何を隠そう、先週末は霧島にいたエリス中尉です。
霧島屋久国立公園の中の温泉に浸かって少し癒されてきました。
宿泊したのは霧島温泉旅館。
昔与謝野鉄幹と晶子が来たというのが売りの一つである老舗です。
その旅館のロビーにこのお雛様が飾ってありました。
老舗の旅館の雛らしく、非常に立派な、格式のあるものです。
しかし、ちょうどこのお雛様を見ていたころ、読者のmizukiさんが
このようなコメントをしてこられました。
タイトル ;;
この記事についてのコメントとしては不適切なのですが、
今のわたしは、悲しくて、悔しくて涙が止まりません。
これは一体なんなのでしょうか。
お雛様なのに、とても悲しいです。
http://www.youtube.com/watch?v=FV-JOZE6HeU
動画は削除されてしまうかもしれませんが、「笑っていいとも」で
お雛様を的にして倒すゲームをやっておりました。
あまりにも悲しすぎます。
戴いたコメントを受けて検索してみたところ、とんでもないことを知ってしまいました。
ご存知ない方のために一応説明しておくと、
フジテレビの昼のバラエティ番組「笑っていいとも!」内で、
2月25日(月)から3月1日(金)まで行われたミニゲームは、
「もうすぐひな祭り!ひな人形を倒センス~!」と題され、
ひな人形を倒す内容のものが用意された。
25~27日は、ひな人形を倒すゲームが競われ、
そのことへの批判が高まってきた28日と1日には、
ひな人形ではなくパネルに差し替えられた。1日には、
番組終了間際に謝罪が行われる事態へと発展した。
ひな人形は、皇族を人形(ひとがた)として模したものであり、
娘の成長を願う意味で飾られる。
ネットでは、天皇御一家への冒涜に当たるのではと、批難が起きている。
みなさん、あなたは、普段ご飯にお箸を突き立てることができますか?
たとえ降ろす前の靴でも、履いて畳の上を歩けますか?
お箸からお箸に食べ物を移す「合わせ箸」は?
敷居や畳の縁を踏んで歩くことは?
もしこれらを全く平気ですることができる人を見たら、
おそらくみなさんはそれは「日本人ではないのだろう」と思うでしょう。
なぜそれが悪いのか、理由を深く考えるよりなにより、
「常識が、それ以前にDNAレベルの感覚がそれをすることをとても許さない」
というのが一番正確ではないかと思います。
わたしの家にも、両親が心を込めて買い調えた雛人形がありました。
女の子が生まれて最初の三月三日の雛の節句を迎えるときに、
成長と幸せを祈って親や祖父母が贈る雛人形。
姉のためには細面の臈たけたお公家顔の七段飾り。
わたしのためにはガラスケースに収まる、小ぶりの、
しかしうっとりするほど可愛らしい「横に面長」の真多呂人形。
雛の季節が近づいたころ、みんなで雛飾りの箱をあけ、
一年ぶりに対面する「自分の雛」に、歓声をあげます。
そして桐の小箱から出した雪洞や小さなお道具の薄紙を外しながら
その精巧な作りにあらためて子供心にも感心するのでした。
そして雛を飾った最初の夜、その部屋に休むときの気持ち。
電気を消した暗がりの中にぼうっとひな壇が見えます。
大好きなお雛様のはずなのに、その人影が闇に乗じて今にも動き出しそうで、
薄目を開けて見ていると怖くて仕方がありません。
しかし朝になって目を覚ました時にはすっかりそのような気持ちはなくなります。
日中の雛はただただにっこりと優しい笑みを浮かべており、これが
「わたしのおひなさま」である誇りと喜びが体の中からわいてくるのです。
そんな憧れと、一種の畏れを「人形(ひとがた)」である雛に持って、
女の子は雛の季節を過ごすのです。
そして少女時代にこのような雛祭りを過ごさせてくれた両親を持ったことは、
わたしの、やはり誇りであり喜びでもありました。
mizukiさんのコメントにこうありました。
「悲しくて悔しくて涙が止まりません」
これを読んだ男性の中には、何を大げさなと思う方もいるでしょうか。
しかし、わたしにはよくわかります。
わたしもまた、雛人形を両親の愛情のしるしとして授けられ、
