ネイビーブルーに恋をして

バーキン片手に靖國神社

旅しながら淡々と写真を貼る~桜島

2013-03-16 | お出かけ

倉敷の余韻も消えぬうち、またも行ってまいりました。
こんどは鹿児島県です。
鹿児島にはちょうど一年前に初めて訪れ、そのときに
知覧の特攻記念館に行ってその感想を書き連ねたりしました。

そのときにご縁のできた方々にまたも招待いただき、
今回はそのときに行かなかった霧島の温泉を訪ねることに。



ANAのチケットだったはずなのに、なんと駐機場に行くと
始めてみるグリーンがポイントの飛行機がいます。

「ソラシド・エア」という名前もわたしには初めてでしたが、
なんと就航が始まってから10年にもなるのだそうです。
北海道の「エアドゥ」などのように鹿児島を発着している飛行機会社で、
ソラシド=SORA SEED=そらのたね なんだとか。

金曜日、息子の学校が終わってから空港に行ったので、
鹿児島空港からさらに鹿児島市内のホテルに着いたのは9時。



外は真っ暗。
部屋は大人三人用のトリプルルーム。
この日は早々にベッドに入りました。
朝目覚めてカーテンを開けると・・・・



なんと目の前に桜島が!
こんな部屋だったのか。
しかもちょうど桜島から太陽が顔を出した瞬間。
「日の出だよ!」
嬉しくなって家人を起こし、写真を撮りました。

この日はスケジュールが非常にタイトで、
なんと8時にはお迎えがくることになっていました。
ブーたれる息子を引きずって朝食に行き、
ロビーに来てくださった案内の方とご挨拶。

せっかくの週末だというのに、この方たちも仕事です。
ありがたくも申し訳ない気分。

車で桜島に渡り、そこを通過して、霧島に抜けるコースです。
フェリーは去年乗ったので写真は割愛。
ただ、わたしが「海軍好き」であることはこの方たちの耳にも届いており、
フェリーに乗った瞬間、
「実は、時々ですが自衛隊の潜水艦が停泊しているんですよ」
とそれを探すためにデッキに出ることになりました。

「デッキを人が歩き回っているのもよく見えます」
「わあ、見たい!」
目を輝かせて一緒に海面を見つめましたが、今日は海中にでもいるのか?
姿はありませんでした。

「潜水艦なんて極秘行動だからこんなところに普通は浮いてないでしょう?」
「いやいや、それがねえ」

「中国の潜水艦が入ってきたので」

・・・・・・え?

・・・・・・えええ?

それって、昔のあの事件ですよね?
なんでそんな最近みたいな言い方するんですか?



フェリーから見えるこの小さな島。
案内の方は「鳥島」と言っていましたが、地図では
「沖小島」となっています。



どちらでもいいんですが(よくないか)、この島は真珠湾攻撃の演習のために
ここ錦江湾に大集結した帝国海軍の爆撃機が、この島を「軍艦に見立てて」
爆撃訓練を繰り返したと言われています。

97式艦攻、99式艦爆、零式など、数百機におよぶ海軍機が、
錦江湾上空をオイルの匂いを撒きながら飛び回り、
鹿児島の人々の度肝を抜いたのだそうです。
ここが真珠湾に少し似ている、ということで選ばれたのだそうで、
激しく繰り返される訓練により搭乗員の技量は入神の域にまで
達していたと言われています。

映画「トラ!トラ!トラ!」でも、その日米の訓練の様子が、
方や百発百中、方やキンメル怒りまくり、という風に描かれていしましたが、
あの日、実際にハワイにいて朝から畑に出ていた日系の方は、

「今日のアメリカ軍の演習はずいぶん上手だな」

と思ったそうで・・・・。

薩摩の人々は海軍機を見ると日本の小旗を振り、搭乗員たちは
そんな人々に手を振って応えていたそうです。

去年も言いましたが、このフェリーの桜島までの所要時間はわずか15分。
ずっと車の中にいてもいいそうです。

船のキャビンでこのようなポスター発見。



ご当地ヒーロー

薩摩剣士

隼人

おまけにこのヒーローのマスクをご覧ください。
ついでに胸のマークをご覧ください。

明らかにこやつ、島津藩の・・・・!

で、戦う敵は何者?
悪の大老、井伊直弼?
ジョン万次郎とか篤姫も出てくるのかしら。
これ、とても見たいんですけど・・・。



桜島に到着後、すぐにビジターセンターに行きました。



ここがまた(誰もいなかったけど)侮れなかった。



安永の噴火。



大正の噴火。



そして昭和の噴火とそれぞれジオラマ付きで解説しています。



映画を貸し切り状態で観て見識を深めました。
昔(案内の方が子供の頃)には、火口まで車で登って、
中を覗くことができたのだそうです。
最近は活発化しているので全く近寄ることはできません。



村民の暮らし。
皆心構えができているというか、平気なんですね。
昭和の大噴火のときも、死者はわずか30人ほどだったとか。
そのうち何人かは「海でおぼれた」といいますから、
そもそも心構えがDNAレベルで備わっているのかもしれません。



このビジターセンターで息子が気に入って買わされたTシャツ。
売店のおじいさんとおばあさんにえらく感謝されました。

そのあと、郷土出身の偉大な歌手である長淵剛が、
この島で経済効果数千万の伝説のコンサートをしたときに造られた
趣味の悪いモニュメントを観にいきました。



ここの溶岩を加工して造ったのだそうです。
コンサートはもう9年前の2004年に行われ、長淵は
このとき「桜島」という歌を歌ったとか。
ちなみにこの像はそのものズバリ「叫びの像」だそうです。

