター、フェイスブック)に移行しております。

(※)99.99%無いと思いますが、一応書いておきます。


【5.著者(ブログ管理者)について】

 私は地方の気象情報会社で予報業務に従事しています。日々の業務として、放送番組用の天気原稿の作成、地域行事の開催・運営に関わる気象支援、さらに冬季は除雪作業のための降雪量や最低気温の予報も行います。

 主な専門分野は「山形県・新潟県の地域気象に関する数理モデルと情報システムの開発」です。熱流体計算や機械学習など工学的手法による地域気象の解析や、経済学・金融工学の手法による気象情報のビジネスへの応用を研究しています。
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卒業シーズン

2022年03月07日 | 何気ない?日常
 出勤途中に見かける専門学校。今朝は卒業式の看板が掲げられていました。そういえば、卒業シーズンなのですね。

 折しも、コロナ禍に伴う社会不安や経済活動の停滞、さらに最近では深刻な国際情勢も加わり、果たして「世界はどこへ向かおうとしているのか」と、将来に対しての見通しも立たない状況の真っただ中です。それでも、前に進まなければなりません。

 卒業される皆様にとって、学生生活の日々を「充実して過ごすことができたのか」との懸念はあります。校舎での集団授業や実習・課外活動などにも大きな制約があり、思う存分にスクールライフを堪能できなかった所もあるのではないかと推察します。状況によっては、学友や教職員との交流も余りできなかったかも知れません。

 しかし、学生時代よりもその後の人生の方が遥かに長いのもまた事実です。学習環境が発達した現在では、「学び直し」それ自体は「いつでも・どこでも」できるようになりました。あとは、「何を学ぶか」と言った問題(目標)意識と、「学びたい」という情熱、そして時間や環境を生み出すための工夫さえあれば良いのです。

 学生時代に学べるものは、あくまで必要な知識の「イントロダクション」に過ぎません。つまり、これまでの日々でやり残したものがあるならば、これからの未来で取り返せば良い。出会いや学びのチャンスも「これで終わり」ではありません。

 己の「知のテーパ」の構築は、今まさに始まったばかりです。この後の成長と行動を続けるか否か、その差は大きいものになります。いつまでも同じ場所に留まるか、それとも着実に前進を続けるか。例え小さな一歩でも、それが積もり積もって、やがては大きな飛躍の糧となるかも知れません。

 新たな門出に幸多からんことを。
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