去る24日(土)に日本気象学会2014年度春季大会(横浜)に参加してきました。会場は横浜市の開港記念会館(左:A,C,D会場と公開気象講演会)と横浜情報文化センター(右:ポスターとB会場)の2箇所に分かれていました。
今回は「山形県内における冬季の季節風と夜間の気温分布の関係」と題して発表してきました。これまで、冬の季節風と山形県の地形が織り成す局地風系に着目したアプローチに尽力してきましたが、今回は内陸地の低温域の観点からアプローチするものです。いつもの数値シミュレーション解析ではなく、観測データの分析が主体になっています。これは局地的な気象の「実像」を「観測データの分析を通して」理解したい、と言う思いがあったからです。
実は、学会誌「天気」6月号には「調査ノート」として、これまた山形県に関する数値シミュレーションの論文が掲載されます。わはははは。一連の研究は「山形県」を対象にしておりますが、この中で用いている手法などは、その他の地域でも応用できる「モデルケース」になり得るのではないか?そう思いながら細々と、長年に渡って追い続けてきました。だからこそ、まずは山形県を例にモデルケースが構築される姿を見てみたい。それがあれば、次の対象地域でもそのやり方が応用できるのではないか?・・・そんな期待を持っています。
特に、山形県と新潟県の組み合わせは、実に面白いものです。ほとんど同じ場所に隣接していながら、その局地的な気象特性はまるで違うようにも感じています。地形を見ても山形県は山脈に囲まれているのに対し、もう一方の新潟県は海上から平地が接続し、これが広範囲に渡っています。つまり、前者は地形ありの場合、後者は地形なしの場合として比較することも出来るのです。そして地形の有無でここまで様々な特性の違いが現れるのか・・・と感心してしまいます。この両地域にパラレルにアプローチすることで、局地的な気象特性と地形の関わりを深く学ぶことが出来そうです。
個人的な主観ですが、山形は比較的やり易い(長年の蓄積もあるし)。地形が特徴的なので数値シミュレーションの結果の違いもはっきりと現れるし、実際の観測データを分析しても違いが見え易い。基本的なアプローチや理論構築のプロセスを体験する上では良い題材だと思います。ここで自分なりの「モノの見方・考え方」をある程度確立した上で、お隣の新潟県やその他の地域にもアプローチできるかな・・・と目論んでいます。とは言え、山形県のようにスムーズには行かないかもしれませんけどね f(^o^;)。
さて・・・私が参加した24日(土)は大会4日目の最終日でポスターセッションは「11:30~12:30」の1時間。この間はポスターの前に立って、誰かが来てくれたらその度に説明や討論をするという形式です。毎回、色々な観点からアドバイスやコメントを頂ける上、様々な情報を頂くこともできます。今回も新しい視点や発見を得ることが出来ました。実のあるコミュニケーションができました。このように、日頃の事業活動では出会えない第一線の専門家の方々との交流や議論と言ったコミュニケーションを深めることができるのも、学会に参加する意義の一つです。今でもやはり緊張してしまいますが、それでも充実しています。
事務所の中の「小さな世界」にクローズしていると、目の前の「テクニカル・スキル」は上達しますが(それはそれで非常に大切なことではありますが)、視野・見識と言った「思考の枠」であったり、有意義な交流を育める人脈やコミュニケーション、そしてアイデアやインスピレーションの広がりには自ずと「限界」があります。それでも、自らの専門領域や担当職域(フィールド)を限定し、その範囲内で業務を遂行していく、いわゆる「専任職」を志向するのであれば、そのフィールドに狭く・深く特化して行っても良いでしょう。これも一つの「適材適所」の形ですね。
一方、私のポジションは上記とは異なり、確かな「コア・コンピタンス」(※ここでは自らの核となる専門分野)を掲げながらも、その狭い範囲に「閉じ籠る」のではなく、むしろ木の幹(=コア・コンピタンス)から枝葉を伸ばすように、活躍のフィールドを積極的に広げていく、いわば「総合職」のようなものです。上述の「テクニカル・スキル」のみを追い求めるのではなく、コミュニケーション能力や幅広い視野・見識・経験などもひっくるめた「社会人」として相応しい「ヒューマン・スキル」も求められます。文字通り「総合的な」スキルアップが必要なのです。そして常にそれを意識し、目指しているのです。
