◎なぜ君はいるのか?君とは何なのか?
かつてのベストセラー小説『イリュージョン/リチャード・バック』の中に救世主のハンドブックという本の抜き書きが何回か登場してくる。この抜き書きは、ダンテス・ダイジがアトランティス時代に聖者だった時に彼の著作『救世主入門』が出版されていたのだが、当時それを読んだリチャード・バックが前世記憶から出してきたものだとダンテス・ダイジが説明している。
ダンテス・ダイジの原典『救世主入門』には、いくつかの大悟覚醒時の実感についての解き明かしがある。
『人間というものはどこにもいない
人間というものが
君のイメージの一つにすぎないように
時間の持続としての永遠もまた
永遠の夢にすぎない
場所も時間もない
君自身のことである。』
(十三番目の冥想 原典『救世主入門』雨宮第慈講話録/渡辺郁夫編p105から引用)
いまこことは、君自身のことである。
人間というものはどこにもいない色即是空空即是色、色是色、空是空。
20代の私は、この文の意味はわからなかった。
『しかし
死に際しては厳粛に取り組まねばならない
三歩先を歩くことのできない生物達は
ギロチンに首を突っ込んだまま
笑う君のことを
理解できないだろう
君は狂人と呼ばれる』
(上掲書p104から引用)
※三歩:時間、空間、物質のこと。
ギロチンに首を突っ込んだまま笑う人の例としては、ホセイン・マンスール・ハッラージや普化が挙げられる。
この段は、覚者の非社会性が明瞭であり、これぞダンテスの系流であると思う。
『最も単純な疑問が
最も深い意味を持っている
なぜ君はいるのか?
君とは何なのか?
君の頭は
決してこれらの単純な疑問に答えることはできないが
君自身はすでに答えている』
(上掲書p106から引用)
君の頭は決してこれらの単純な疑問に答えることはできないが、頭ではない君自身はすでに答えている。頭はOSHOバグワンの言うところのマインド。
隙間理論で言えば、人間は、『隙間』『現象』『隙間』『現象』『隙間』『現象』と流れている。『隙間』がニルヴァーナであって君自身の側、『現象』が有であって君の頭の側。
ここに君の頭と君自身が並立して、個人と全体の二重性が見える。