計算気象予報士の「知のテーパ」

旧名の「こんなの解けるかーっ!?」から改名しました。

Web開催の学会閉幕

2020年10月31日 | 気象情報の現場から
 日本気象学会2020年度秋季大会(オンライン開催)が閉幕しました。

■ユビキタスなオンデマンド発表■

 私は今回「オンデマンド発表」という形で参加しました。オンデマンド発表とは、次のような感じで発表と討論を進める形式です。

(1)発表者は予め、Web上に発表資料をアップロード
(2)参加者は興味のある発表の資料を閲覧・コメント等を書き込む
(3)発表者は書き込まれたコメント等にリプライを書き込む
※(2)と(3)の閲覧・書込みは、開催期間中(1週間程度)は随時可能

 なお、発表グループ毎に「コアタイム」が設けられております。この時間帯は他の発表やイベントは行われず、当該グループのオンデマンド発表・閲覧に専念することができます。

 これは従来の「ポスター発表」のオンライン版といえるでしょう。ポスター発表は、次のような感じで発表と討論を進める形式です。

(1)発表者は予め発表資料(ポスター)を壁に掲示。発表者はポスターの側でスタンバイ。
(2)聴講者は興味のある発表のポスターを閲覧。発表者に説明を求めたり、質問をする。
(3)その都度、発表者は説明や回答を行う。
(4)聴講者はまた別のポスターへ行く。発表者はそのまま次の聴講者を待つ。
※(2)と(3)の閲覧・討論はポスター掲示時間中(概ね終日なのですが・・・)に行う。

 ポスター発表の場合も、発表グループ毎に「コアタイム」が設けられております。この時間帯は他の発表やイベントは行われないため、該当するグループのポスター発表・閲覧に専念することができます。

 掲示時間帯は、発表当日の終日(朝~夕)となることが多いです。しかし実際には、発表者の多くはコアタイム(2時間程度)の開始直前に掲示を始め、コアタイムの終了間際には撤収を始めます。また、ポスター発表者もコアタイム中はずっと自分のポスターの隣にいるわけではありません。他のポスター発表を見学に行くこともあります。しかし、長く離席することはできません。従って、他のポスター発表の様子を知るのは容易ではありません。

 そこで今回のオンデマンド形式に目を向けると、「いつでも」「どこからでも」他の発表の様子を覗くことができます。先述のように、オンデマンド形式では参加者・発表者は共にWeb上の発表資料にコメントをどんどん上書き(追記)して行きます。

 つまり「(資料の)どの部分について、どのような質疑が行われたのか」と言った討論のプロセスが、詳細な「議事録」のような形で可視化された状態で残ります。従って、後から何度も読み返すことができます。また、発表資料の図表とコメントを併せて読むことで、理解が進むこともあります。

 ポスター発表の場合、発表者はポスターの側(少なくとも同じ部屋の中)に待機しています。一方、オンデマンド発表は発表者が常にスタンバイしているとは限りません。質問コメントを書き込んでも、直ぐにリプライがつくとは限りません。発表者も参加者もお互いに「いつでも、どこでも、好きな時間に(ユビキタスで)」コメントできるのが特徴です。

 そこで、「準リアルタイム」の討論を実現するべく、発表毎に「コアタイム」が設けられました。この時間帯(2時間)は「基本的に発表者はPCの前にスタンバイしていて、コメントがあれば即座にリプライする」というものです。

 この時間帯は、私も自分の発表資料を数分毎にリロードして、新着コメントを逐次確認していました。新しいコメントが付く度に、手早くリプライを重ねました。頂いたコメントにはQTATで返す、まさに「コメントのラリー」を続けました。


■遠方からでもリモート発表■

 また、学会発表と言えばプレゼンテーション形式の「オーラルセッション」もあります。今回のオンライン開催では「zoom経由のリモート発表」形式で行われました。私にとっても「人生初のzoom参加」でしたので、内心「戦々恐々」の面持ちで一つ一つ慎重に操作を進めました。

 予めネットでzoomミーティングの使い方などを調べて、とりあえず「ビデオとオーディオをOFFにすれば、こちらの音声や映像は流れない」という事を知りました。その後、主催者から御案内を頂いたURLにアクセスし、zoomが立ち上がると「設定画面」を探して「ビデオとオーディオをOFFに設定」しました。