そして毎年の季節ごとにそれを出し入れする行為を通じて
大人になる前の少女としての「心構え」のようなものを
同じ女である母親から同時に授けられたと思っているからです。
その象徴である雛を、おそらくは故意に侮辱するようなことを
公共の放送局が悪ふざけでする。
これが悔しくないはずがありましょうか。
今回のフジテレビの行為に対しては、まず
「雛はお内裏様とお雛様、つまり天皇皇后両陛下を意味するものを倒す」
という意味ではないか、とまず抗議の声が上がりました。
「不快である」「子供が真似をしたらどうする」
こんな声もテレビ局には殺到し、番組は謝罪に追い込まれましたが、
謝罪に「天皇皇后両陛下を意味する雛人形」という文言はなかったようです。
mizukiさんにコメントをいただいて調べたところ、「チャンネル桜」の水島代表が、
フジテレビに対して抗議の電話をかけている様子がyoutubeで上がっていました。
わたしがこれで驚いたのは、彼らがのらりくらりと逃げ回り電話に出ないことではなく、
(それはある意味当然というか、予想されうる対応なので)
担当が「コナカモモコ」という女性であったということです。
日本に生まれて、雛祭りを両親から祝ってもらったことのある女性が、
テレビの番組を制作するときに雛人形に扇子をぶつけて倒す、
という企画に不快感を示すどころか、それを良しとしたというこの気持ち悪さ。
「皇室に対する侮辱であり世が世なら不敬罪だ」
と、youtubeでは水島氏がこう言っていましたが、
わたしはそれ以前に「現場の女性はこれに対し誰も何とも思わなかったのか」
ということを考えました。
たとえわたしやmizukiさんが過ごしたような、雛祭りを心を込めて
家族から祝ってもらうような環境とは縁がなかった女性であっても、
「ご飯に箸突き刺し」や「合わせ箸」のように「雛にモノをぶつける」など
「それはどうしてもできない」
というDNAレベルの忌避感が生まれるはずなのです。
もし日本人ならば。
先日、NHKの韓国新大統領就任式の生放送に関して
「あなたたちは本当に日本のテレビ局なのか」と書きましたが、
このフジテレビという局に関しても、特にここ数年、
彼らのほとんどが日本人ではないのではないかと疑ってしまう
状況証拠が多すぎると言わざるを得ません。
(わたしが見聞きしただけでも、そうと知れる事柄がいくつか・・・)
例えば、youtubeのインタビューで水島氏が
「お雛様は皇室とその周りの方々を表しているんですよ」というと、
驚いたことに電話の対応をした広報の女性は
「なるほど。わたくしその辺は不勉強で」
と言ったのです。
小中学生ならともかく、テレビ局という報道機関に属する人間が
こういうことを「勉強していないので知らない」というとは・・・。
やはり、異常な状態なのではないでしょうか。
ただ、彼女がもし日本人ではなく、日本の風習を全く知らないまま
育ってきた人間なのだとしたら、これは辻褄が合います。
そして、スタッフは「不勉強で知らなかった」のではなく、
「知った上で、陰でこっそり舌を出して嗤いながら企画した」
ということなら、これも合点がいきます。
つまり、何度か問題にされてきたこの局にまつわるいくつかの事件のように
「日本人を愚弄する」
ということを挑戦的に、わざとやっているのかもしれない、と、
これまでの前科からも疑わざるを得ないのです。
(ご存知ない方はいろいろとありますから検索してみてください)
日本の精神的なもの、思い入れのあるものを蔑み馬鹿にする、
こうやって、たとえば「お雛様」をまるで射的の的のように、
軽くあしらうことで、その価値をより落としてほくそ笑む。
こんなことが白昼堂々と行われるに至っては
「たかがテレビのすること」
と看過できない状態にきているという気がします。
「たとえ夜店のテキヤでも、射的の的にお雛様なんか使わない」
水島氏はフジテレビ広報との電話の中でこのように言っていましたが、
わたしはこれを聞きながら「日本人ならね」と苦々しく心の中で付け加えました。
われわれの怒りはもう限界にきています。