計算気象予報士の「知のテーパ」

旧名の「こんなの解けるかーっ!?」から改名しました。

この週末は仙台に行ってきます。

2016年08月31日 | CAMJ参加記録
 さて、この週末は、(一社)日本気象予報士会・東北支部の例会に参加してきます。約1年ぶりの仙台です。前回は昨年11月に、実に8年ぶりに参加しましたので、今回は「ハチ」年ぶりならぬ「イチ」年ぶりとなりました。

 せっかく例会に参加することもあり、話題提供も行います。「大雪に備えた天候デリバティブの検討─プライシングの試み─」と題して、天候デリバティブのプランを自分で試算(プライシング)した話を紹介する予定です。

 天候デリバティブは、もともと「天候の変化に保険をかける」ようなもので、天候(気象)の変化に伴って生じる損失を補填することを意図しています。しかし、いわゆる「損害保険」とは異なり、予め設定していた(損失を引き起こすレベルの)気象条件が観測されていた場合は、実際の損害が発生していなくても、補償金が発生します。

 従って、天候デリバティブは、「損害保険」ではなく「金融商品」と言った方が適切かも知れません。天候の変化を原資産に見立てた「オプション取引」と考えると理解しやすいでしょう。

 当日は、オプション取引の基礎を概観した後、保険のプランを考えて、それに対する掛け金(プレミアム)の算定までを紹介する予定です。

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寒冷渦のイメージを描く

2016年08月27日 | お天気のあれこれ
 上空に現れる「寒冷渦寒冷低気圧)」のイメージを描いてみました。左側は大気層の重なりのイメージで、右側は鉛直断面のイメージです。


 上空の偏西風(図では「強風軸」と表記)の蛇行が激しくなると、南に凸となる部分(トラフ)が寒気を囲むように分離するような状態に至ることがあります。上空に寒気の核が形成され、その周囲を(低気圧性の)大きな渦で取り囲むような感じにも見えます。

 その一方、対流圏界面付近では暖気核となっています。これは圏界面が垂れ下がることに伴って、その上にある下部成層圏の空気も下がってきて、断熱圧縮され、気塊の温度が上がるものです。

 地上天気図では余り明瞭には現れないものですが、下層では寒冷渦の中心の東側では暖気の流れ込み、西側では寒気の流れ込むため、寒冷渦の南東側では激しい現象を伴う可能性があります。


 ちなみに、高層天気図の等高度線を見ると、まるで大きな目玉のようにも見えます。そして、その中心には寒気核が蓄えられています。

コメント (2)
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