そのため、積極的に社外にもアンテナを向けようと、セミナー等の勉強会や学会発表にも参加したり、研究論文を投稿したり、自ら市民講座・セミナーを企画したり、自分の視野・見識・行動の枠を広げるために工夫を凝らしてチャレンジしているのです。成功すれば「実績」になり、失敗しても「経験」になるのです。狭い世界だけからでは得られないものを求めて、広い世界にアクセスする。それこそ(成功も失敗もひっくるめて)豊かな社会経験や技術・理論の積み重ねに基づいた「実務家」を目指したい、切にそう思います。
だからこそ、外部の様々な人との出会いや交流を通して(例え一時限りの一期一会であったとしても)良い意味での刺激を受けたり、触発を受けたり、感化されたりする機会は非常に重要です。それこそがその後のモティベーションであったりフィロソフィーであったり、様々なレベルアップにつながっていくものだと思います。そんな中から、(様々な垣根を乗り越えて)後々まで長く付き合える同志・仲間との出会いがあるかもしれません。そのためにも、今はひたすら種を蒔き、水をやり、その可能性の芽を育てているのです。なかなか芽が出てこないのですが、諦めずに続けます。
こちらは、横浜に向かう途中の越後湯沢駅付近の景色を車窓越しに撮影したものです。
さて、閑話休題。ポスターセッションはいつも設定上は「1時間」なのですが、経験上1時間で終わった事はありません(笑)(このため、まともに昼食を取れない・・・)。今回は撤収したのが13:00ちょっと前(つまり"30分"超過)で、正直「早い方」です。撤収直後に、さすがに日頃の疲れ(不摂生も多分にある)がどっと出てきて、ちょっと目まいがして、歩くとフラつきが・・・。発表が終わってホッと気が抜けた途端に、それまで張りつめていたものが崩れだしたような感じです。
ちょうど真上の階にオーラルセッションのB会場があったので、その最後列にちょこっと腰かけて、ようやく休憩。そのまま数件の発表を聴講しました。さすがに気象学会のオーラルセッションはプレゼンテーションのクオリティが高いです。最先端の内容は難しくてわからないことも多々ありますが、それでも所々、ヒントやインスピレーションにつながります(この次は、自分の発表はせずに、ず~っとこうしてオーラル発表を聴いていたいかも・・・)。
オーラルセッションはオーディエンスの数は多い(=効率良くアピールすることはできる)一方、時間の制約が大きい(発表時間が10分で、その後の質疑討論が3分と短い)ため、十分に議論を深めることは難しいように感じました。ここがポスターセッションとの違いでもあります(興味を持って声を掛けて下った、お一人お一人としっかりコミュニケーションを図りたい、と思っている私にはちょっと難しいかな・・・)。
そして、今度は別のA会場へ向かい、公開気象講演会の「局地風の世界」を聴講してきました。真面目に「ローカル気象」に取り組んでいる話題を見ると、嬉しくなってしまいます。私も本来は「山形の冬」の数値シミュレーション解析を専門分野にしておりましたが、今では縁あってさらに「新潟の冬」のテーマにも関わっています。
そして、最後の閉会の挨拶で気付いたのですが、私も所属している「日本気象予報士会(CAMJ)」が後援だったのですね・・・(知らなかった)。最近、というよりここ数年レベルでCAMJの行事出てない・・・(爆)・・・なので、CAMJの役員の皆様の顔と名前も一致しない、と言う有様。あー、こりゃ、いかんな~。
そんなこんなで、今回の発表も無事終了。その後、予約していた宿泊ホテル(川崎)に向かう直前に、「松屋」を見つけてようやく「お食事タイム」・・・ホテルについて、そのままベット倒れ込みました。無事に終わった・・・その安堵感の中で束の間の休息。
2時間程休んだ後、ホテルの近くを散策。かつて東京都内に在住・在勤だった当時、土曜の夜は自転車に乗って街中を回ったり、電車に乗ってちょっと遠出をしたものです。そんな思い出を懐かしみながら、夜の散歩を堪能していました。
ついでに、関東方面に行くと駅の発車メロディーに耳を傾けます。今回の出張で特に印象的なのがこの2つ。譜面の記載は耳で聴いたものをテキトーにメモしたものなので、正確なものではありません。音程が半音程度ずれているかもしれませんが、多分「あ、あれか?」位には伝わるかと・・・思います。
特に(B)の方の「弱起の3連符」版は一番の「お気に入り」です。このメロディーを聞きたくて、東京駅のホームで休憩することも(爆)。