計算気象予報士の「知のテーパ」

旧名の「こんなの解けるかーっ!?」から改名しました。

PCの買い替え時・・・

2007年05月21日 | 何気ない?日常
 ここ数日、ネットに接続する頻度が激減しています。それと言うのも、実は6年間連れ添ったMyノートPC(OS:WinMe)が05/16に突然、その使命を果たし終えたためです。これに伴って太古の研究解析データやメールの類は全て消滅しました・・・(要するにHDDの寿命)。

 とは言え、最新の解析データや資料類については他の媒体にも分散していたので、それほどの被害はありません。一方、メールについては・・・フリーアドレスに送受信記録のある方はともかく、それ以外の方のアドレスは基本的に全て消えました。名刺などがある方は何とかアドレスを確認できますが・・・ちょっと深刻な状況です・・・f(^^;)。

 と言うわけで、翌日には新たに購入するPCを決定し(選定に要した時間はたった3時間弱という即断即決!)、オンラインで発注を掛けました。多少カスタマイズを含むため納期は2週間程度は掛かる見込みです。

 そんなこんなで、今の私には会社のPCがネットにアクセスできる生命線となっているのです。従って、ブログやメールマガジンの更新・発行並びに頂いたメールに対する返信が遅れる状況が暫く続きます・・・。取り急ぎ、近況報告です。
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数値シミュレーションの解析例

2007年05月05日 | 計算・局地気象分野
 流体の基礎方程式であるナビエ・ストークス方程式は、非線形偏微分方程式であるため数学的に解くことが難しいのが実状です。これを解いて流体の挙動を明らかにするには、やはり数値解析の助けが必要です。 数値解析、と言いますと大学や企業などのスーパーコンピュータを思い浮かべる方も多いと思いますが、 近年のコンピュータ技術の発展により、最近では身近なパソコンでも3次元の流体現象までを解析できるようになってきました。

1.後方ステップ流れ

 剥離と再付着を伴う流れは、原子炉・ガスタービン・電子機器・電熱装置等多くの装置で認められ、それらの性能をしばしば左右する流れ現象です。後方ステップ流れは、剥離と再付着を同時に実現する最も基本的な流れであり、数値計算の動作確認には優れたテスト・ケースとして多用されています。
 ステップ上方の流入口(左側)から十分発達した壁乱流が入り、後方ステップを通過して剥離を起こし、床面に再付着した後に発達して流出口(右側)に至るケースを想定したシミュレーションを掲載しています。この時の計算領域のサイズはステップ高さhを基準として、流入部流路幅をh(すなわち拡大率は2.0)、ステップより流出部までの距離を30h、スパン方向距離をhにそれぞれ設定しました。



2.ベナール・セル

 有名なベナール・セルのシミュレーションです。ベナール・セルは薄い流体層に対して鉛直方向にある程度のサーマル・グラディエントを印加することによって、内部に規則正しく配列する対流セルが発生します。
 熱対流の体系的な研究は、1900年にフランスのBenardによる実験から始まりました。パラフィン、鯨油などの粘性の高い流体層の下面を一様に加熱すると、加熱された流体は浮力により上昇するため、流体内部に半定常的な細胞状の模様(対流セル)が形成される事があります。各セルの中心付近では上昇流、境界付近では下降流になっています。



3.閉じたキャビティ内の熱流動

 密閉されたキャビティ内の熱流動です。こちらは水平方向にサーマル・グラディエントを印加しました。2つの渦が発生し、回転しながら中央付近に移動していく様子が再現されています。高温部が上方に、低温部が下方にそれぞれ広がる事により、キャビティ内に大きな渦が発生します。



4.安定成層における山越え気流と風下側の乱渦の発生

 画面左側に小さな山があり、左から右に向かう一様な風の流れが生じている場合を想定したシミュレーションです。風下側では地上風が強化される一方、その上空では複雑な乱渦が発生しています。大気の状態おろし風や乾いたフェーンとして観測されることがあります。


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