計算気象予報士の「知のテーパ」

旧名の「こんなの解けるかーっ!?」から改名しました。

寒波襲来の背景にあるもの

2023年02月09日 | 気象情報の現場から
 2023年1月下旬に襲来した「10年に一度」の「最強寒波」の背景を探ってみます。寒波が顕著だった1月21日~25日(第5半旬)の特徴をラフに描いてみました。


 偏西風の蛇行が大きく、北極付近の上空ではリッジが卓越しました。一方、日本付近では広くトラフとなりました。このため、北極付近に蓄えられた寒気が日本付近に向かって放出された形となりました。

 つまり、対流圏内で偏西風の蛇行が大きくなり、その波動が上層の成層圏にまで伝播して「成層圏突然昇温」を引き起こした結果、対流圏でも「負の北極振動」のパターンが顕著になりました。さらに、日本付近でトラフとなったことが寒波の襲来につながったものと考えられます。
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2023年01月の降雪傾向(山形県)

2023年02月03日 | 山形県の局地気象
 2023年が幕を開けて、早くも1か月が過ぎました。この年の1月は変則的な冬となりました。中旬には「冬の中休み」とも言うべき、穏やかな春の陽気も感じられました。しかし、その後は「10年に1度の最強寒波」の襲来により、多大な影響を受けました。

 そこで、この1月の特徴を地上・高層の気象観測データを用いて振り返ってみます。

 輪島・秋田の高層気象観測を基に、「850hPa面の気温ヒストグラム(1月)」を作成し「平年(1991~2020年)」と「本年(2023年)」を比較しました。両地点とも今年の出現気温は、平年に比べ低温側に偏る傾向が見られました。特に秋田の「-21~-18℃」、輪島の「-18~-15℃」は先日の「最強寒波」の影響です。


第1図・850hPa面の気温ヒストグラム(1月)


 続いて、輪島・秋田の高層気象観測を基に「850hPa面の風配図(1月)」を作成し「平年(1991~2020年)」と「本年(2023年)」を比較しました。秋田では「西北西」の風、輪島では「西風」の比率が平年よりも多い傾向が見られます。確かに、予報業務に従事していると「日本海に現れる収束帯が局地的な降雪につながることが多い」ように感じました。


第2図・850hPa面の風配図(1月)


 山形県の今年1月の積算降雪量を平年値と比較しました。積算値の「極大域の位置」は平年と同様でしたが、積算値の「大きさ」を見ると、平年より50cm程度少ない傾向が見られました。


第3図・1月の積算降雪量


 山形県の1月の旬別降雪量を平年と2023年で比較しました。本年1月の上旬は海岸平野部で少雪傾向となる一方、内陸部や山間部では概ね平年と同程度でした。中旬は「冬の中休み」とも言うべき「少雪傾向」でしたが、下旬になると「最強寒波」の襲来に伴い「多雪傾向」に転じた地域も見られます。



第4図・1月の旬別降雪量(旬毎・地点別)
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