ネイビーブルーに恋をして

バーキン片手に靖國神社

平成26年度富士総合火力演習(予行演習)に行った

2014-08-23 | 自衛隊

朝霞駐屯地訪問記の最後に

「総火演、行きたいけどどうなりますことやら」

と書いたところ、コメント欄で何人かにご心配いただきました。
中には

「つてがあったので確保することもできたのですが」

とまでおっしゃって下さった方もおられ、ありがたさに
改めて感激した次第です。 
しかしながら、そんな方々も最後には

尤も、中尉の幅広い人脈でもっと簡単に手に入りそうにも思いますが」

とか、

エリス中尉にはぜひ紫チケットで総火演をみたよレポートを
していただきたい気がいたします」

という一言を付け足しておられ、内心ぎくりとしたわたしです。


というのはこのエントリ制作後、 24日本番当日、
さらには21日の夜間演習の見学の会のお誘いと、
全く別方向からチケットが奇跡のように降ってきたのです。


一瞬天にも昇る心地になったものの、次の瞬間、我が家は23日
恒例の大曲花火を見に秋田県まで行くことになっていて、
本番は観覧不可能であることに気づいたのでした。orz(TO) orz(わたし)

そこで、本番の代わりに予行演習のチケットを送って頂くことになったのです。

つまり、あのエントリがアップされたときにはわたしは
朝早くの会場入りに備えて御殿場駅前のホテルにいたわけで・・・。

帰国前後の壮絶な忙しさに紛れ、内容を訂正する時間もなく、
結果的に読者諸氏のご心配まで頂いてしまったこと、改めてお詫びする次第です。

さて、前日息子が学校の用事があることを言い出し、さらに
TOが仕事が残っていることを思い出したため、前日夜はわたし一人で
御殿場駅前に新しく出来たホテルに投宿しました。

朝は4時に目が覚め、夜は8時になると眠いというまるで農家の人のような
絶賛時差ボケ中の生活をしているわたしにとって、夜一人で
東名高速を長距離ドライブするというのは大変辛うございました。

チェックインするなりベッドに倒れ込み、夜11時くらいになって
TOがやってきたときには熟睡していたそうです。

そして翌日5時、元気に熟睡していたTOを叩き起こすわたし(笑)

「確かにKさんは早く行った方がいい席が取れるっていってたけど、
これは早すぎるんじゃない?」
「現場に行ったらもっと早く並んでる人がいっぱいいると思うよ」

わたしたちが御殿場のホテルを出たのは5時半。
そのときにはホテルのロビーにも人がいましたし、
そして御殿場駅前にもシャトルバスを待つ人の列が長くなっていました。

こういう行事に初めて参加するTOは目を丸くしています。
だいたいこの人は、



総火演にこういうスタイルで参加しようとしていました。
2時に東京で仕事があるので11時45分にタクシーにのって
新幹線で帰るということになっていたのです。
仕事があるので先に帰る、と聞いたときわたしは不安になって

「まさかスーツで総火演見るんじゃないでしょうね」
「そのまま仕事だからスーツだけどなにか?」

汗もかくし汚れるし、帽子も何もなしで戦車を見るつもりとは。
もう好きにしてちょうだい。



わたしたちは駐車券付きチケットをいただいたので、
指定された番号の駐車場に誘導されて停めました。

現地が近くなると案内の立て札があり、さらにはいたるところに
誘導の自衛官が立っているので迷うことなく到着。
さすがは気配りの自衛隊イベントです。

駐車場が曇っているのは朝もやで、アメリカから帰ってきて以来
日本の残暑と湿気にダメージを喰らっていたわたしとしては
この富士山麓の霧はありがたかったです。



駐車場もいくつかあって、会場までシャトルバスに乗るところと、
歩いて行ける距離にあるものがあったようです。



このとき確か6時過ぎだったと思いますが、
駅から運ばれてきたシャトルバスから降りてきた人たちが
なぜかものすごく長い列を作らされていました。

わたしたちはその横からすんなり入って行き、
前面シートを待つ列の前の方に(20人目くらい?)並びました。

全てのものごとにはヒエラルキーが存在するものですが、
総火演のチケットで駐車場付きはかなり「上位」であったようです。

後から知ったところによると、駐車券が無い人たちは
シャトルバスの近辺の市営駐車場などに停めてくるわけですが、
朝の4時時点で周辺駐車場は全て満車であったとのこと。
しかもシャトルバスには料金が必要とのことでした。

本番に駐車券なしで車で行こうと思っている方、
前の晩から停めるつもりでないと無理かもしれません。




ところで、チケットにはちゃんと「非売品」と書いてあるのに、
ヤフオクにはこのチケットが出回っていたそうで、
相場としては一般券は2万から3万円で取引されていたようです。

