計算気象予報士の「知のテーパ」

旧名の「こんなの解けるかーっ!?」から改名しました。

今年一年、ありがとうございました。

2009年12月30日 | 何気ない?日常
 このクリスマスで、ブログを開設してまる4年間が過ぎました。従って、このブログは、一足お先に新年を迎えました。いよいよこのブログは5年目に突入します。もうすぐ、2009年も終わります。来る2010年が、より良い1年となりますよう・・・。
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クリスマスが終わって・・・

2009年12月27日 | 何気ない?日常
 いよいよ2009年も残す所僅かとなりました。このクリスマス、皆さんは如何お過ごしだったでしょうか。

 私はクリスマスの2日間は共に塾での冬期講習に入っておりました。季節柄?、教室ではサンタクロースの帽子をかぶっての(←強制)授業だったわけですが、終わった後で、推進した当の本人の教室長が「高校生から『絶望的に』笑われた」と苦笑する始末。こういう芸当は「笑われる事を前提に」、ある意味「ウケル」事を狙っていく趣旨もありますから、その意味では効果テキメンだったわけです。楽しく学べる環境を提供する意味では良いと思いますが、講師の間では案外?不評だったようです(教室長・談)。と言うわけで、来年はやるかどうか未定です(爆)。

 塾の方は最近、中学生をメインで担当する事が多く(しかも数・理・英・社が入り乱れ、たまには国もあるという)、3年生は勿論の事、2年生も高校入試を意識した勉強を始めています。つまり、高校入試レベルの実戦的な問題演習を担う事も多々あるのです。そんな事もあり、様々な教科について入試レベルで勉強しています。その他に、本業での専門分野の研究開発やマーケティングリサーチ、基礎知識の拡充・・・、この1年で相当、知識の幅が広がったと思います。

 ところで、気象庁が半世紀に渡って継続してきたサクラの開花予報を終了するようです。これもまた一つの時代の流れなのでしょうね・・・。
http://www.jma.go.jp/jma/press/0912/25a/091225sakura.html

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今週はいよいよクリスマス

2009年12月20日 | 気象情報の現場から
 さて、大学院での講演も無事修了し、今年も残す所は十日余りとなりました。忘年会シーズン真っ只中と言う事で、私も2つの忘年会に参加した所です。

 2009年と言うこの一年を振り返ってみると、2月末までは大学研究員としてプロジェクトに参加した後、4月の新年度スタートを機に事務所を旗揚げし、5月にはつくばで気象学会発表、6月には悲願の気象学会誌への論文掲載・・・そして今月には大学院の教壇に立ちました。何だかんだと言いながらも、英会話講座に通い、塾講師もやりながら、気象データの解析様々な分野の勉強に明け暮れた1年だったと振り返っています。色々な意味で「区切りの年」だったのではないか、と感じています。

 今まで細々と取り組み続けてきた成果が、漸く具体的な形となって実を結び始めた年になったように思います。長年に渡って研究を続けてきた熱流体数値モデルについては「流体力学方程式+熱力学方程式+乱流モデル+山岳地形」の構成で解いてきました。そして今度は、その次の段階としてさらに「スカラー量の輸送方程式」を搭載した数値解析プログラムへのバージョンアップに着手しております。

 スカラー量として扱うパラメータは色々ありますが、将来的には水蒸気の輸送過程を考慮し、更に可能であれば何らかの凝結過程モデル搭載まで辿り着きたいと考えています。従来の「流体力学方程式+熱力学方程式+乱流モデル+山岳地形」が第1段階(ファースト・ステージ)であるならば、今度は第2段階(セカンド・ステージ)として「スカラー量の輸送過程の搭載」に挑みます

 4月に気象予報士事務所が発足してからというもの、新しい時代における新しい気象ビジネスの方向性について模索し続けてきました。この問題については長年に渡って考え続け、そして悩み続け、試行錯誤を繰り返してきましたが、その結果、この問題に対する自分なりの答えを持つ事が出来ました。今後はこの見解や指針、思想を如何に「具体的な事業」という形に導く事が出来るのか、が勝負になります。また、そう遠くない未来に「法人化」も見据えていかなければなりません。

