計算気象予報士の「知のテーパ」

旧名の「こんなの解けるかーっ!?」から改名しました。

新潟県内における花粉飛散量

2021年02月19日 | 気象情報の現場から
 そろそろ花粉シーズンの始まる頃でもあります。花粉飛散量のデータは、環境省花粉観測システム「はなこさん」(http://kafun.taiki.go.jp/)で掲載されています。新潟県内の花粉飛散量は新潟市、長岡市、上越市の3か所で観測されています。

 そこで、各地の2009~2020年の春期(2~5月)の花粉飛散量を調べてみました。

 まずは春期(2~5月)の総飛散量の年別の推移を見てみましょう。このグラフからも判るように、花粉飛散量は年毎に大きく変動しています。特に2011年の春は大量の花粉飛散が観測されました。最近では2019年は花粉が多かったものの、2020年は花粉が少なかったようです。



 続いて、旬別の平均飛散量を見てみましょう。このグラフによると3月上旬~4月中旬が花粉飛散の大きな山となっています。この後も飛散は続きますが、量は少なくなっているようです(とは言え、油断はできませんが)。



 今年の春はどうなるでしょうか?
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成層圏突然昇温

2021年02月03日 | お天気のあれこれ
 大雪をもたらす強い寒波の背景として「ラ・ニーニャ現象」の影響という話を聞くと、私の視線は自ずと北極圏に向かうのです。

 成層圏における東西流の平均場を見ると、夏季は同心円状の東風循環を形成する一方、冬期は変形を伴う西風循環となります。これは下方・対流圏のプラネタリー波(偏西風波動)の上方伝播の影響です。成層圏が東風循環の場合は上方伝播できず、西風循環の場合は上方伝播できるという違いが現れています。



 対流圏のプラネタリー波が成層圏に上方伝播することに伴い、西風循環が変形します。この変形が過大になると、時として周囲の高気圧性循環が北極付近を乗っ取る?ような形になることがあります。冬季にも関わらず、まるで夏季のような状態となり、一時的に成層圏の気温が上昇します。この現象を「成層圏突然昇温」と言います。成層圏突然昇温が生じると、北極圏に蓄積された寒気が中緯度地方に放出されやすくなります。



 ここで、ふと思い浮かぶのが北極振動です。北極振動は、北極付近と中緯度の地上気圧が互いに変動する現象です。正の北極振動(下図・左)は、北極付近に寒気が蓄積されるため、寒気の南下が起こりにくくなります。一方、負の北極振動(下図・右)では、北極付近に蓄積された寒気が周囲に向かって放出されるため、日本付近でも強い寒気の南下が起こりやすくなります。つまり、成層圏突然昇温が生じると、負の北極振動のパターンが現れやすくなる傾向があります。


 さて、この冬の特徴として、昨年夏から続いたラ・ニーニャ現象の継続に加え、負の北極振動の影響が加わったため、非常に強い寒気が南下しました。その上空ではどうやら、成層圏突然昇温も発生していたようです(西風循環が変形の様子は上記の図とは異なるようですが)。
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