チケットの倍率が24倍ということで話題になっていましたが、
オークションに出して儲けるために応募する人がいるんですね。
無料で手に入れて万単位を儲けるたあいい根性してるぜ。

しかしそれでもそれだけ出して買う人がいるってことなんですが。



さて、スタジアムのようなスタンドは正面に向かって
右からABCDEスタンドと称します。

わたしのいただいたチケットは青で(さすがに紫ではありません)
Eスタンドか前面シート席、となっていました。
K1佐から

「スタンドから埋まっていきますが、マニアの方や
写真を撮られる方は(←)シート席に座られます」

と伺っていたので、わたしは迷うことなくシートの
前面を狙うことにしました。
TOはスーツを着ているので(笑)スタンドに座りたかったようですが、
わたしが

「じゃっ別行動で!」

ときっぱり告げると、

「いいよ・・・シートで・・」

と力なくつぶやきました。
いつもこういうことになると振り回してすまんねTO。



「守りたい人がいる 陸上自衛隊」

いいキャッチフレーズです。誰が考えたんだろう。
外側は手のひら、これはわかる。
手のひらが包み込んでいるのは・・・・

・・サッカーをする人。

なこたーない。
実はこれ、日本列島なんですって。
ボールだと思ったら四国だったのね。
足の部分が九州ってことなんですが、北海道と比べても
なんだか大きすぎないか?四国。

ところで、このロゴとマークについてHPには

「守りたい人がいる」及びロゴは陸上自衛隊の登録商標です。

と明記してあります。
変な改ざんをして社民党みたいに自衛隊を利用した我田引水の
パロディをつくるなよと釘を刺しているわけですねわかります。



外にはいっぱい並んでいましたが、スタンド近くまで
入って来られるチケットを持っている人は焦る必要がないせいか
案外スカスカしてます。

もっとも、わたしが前面シート席の列に並び出したとたん、
スタンド席の列があっというまに伸びてこの通路は
人で一杯になってしまいました。

お店もまだ開店準備段階ですが、気の早い人がもう買い物しています。
手前に「ヒトマル戦車まんじゅう」というのがありますが、
これは10式戦車の人気にあやかっているんですね。

皆さんにお見せするため(だけ)に買えばよかったかな。



さて、7時ちょうどに時報がなり、列が誘導されて
中に入って行きました。
最前列はしっかり取られてしまったので、2列目の通路近くに
(TOが途中で抜けやすいように)席を取ります。
着いてすぐにソニーのデジカメでパノラマ撮影してみました。



富士山には全く雪がありません。当たり前か。
今朝、富士山麓のどこかに大きな亀裂があって、
噴火が近いとかなんとかいうニュースがありましたが、
このように眼前にそびえる富士山を実際に見る限り
そんなことはとても起こりそうにありません。

演習会場はまさに観覧席からステージのように眼前に広がっていて、
砲撃や着弾がそのステージで全て行われるという感じ。
総火演が始まったのは昭和36年ということですから、まさに
50年の伝統ある行事として歴史とともにそのイベントノウハウも
蓄積があるのでしょう。

駐車場の設置や会場への人入れ、その他に混乱が出ないように
完璧に考えられているとみて、全てがスムーズに進みました。



このスクリーンには陸自の広報ビデオや演習の解説、
そして実施時には着弾の様子が写し出されます。
このときには誰もいませんが、本番では車の上部の囲いの上で
映像クルーが撮影をしていました。


わたしたちが到着したときにはすでに予行演習の予行演習、
直前リハーサルが始まっており、いきなり戦車の砲撃音が
耳もつんざけよとばかりに響き渡りました。



それが一通り終わった頃、どこかの地本の自衛官が、
自衛官志望(予定?)の若い人たちを連れてやってきて、
全員で戦車をバックに記念写真を撮っていました。

わたしは彼らの一人一人に心の中で自衛官の格好をさせて、
なかなか皆似合うじゃない、などと楽しんでいました(笑)

何となく自衛隊に興味を持った青年たちを
このようなイベントに招待し、目の前で縦横に走る戦車に乗り、
正確無比な着弾を決める様子を見せたなら、おそらく
そこに配置されるかどうかはともかく、

「ヒトマルに乗りたいから自衛隊入る!」

となってしまって地本の思うつぼではないかと思うがどうか。

というか地本の自衛官というのは本当に「やり手」が多いらしく、
地本の人に説得されて自衛官、あるいは防大進学を決めた、
という人をわたしは間接的にですが二人知っています。

地本は自衛隊で唯一(たぶん)ノルマのある業種ですが、
それだけに営業向きの人間を選抜するのでしょう。

ここで戦車隊に入ろうとしている少年たちの中にも
実は戦車隊より地本勤務に向いた者がいるかもしれません(笑)



