計算気象予報士の「知のテーパ」

旧名の「こんなの解けるかーっ!?」から改名しました。

ゆきぐに羽越の冬空に挑む!

2014年04月05日 | オピニオン・コメント
 四月も三が日が過ぎ、少し遅くなりましたが、新年度、明けましておめでとうございます。謹んで新春のお慶びを申し上げます。

 さて、突然の発表ですが、この度、ちょっとした市民講座を行うことになりました。4月13日(日)と20日(日)、いずれも午前中です。

 タイトルはまさしく「ゆきぐに羽越の冬空に挑む!」で、私の専門分野を端的に表しています。本音を言えば「ゆきぐに羽越の計算気象シミュレーション」の方が、私の専門分野としてはしっくり来るのですが、学会じゃないんだから・・・と言う所もあって、こんなタイトルにしました。

 もちろん、私が講師を務めるので、やっぱり「計算シミュレーション」の話もします。とは言え、今回は市民企画講座の一貫なので、学会発表のようなハイレベルなものでは無く、どちらかと言うと「概論」に近いものです。そして、地域の気象の特徴やメカニズムの理論(それも専門家にとっては「当たり前」すぎる内容)も、分かりやすく解説したいと思います。ただ、知識や知見の(しかも「概論」)解説に留まらず、私がこれまで歩んできた道程やエピソードを交えてお話しする所が、オリジナリティーになるかも知れません。

 さて、難しい専門知識や概念を、そのポイントを整理して、わかりやすいイメージや形に表現し直して伝える事は、モデリング(解析モデルの構築)において非常に重要なことである、と私は思います。モデルを構築する、という事は、自分の頭の中にあるイメージを、頭の外に取り出して模型のイメージに具現化することでもあります。つまり、良き「モデラー」は良き「表現者」であるという事です。私の日頃取り組んでいる分野「局地気象の計算シミュレーション」って、実際にはどんなことをやっているのか?に、ついてももちろん言及します。

 日夜、コンピューターに向かって、膨大なデータや理論解析と格闘している私ですが、ずっと憧れていた仕事があります。それは「講師業」です。これまで多くの講座・セミナーに参加して、自らの見聞を広め、講師や共に学んだクラスメートとの交流を楽しんできました。その時に、新たな知識や人々との出会いに良い刺激を受ける一方で、やはり、受講者の席から講師の姿を見つめながら「いつかは自分のあちら側に立ってみたい」という想いがありました。

 私はもともと勉強が得意だったわけではありません。地頭は決して良い方ではないと思っています。だから、難しい事を理解するのには非常に非常に苦労します。これは昔からそうなんです。そんな私でも、今では熱流体解析の数値計算シミュレーションのような高度に専門的な分野に関わっているのですから、人生、分からないもんですよね。

 最近になって、色々な方からお褒めを頂くのが「難しくて専門的な事を分かりやすく解説できる」という事です。小さいときはそれこそ、あらゆる面で「超劣等生」だった私が、今こうして難しい「頭脳労働」に従事している・・・つまり、ここまでのプロセスを一人で経験してしまっているので、「何をどのように理解すればよいのか」を掴もうと、それこそ無意識の内にもがき続けてきたのでしょう。

 そんな経験を活かしたいと思って、学生時代にはクラス指導の学習塾で教壇に立ち、そこでは「相手に教える・伝える技術」をビシバシと鍛えられました。それ以降も、無意識の内に「どんな順序で、どんな風に表現したら、相手に伝わるか、イメージしやすいか」を考えるようになっていました。だからこそ、数々の講師の姿を見つめながらも「いつかは自分のあちら側に立ってみたい・・・」と言う想いが湧いてきたのかも知れません。

 よく「地道に頑張っていれば、誰かがきっと見ていてくれる・・・」と言われますが、私は正直そうは思いません。ただ「地道に頑張っている」だけでは駄目で、その上で「自分の存在」をアピールしなければ、だれもその存在に気付いてくれません。存在にさえ気づかれないのに、どうして見ていてくれるのでしょうか?

 だから、敢えて昨年の11月下旬に「市民企画講座」に応募しました。とは言え「締切の一週間前」に公募の旨を知り、慌てて書類を書いて応募したものです。内容も思いつきの滅茶苦茶で、自分のこれまでの取り組みやアイデアを殴り書きに近い状態で書き、提出しました。そんな状況だったので、審査に通ることは万に一つもないだろう・・・さえ思っていました。

 しかし、奇跡的に、私のアピールは相手に通じました。そして遂に、ようやくそのチャンスを手にしました。でも、ひょっとしたら、これが私にとって「最初で最後」になってしまうかも知れません。

 全国の皆さん、成功を祈っていて下さい。
コメント
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