 昨年は、それまでの「地味に、静かに」過ぎていった流れから「変」わり始めた年となりました。その後に続く今年は、インプット・アウトプットの両方をさらに活性化させる事が出来た年だったと思います。一年を表す今年の漢字に目を移すと、2006年は「命」、2007年は「偽」、2008年は「変」、そして今年2009年は「新」。去年とは一味も二味も違う、静かなれど着実に、次のステップへと続く「新たな展開」の幕開けとなる一年だったと感じている今日この頃です。

 今年の「新」と言う一字は、新政権の発足、新型インフルエンザ等が取り沙汰されておりますが、旧的な価値観や体制を改めて見直し、必要に応じて新しいものに改善して行くと言う時代の変化のうねりを垣間見る事ができるかもしれません。来る2010年がより良い一年になる事を願って・・・また、解析の現場に戻ります。

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満を持して、大学院の教壇に立つ。(2回目)

2009年12月11日 | 気象情報の現場から
 今日は先週に引き続き、片道2時間近く掛かる大学院にて「計算局地気象学特論 ─ 気象学基礎および風況予測への乱流解析応用 ─」と題して講演2回目(全2回)を実施しました。
 
 今回の主な内容はこんな感じです。

【第2回】局地気象モデリングと風況予測への乱流解析応用

 (3)局地気象の基礎知識
  ・温位(ポテンシャル温度)の導入と大気の安定・不安定
  ・山越え気流の基本構造
 (4)物理現象モデリングの考え方
  ・シミュレーション(仮想実験)の2つの形
  ・モデリングの流れと考え方
  ・複雑な流れ解析の問題点
  ・局地気象の解釈と基礎方程式
 (5)山形県置賜地方の冬季局地風の解析
  ・実際の気象データのモデリング
  ・シミュレーション解析結果と局地気象特性の知見
 (6)天気予報の仕組みとその課題
  ・実際の天気予報における数値予報と予報技術者の役割
  ・これからの気象情報と気象予報士の可能性

 このように今回もまた「90分」と言う限られた時間の中に、かなりの内容を圧縮しました。実際の気象は様々な時空間スケールの現象が複雑に重なり合い、互いに影響を及ぼしあっている「多重時空間スケール構造」でありますが、このような多種多様な現象の「コラボレーション」をどのように整理して「解析モデル」の形に表現し、そして解を得る事ができるのか、というのが今回のメイン・テーマでした。

 まずは温位(ポテンシャル温度)の導入です。温位は「エントロピーと同様に変化の経路によって左右されず、その時の状態の条件によって一義的に定まる(そのまま数学的演算が可能)状態量の一種である」ものと認識しております。断熱的に空気塊を鉛直方向に上下させると、この空気塊は断熱的に膨張・圧縮するため、空気塊自身の温度は変化します。しかし、あくまで断熱変化なので、空気塊自身とその周囲の間では熱エネルギーの授受は一切ありません。従って、断熱的に空気塊を鉛直方向に上下させた場合、「見た目?」の温度は確かに変化しますが、空気塊の持つ潜在的な熱エネルギーの総量は変わることはありません。この温位と言う概念は、私も当初は「空気塊を断熱的に基準気圧(=1000hPa)の高さに持ってきた時の空気塊の温度」と、教科書通りの解釈を暗記していたのですが、最近になって漸くその物理量のレーゾンデートルの真意を理解している所です。

 そして複雑な局地気象と言うこの「物理現象」を、どのように整理して「解析モデル」の形に表現し、そして解を得る事ができるのか。この部分はかなり私自身も悩んできた部分だったので、思わず力が入りました。まず、気象の数値シミュレーションの方向性については当ブログ「これからの新しい気象予報士の姿とは?(2009年11月13日)」の内容を踏襲して解説し、実際に解析を行う段階では、フルード数とNavier-Stokesにおける浮力項の考え方も重要になってくる所です。これまで色々と試行錯誤を重ねてきた集大成を見る事ができた気がします。天気予報の仕組みとその課題では、実際の予報の流れや気象庁の数値予報モデルも紹介し、今後の局地気象に関する気象予報士のアプローチの可能性を熱く語り、最後の締めくくりとなりました。