自衛隊といっても職種は様々。
総火演に参加、といってもこういう警備の人もいますし。

ここに立つ警備係は、ひたすら客席の方に向かって立ち、
三脚が高すぎたり、パイプ椅子を使っている人がいれば
飛んで行って注意してやめさせたりと大変そうでした。

わたしは現地の様子が分からなかったのでエアクッションと、
高さ15センチの椅子を持って行き、本番が始まったら
使用するのをやめようと思っていたのですが、始まる前に
すでに「椅子は禁止です」と注意されてしまいました。

わたしの前の人たちは座椅子に脚を伸ばして座り楽そうです。
引き揚げるとき

「じゃ来年も」「最前列でw」

と挨拶し合っていたので、もう大ベテランなのでしょう。
というわけで、日曜の本番に行かれる方、
余裕があれば

コールマンのコンパクトグランドチェア
キャプテンスダッグのチェアマット

がシート席観覧には大変よろしいかと存じます。
わたしも来年もしまた行くならこれ買おうっと。



ちょっとちょっと!
なんで始まるなりヒトマルなんだ?と思われた方ご安心下さい。
これはリハーサルです。

リハーサルがいつから行われていたのかわかりませんが、
とにかく、わたしたちがシートの場所を決め、
せっせと陣地を構築している間、ちょうどフィールドでは
10式戦車がリハーサルを行っていたのでした。

第一陣がシート前列に案内されたばかりで
わたしたちの後ろには人が皆無だったときです。



そのとき10式の砲身が放つ轟音が朝の御殿場の空気を震わせました。
このとき後ろには誰もいませんでしたが、本番になって
初めてこの音を聞いた後ろの女性がいちいち
ど~ん!「きゃあ」ど~ん!「きゃあああ!」
叫びまくるのには少しイラっとしました(笑)
しかしまあ叫ぶのもわからないでもない、と思えるくらいの音と振動です。
戦車隊の隊員がどうしていつもイヤホンのような耳当てを
装着しなくてはいけないのかが改めて実感として理解できました。

わたしはホテルで寝るのにたまたま(本当にたまたまです)
耳栓を二人分買っておいたので、まず自分の耳を保護し、
TOに「つける?」と聞いたら最初はなぜか「いい」と言っていたのに、
砲撃が連続して行われるようになると耐えられなくなったらしく

「やっぱり耳栓かして」

と言ってきました(笑)
本番当日行かれる方、特にシート席に座る予定の方は
耳栓はあってもいいかもしれません。
ご参考までに。



戦車に立っている赤い旗はこれから砲撃を行うという合図です。
砲撃が終わったら旗は緑に付け替えられます。

このシステムは総火演などの展示の際、
観客に良くわかるように、というわけではなく、
訓練のときはいつもそうしているのかもしれません。 

ただし、万が一、万が一ですよ。
戦車が実戦を行う際は、このようなことは一切しないってことです。
当たり前か。



せっかく望遠レンズを(重たいのに)持って行ったので、
出来るだけ隊員が見えるときにはズームしてみました。
途中で何度も望遠と元の10−100レンズとの付け替えをしましたが、
何となく気分でやってしまい、全体的には不満が残りました。

これは10式の砲塔から半身を出した隊員ですが、
どういうわけか何人かはこのようにブルーのカバーを
ヘルメットにかぶせていました。
ブルーと赤のカバーの違いが何かはわかりませんでした。

このときこのヒトマルは砲撃を終え、旗を緑に変えています。



87式偵察警戒車が三台並んでいます。
オートといわれる偵察用のオートバイ隊とともに
偵察教導隊の所属となります。

ちなみに、ヒトマル式戦車は

戦車教導隊第1中隊

となります。
戦車隊って何人の組織だと思います?
わたしは何十人もいるのだと思っていたんですが、
この日配られた出演部隊の紹介写真で、10式の隊員が
たった16人なのに結構驚きました。
(3人乗りなのに、隊員総数が3で割り切れないことも・・)

それはともかく、74式の第4中隊も同じく16人、そして
90式の第3中隊でも21人ということがわかりました。


さて、というわけで、全てのプロジェクトが進行中で、
まだアメリカで見たものもちゃんとお伝えしていないのにもかかわらず、
当ブログ的には全く困ったことに、
「総火演シリーズ」が幕を切って落とされてしまったのだった。



明日は秋田県の花火大会に参加するため別の話題となりますが、
それらをはさんでまた続きをお送りします。



というか、いまMarkさんのコメントを見て初めて知ったのですが、
予行演習って関係者のみで一般公開していなかったんですね。
なのにあの人の多さ・・・・。
本番はもっと多くなるということですが、参加される方、
くれぐれも陽射し対策とお尻(の下に敷くもの)対策は入念に!