明日からタイへ出かける。
「クルーズがダメだったのなら、タイに行こうよ」と、お友達のM子さんに誘われてその気になった。
夫にお伺いをたてると、あっさり「いいよ」という返事。
クルーズが台風で流れたことでガッカリしていた私を、少し可哀そうに思っていたらしい。
タイへは25年くらい前に行ったことがある。
私には初めての海外旅行だった。
その時の印象は?と訊かれたら、「貧しさ」と答えるだろう。
バンコックで、私たちの乗った車の前を飛ばしていくバイク。
その後ろの座席に乗った男性の元は白かったのだろう黒ずんだTシャツ。
その脇腹辺りに大きなかぎ裂きが。
そして、避けた部分がマフラーのように風に靡いていた。
タイというと真っ先にそれが目に浮かぶ。
道端には物乞い、小さな子供を連れている人が多かった。
水上マーケットへ向かうボートから見えたのは、川の上に張り出した潰れそうな家屋。
土色の水に浸かって水浴びをする人たち。
バブルの日本から出かけた私たちには、かなりショックな光景だった。
それでも、街のあちこちに仏様への祭壇があって、色とりどりの花が飾られていた。
日本のように茎ごと飾るのではなく、花だけを摘み取ってお盆のような器に積み上げるのがふっつうのようだ。
祭壇の周囲には、その花々からジャスミンのような香りが漂っていて、とても癒される気持ちになった。
タイ人は日本人と気質が似ていると言われているけれど、貧しくても敬虔な気持ちを失わない心の豊かさを感じた。
最近は、タイから観光客が日本へ訪れる時代。
バンコックも随分変わっただろう。
豊かさに溢れているかも知れない。
とても楽しみだ。