画像検索するとこの顔の真ん前で御大が熱唱しているのが出てきました。
つわものどもが夢の跡。

さて、島の自動車道を走っていると、フェリーにいたときには
全く気配もなかったのに、桜島が急に噴煙を噴きはじめました。



車内はすごいすごいの大合唱。
息子は今回も
「また旅行?俺しんどいんだけど」
「また鹿児島?去年行ったじゃん」
などと憎まれ口をたたきながら飛行機に乗ったのですが、
前回と同じくこの「自然のアトラクション」には
心の底から畏敬のようなものを感じるらしく、興奮しまくり。



桜島の噴煙が太陽を隠す瞬間。
「いやあ、一転にわかにかきくもり、ってやつですな」

鹿児島在住の案内の方たちも驚いています。





不思議な光景です・・・。



噴煙は溶岩を含むので、噴き上げられた後、
まっすぐに落ちていく様子がわかります。

火山にもっとも近い道路を走っていたときには、
フロントグラスが「ばちばちっ」と小石のあたる音がして、
これも運転しておられる方が
「わたし鹿児島で生まれ育っていますが、こんなのは初めてです」

ある意味運よく珍しい体験をしたということでしょうか。




しかし、車の全員がさらに驚く光景が。
この状況の中、なんとジョギングをしている人がいたのです。
この写真を撮った付近の、この道路沿いに。

「うーん、普通は健康になるために走るわけだが」
「粉じんを吸い込んでしまいますね」



「実際、中国からのPM2・5なんて物の数ではないって感じらしいです。
この辺の住民は」
「いや、さすがに中国のは化学物質ですから、これとはまた違うでしょう」
「粉じん慣れしていて怖いと思わないとか」
「それは考えものだな」

皆他人事だと思って勝手なことを口々にしゃべりながら桜島を離れていきます。

さて。

じつはこの後、「海軍好き」であるところのわたしのために
案内の方は「鹿屋航空基地」見学という予定を立ててくださいました。

その部分は長くなるので、またのちほど。

鹿屋を出てわれわれは一路霧島に向かいます。



休憩したドライブインに廃墟発見。
世に「廃墟マニア」という趣味嗜好をお持ちの方がいて、
廃墟の写真を食い入るように眺めて楽しむのだそうですが、
エリス中尉、もしかしたら少しこの気があるかもしれません。

この鹿児島には道路沿いにも結構「廃墟になった住宅」
があり、なぜかそういう古い(朽ちていれば尚よし)家屋を見ると
思わず身を乗り出してしまうのです。

ここなどはかつて飲食店で、いつ店主は店をたたんだんだろうとか、
最後に鍵を締めてここを去るときはどんな気持ちだったんだろうとか、
あんまりお客さんが入らなかったのだろうなとか、
結構いろんなことを想像します。



まだ什器備品が置きっぱなしになっている模様。
もしかしたら夜逃げ状態?



しかも電燈が一つ付きっぱなしになっています。
電気を解約していない、つまり夜逃げ決定?



霧島神宮の参道わきにも、廃墟発見。
この並びはすべて無人となっているようです。
有名とはいえ神社の参道で商売というのは、
一昔前ならともかく現代では利益が上がらなかったのでしょうか。



皆がまっすぐ山門に歩いていくのに、走って写真を撮りに行くエリス中尉。
おお、これこそ「廃墟らしい廃墟」!
お布団やビデオデッキなどが放置されているのもまた一興。

皆「全く理解できない」という顔をしていましたが。



どうやらここは薬屋さんだった模様。
「まだ使える」錠剤を道路沿いに置いて去ったようです。
しかし雨に打たれてすでに錠剤の正体はわからなくなり、
誰も手を付けないままちています。

というか、こんなところに放置されてる薬なんて誰に需要があるのか。

一本道のくねくねした道路をひたすら霧島に向けて走ること3時間ほど。




「あっ!シカだ!」
前の人が叫ぶので慌ててカメラを構えましたが
ちゃんと画面に納めることができませんでした。
車と車の間隙をぬって数頭の若いシカが道路を横断しています。



尻尾の周辺が白いので本当にバンビみたいなものですね。
この日のお宿は
「シカやイノシシ、タヌキが庭にやって来る老舗温泉旅館」。



ここです。

煙が上がっていますが、先ほどの桜島の噴煙とは違い、
こちらは源泉から立ち昇る湯気。

窓を開けたら硫黄の匂いがしてきました。

桜島の横を通過するとき、うちのTOったらつい車の窓を開けかけて、
わたしと息子から「窓開けちゃだめだよ!」
と叫んでやめさせたのですが(車のオーナーもそう思ってたと思う)
その時にわずかに開けた窓からこちらもすごい硫黄の匂いが入ってきました。
しかしこちらの方が硫黄の香りはとても濃厚です。

ここのお湯はとても質が良く、真っ白に濁る湯の花で風呂の底が見えないくらい。


かつて与謝野鉄幹・晶子夫妻、さらには
日本で初めて新婚旅行をしたと言われる坂本竜馬とおりょうさんが
訪れて、その湯に体を沈めたという古い古い温泉です。


それでは、続きの話はほかのを挟みつつ・・・。