晩御飯は鍋にしようと思ったら、白菜がない。
仕方がない買いに行こうと玄関を出たら、ご近所さんが通りかかった。
彼女と会うのはしばらくぶりだ。
杖をついているので、「あら、足悪かった?」ときくと、
「そうなの、膝がね~、もうこっちは人工関節が入ってるの~」と
左足の黒いズボンの裾をまくり上げて、膝の手術痕を見せてくれた。
一応天下の往来だったけれど、彼女も私も、そういうことが平気なお年頃だ。
昨年したという手術痕は、まだ赤味が強くて痛々しい。
来年の春には右膝も手術するのだそうだ。
特に膝を酷使したわけでもなく、自然に関節の軟骨がすり減った結果だという。
人間の場合も経年劣化って言うのかしら?
その人は、私より1歳しか年上じゃないし、太ってもいない。
ついこの間まで元気に歩いていたような気がするのに。
お互い同じ場所に長く住んでいると、相手の溌剌とした若い姿を憶えている分、
老いの証拠を見た時の、こちらのショックも大きい。
どうしても、明日は我が身と考えてしまう。
来年の手術も上手くいって、杖なしで颯爽と歩く彼女の姿が見たい。
それもまた、明日は我が身の一部だと思う。