計算気象予報士の「知のテーパ」

旧名の「こんなの解けるかーっ!?」から改名しました。

マニュアル解析と線形内挿に基づいた解析の比較

2012年11月30日 | 計算・局地気象分野
 先日、2012年11月17日のブログ御紹介した、山形県内の冬の間(1~2月の2か月間)の平均的な積算降雪量の分布を、マニュアルの等値線解析とコンピュータによる線形内挿に基づいた解析の両方で可視化し、その結果を比較してみました。

クリックすると拡大します
(※画像をクリックすると拡大します。)

 どちらも冬の間(1~2月の2か月間)における2ヶ月積算降雪量 (2001~2012年の平均値:単位は[cm])で、左がマニュアル解析、右が線形内挿に基づいた解析です。基となる気象観測データは、アメダスの降積雪量を使用しています。

 概ね同じような特徴が解析されており、降水量と降雪量の特に多い領域(極大域)は、朝日連峰の位置と概ね重なっており、その右側(東側)では降水量と降雪量の特に少ない領域(極小域)が目立っています。

 以前、2007年03月15日のブログでは、点在する観測データからメッシュ推定値を計算する取り組みを紹介しておりましたが、それから幾多の試行錯誤を経て、漸く簡単な手法で点在する数値データを面的に展開する手法を独自に考案するに至りました。
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日本海上の等圧線の傾斜角

2012年11月28日 | 気象情報の現場から
 昨日は冬型の気圧配置が強まったため、冬の冷たい季節風が強く吹き付け、山形県内では向町、金山、新庄、肘折、大井沢、長井、そして新潟県内では湯沢、津南の各アメダス観測地点で、降雪が観測されました。

 さて、これから冬になってくると天気図の上では、等圧線の縦縞模様でお馴染みの「冬型の気圧配置」を目にする機会も増えてきます。



 縦縞の等圧線の本数が多くなればなるほど、そして等圧線の間隔が狭く密になればなるほど、東西の気圧差が大きくなるのに伴って、季節風の勢いも増していきます

 そして、日本海上の等圧線の傾き、すなわちと等圧線と緯線方向の成す角φの傾きは上空の約2km以内の概ねの風向を推測する事が出来ます。大雑把な目安としては次のような感じです。

(1)φ≦45°
 ⇒ 季節風は概ね西南西~西寄りの風向

(2)45°≦φ≦90°
 ⇒ 季節風は概ね西北西~北西寄りの風向

(3)90°≦φ
 ⇒ 季節風は概ね北北西~北寄りの風向

 これはいつでも必ずこの通りになる」という公式ではありませんが、これを参考に地上天気図を眺めながら上空の季節風は・・・と想いを馳せてみるのも面白いかもしれません。

 同じ「冬型の気圧配置」でも、雪の降り方は大きく異なります。雪国で生活する皆様にとって、自分の住んでいる地域では「どのような冬型の気圧配置の場合に」雪が降りやすいのか?を把握する上での参考になれば幸いです。
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冬将軍を迎え討つ。

2012年11月23日 | 気象情報の現場から
 いよいよ、本格的な冬が迫ってきました。



 こちらは10年前のノートのあるページ。私の気象予報士としての出発点でもあった「米沢地域の雪の降る条件やメカニズム」に取り組み始めた最初のノートです。

 この図は、上空の気象条件と山形県米沢地域での雪の降り方の関係を整理しようとしていたものです。縦軸と横軸にそれぞれ異なる2種類の気象要素(パラメータ)を設け、その組み合わせと地上での降り方をマッピングで表現しようとしたものです。これを纏めれば、独自の局地予報が出来るのではないか・・・と考えたわけです。



 こちらは当時、冬の期間(12月~2月)の積算降水量の分布マニュアル解析したものです。日々の天気図の解析を通じて、上空の状態と地上の降雪の様子の関係を図に表わそうとする中で、県内の降雪量の多寡・分布の傾向にも目を向け始めました。現在は、マニュアル解析と言っても、次の図のようにマウスを動かして描くことができます。



 冬の間(1~2月)の(a)積算降水量(mm)と(b)積算降雪量(cm)を調べてみました。降水量と降雪量の分布特性が浮き彫りになっていますね。

 このような分布は、山形県内の地形の影響が非常に大きいわけですが、その影響や局地気象のメカニズムを理論的に解明できないか・・・そんな事を考えるようになりました。



 今では、このような数値モデル地形を基に、下記のような連立非線形偏微分方程式群を数値解析によって解くことで、局地気象のシミュレーションを行えるまでになりました。

【流体の運動方程式(Navier-Stokes方程式)】
 (∂/∂t)+(・∇)=-∇p+(1/Re)∇2+(1/Fr2)Θδi3
【温位の輸送方程式(熱エネルギー方程式)】
 (∂Θ/∂t)+(・∇)Θ=(1/Pr・Re)∇2Θ
【比湿の移流方程式】
 (∂q/∂t)+(・∇)q=0

 さて、これまでは新潟県内について集中的に取り組んできましたが、この冬は・・・文字通り「満を持して」、山形の冬の解析にも目を向けていきたいと思います。
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街の中の秋色・・・

2012年11月11日 | 何気ない?日常
 外に出ると、秋が一層深まってきました。寒さも一段と強まってきたのを感じます。木々に生い茂る葉の色の移ろいが、季節の歩みを教えてくれるかのようです。



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