 今回は、一連の準備を通じて今まで取り組んできた内容を改めて体系的に整理する事ができました。限られた時間の中では、今までの知識や経験の全てを出し切る事は出来ません。それでも、その中の特にコアとなる部分を抽出して重要な部分・エッセンスについては一通りお話する事は出来たように思います。

 最後に、自分達が思っている以上に、自分達の学んでいる知識が、いろんな場所で、いろんな形で、社会の役に立っていると言う事を感じ取ってもらえれば・・・そんな想いで教壇に立ちました。・・・でも、実感するのは実際に社会に出て、色々な経験を積んでからになるのでしょう・・・。

 これで、1ヵ月半に及ぶ準備と2回に渡る講義(講演)は無事、終了しました。

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満を持して、大学院の教壇に立つ。(1回目)

2009年12月04日 | 気象情報の現場から
 師走の寒空の下、クリスマス忘年会の美酒に酔いしれて奇声を発しながら戯れる群集を尻目に、私は地道にデータ解析や会議、塾講師の日々が続いています。

 そして、今日は片道2時間近く掛かる大学院にて、遂に「計算局地気象学特論 ─ 気象学基礎および風況予測への乱流解析応用 ─」と題して講演1回目(全2回)を実施しました。皆、真剣に聞いてくれました。自分達が普段から良く知っている、または経験している熱流体力学とは違う世界を見て、新たな熱流体分野のインパクトを感じてくれたら良いと思います。

 この一連の準備や今日の第1回目を通じて改めて実感しました。やっぱり気象学は複雑で難しい。私でさえ、今頃になってやっとわかった!と言う内容もあるのですから、初めて聴く学生さんにとっても、難しかったかもしれません。一方、だからと言って簡単にしてしまうと学生さんが学んでいる「熱流体力学」との接点を浮き彫りにした理論を展開する事ができないので、内容の取捨選択や構成はかなり難しいものでした。
 
 今回の主な内容はこんな感じです(ズバリ、力学過程に限定しました)。

【第1回】気象学の基礎知識

 (1)地球大気の運動と力学
  ・地球大気に働く力と空気塊の運動方程式
  ・上空の地衡風と地上付近の水平風
  ・静力学平衡の考え方と層厚の式
  ・大気の大循環と三細胞構造のメカニズム
  ・温度風の関係とジェット気流の形成
  ・傾圧不安定波の発生と熱ロスビー波の数値実験
 (2)擾乱(低気圧・高気圧)の発生と立体構造
  ・(偏西風)ジェット気流と高気圧・低気圧の対応
  ・(偏西風)ジェット気流と温帯低気圧・前線の三次元構造
  ・温帯低気圧のライフサイクル
 (3)局地気象の基礎知識
  ・局地的な気象現象(海陸風,フェーン現象,おろし)
  ・大気の安定・不安定の考え方

 このように「90分」と言う限られた時間の中に、かなりの内容を圧縮しました。今回感じたのは「温度風の関係」の理論(の考え方)が特に難解と言う事。これは確かに難しかったと思います。出発点が同じ「熱流体力学」だったとしても、適用する現象や場の構造と言った諸条件の違い等によって、その後の理論展開がまるで違ってくる、という事はしっかり感じて頂けたのではないかと期待しています。

 また、地球大気の中で幾重にも複雑かつ絶妙なメカニズムが働く事で、日々のお天気が時々刻々と変化していると言う事が伝われば、それで良いと思っています(これが今回、一番伝えたい部分です)。こんなに複雑で難しい「気象」をどのように扱って解析モデルの形まで持っていくのか・・・と言うのが次回のお話です。この部分が、私の長い長い試行錯誤の結晶になるのです。

 これまでも様々なプレゼンテーションを経験してきましたが、今回は・・・約80分間ノンストップで話し続けました。これは自らの最長記録を更新しました。講演終了後は・・・さすがに疲労困憊でした。明日は塾の講師研修(講師会議)があります。また、それ以降もデータ解析や、そして第2回講演に備えての準備等に追われる日々になるでしょう・・・。

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