 実際の発表や討論の様子を見て「なるほど、このような形で発表や討論ができるのか」と目から鱗の想いがしました。発表者の皆さんは自宅や職場から発表資料を操作(共有)しながら説明を進めていきます。ホスト権限の委譲や画面共有の切り替えが、一見難しそうにも思えます。

 とは言え、これらの操作方法をマスターすれば、遠方の会合でも(オンラインが可能であれば)参加、および話題提供が可能となります。従来であれば、日程の調整や交通・宿泊の手配などの負担も圧し掛かることを考えると、より参加のハードルが下がるように感じました。

 例えば、気象予報士会の支部例会や研究成果発表会も(将来的に)「リモート」で参加することができるようになれば、遠方からでも気軽に参加できるようになるかも知れません。そのような「今後の新しい可能性」を感じる秋季大会となりました。

 まずはzoomなどの操作方法をマスターすることが喫緊の課題であると、痛切に感じました。
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来週はWeb学会

2020年10月22日 | 気象情報の現場から
 カレンダーを見て気が付きました。

 昨年の10月下旬は28日から31日の日程で福岡に行ってきました。この時を最後に今日まで、JRを始め公共交通機関には乗っておりません。すなわち、約1年もの間に渡って、県外はおろか市外にさえ一切出ていません。

 そのような中、来週は「日本気象学会2020年度秋季大会(オンライン開催)」です。私も「GSM地上を用いた山形県内における降雪量ニューロ・モデルの開発」と題した発表を行います。

 今回はオンライン開催と言うことで、講演資料を「Web公開」する形式です。口頭でのプレゼンテーションやリアルタイムでの討論は行わず、討論はWeb上の講演資料に直接コメントを書き込む形で行われます(※一部のテーマはオーラル形式も併用するようです)。期間中であればいつでも、どこからでもWebにアクセスすることで大会に参加出来ます。これぞまさしく「ユビキタス」ですね。

 もともと「時間的制約が強く、遠方からの参加」と言う事情もあり、参加を見合わせることが多かった私にとっては嬉しい試みです。その辺の事情は「学会のWeb開催」にも書いています。今後は「スキマ時間で学会発表」も可能になる?
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米沢牛のふんからメタンガス?

2020年10月12日 | 気になるニュース
 面白い記事を見つけました。米沢牛の「ふん」から「メタンガス」を取り出して、「発電」に活かすそうです。

「米沢牛のふんで発電 全国初の技術に脚光 山形・飯豊」(河北新報・2020-10-11)
gooニュースhttps://news.goo.ne.jp/article/kahoku/business/kahoku-01_20201011_52021

 さて、火力発電の燃料は主にLNG(天然ガス)、石油、石炭に分けられます。日本国内の主な発電方法を表にまとめてみました。



 二酸化炭素(CO2)排出量の観点で比較すると、LNGは石炭に比べて4割減、石油に比べて2割減とアドバンテージがあります。

 また、火力発電の方法(発電機の回転動力を生じる仕組み)は、大きく3種類に分類できます。蒸気タービン、ガスタービン、コンバインドサイクルです。

 (1)蒸気タービンは、お湯を沸かして得られる蒸気をタービン(鋼鉄の羽根車)にぶつけることで、タービンを回転させるものです。主に、石油や石炭を燃焼することで生じる熱でお湯を沸かします。タービンにぶつかった後の蒸気は、冷やされて水として排出されます。


 (2)ガスタービンは、外部から取り込んだ空気を圧縮して高温・高圧になった所に、燃料ガスを噴射して爆発させ、その威力でタービンを回転させるものです。この燃料はLNGです。また、爆発の際の混合ガスは1000℃以上に達するため、タービンにぶつかった後の排ガスも500℃近い高温の状態です。



 さらに、この排ガスの熱を再利用するものが(3)コンバインドサイクルです。ガスタービンから排出された高温ガスの熱を使ってお湯を沸かし、蒸気タービンを回すものです。一度の燃料投入で二段階のタービンを回転させることができるため、(単一のタービンに比べて)熱効率が向上します。


 今回、どのような発電方法に用いられるのかは判りませんが、「米沢牛」が絡んでいるだけに目が離せません。
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