TOはボストンで1週間を過ごし、西に移動して
3日を過ごしてから帰国して行ったわけですが、
それが週末だったため、我が家は恒例のハーフムーンベイ詣でに出かけました。
ここからはカーナビの予測によると30分のはずなのですが、
ハーフムーンベイに行くには101号線から山を越えて太平洋岸に出るのに
一本道をくねくねと行かねばなりません。
当然ながら週末は大変な渋滞になってしまいます。
前もってレストランに予約しておいた時間を大幅に遅れ、
レストラン「ナビオ」に到着すると・・・・
なんと!
去年まではなかったブランチ・バッフェ方式になっています。
サンフランシスコ市内のリッツでは確か「サンデーブランチ」と称して
やたら豪華なブランチを食べ放題で供していたと記憶しますが、
ここはそういう「大量客を捌く」という雑さとは無縁だと思っていたため、
なんとなく凋落を見た気がして
「リッツ・ハーフムーンベイよお前もか」
という感を持ちました。
去年一昨年と食べたタルトのデザートを食べようと思っていたのにな。
とはいえ、リッツのバッフェなら期待できそうではあります。
さっそく食べ物を取りに出撃。
サラダの葉類はどういう趣向なのか植木鉢に入れられ、
そこから取る仕組みになっておりました。
そして見ての通り、今年も中国人がちらほら眼につきます。
客席はほぼ満席でした。
客席どころか、館内がほぼ満員御礼状態であることに
後で気づくことになったのですが。
ローストビーフやラムのもも肉、リブステーキ、
肉系の思いつくものは取りあえずなんでも食べられます。
柱の向こうはシーフードコーナーで、カニ爪やエビのカクテルなどの
甲殻類から生ガキなど、皆眼の色を変えて食べるようなものがふんだんに。
残念ながら肉も甲殻類にもあまり興味がないわたしは
植木鉢から葉っぱを取ってサラダをせっせと食べていましたが、
シーフードのコーナーに、好きなだけ取れるキャビアがあるので
驚いてしまいました。
少し味見をしてみたら余りに塩辛くて、わたしにとっては
猫に小判豚に真珠でしたが、キャビアをまるでイクラのようにイクラでも
食べることが出来る(しかもリッツで)なんて・・・。
特に最近はチョウザメの捕獲量が激減しているので、
キャビアはまさに海のダイヤと化しているはず。
こんなバッフェで好きに取らせていてホテル側は大丈夫なのでしょうか。
・・・・・大丈夫かどうかは後でわかったんですけど(笑)
デザートコーナーは棚を使用。
TOが取ってきたデザート。
右手に持っているのはみたらしダンゴではなく、焼きバナナのチョコレートがけ。
デザートコーナーの奥にシェフがいて何かを作っていたのですが、
クレープではなくこの焼きバナナだったのです。
なぜこんなものを?と大変疑問でしたが、なんか変わったことを、
というレストランの意欲の現れだったのでしょう。
一つ食べてみましたが、「なぜわざわざこれをここで作る?」
というのが感想の全てでした。
他も全体的に甘さが強すぎて、日本人には一口で閉口、というものばかり。
そして、高級バッフェにはつきもののスシコーナー。
先日メキシコ人のスシレストランのことをエントリにしましたが、
素材はともかくスシを握る技術に置いてはここも似たようなもんです。
ちょっと離れて撮った写真でも、スシのディスプレイにしては
雑然としていて見た目の美しさが全く無いのがおわかりでしょうか。
マウイのリッツカールトンロビーにあるスシカウンターは、どうやら
日本人ではないかと思われる職人がにぎっているようでしたが、
ここのはまず間違いなく日本人ではないとこれを見ただけで思いました。
とそのとき近くをスシシェフが通りかかりました。
本人にカメラを向けるのは失礼なので彼の着用していたエプロンだけを
こうやって写真に撮ったのですが・・・これどう思います?
見かけだけは東洋人で、もしかしたらアメリカ人はこれが
わざわざリッツホテルが日本から招聘した寿司職人だと思うかもしれませんが、
どっこい日本人はこのインチキを見破ってしまうのだった。
近くに来たTOに
「見て、あの前掛け。あれって・・・・」
「酒屋の前掛けだね」
「どんな職種がするものかわかってないみたいね」
別に何人がやっても構わないけど、こういう怪しげなことをするのと、
あと日本人の振りをするのはやめてくれんかな。
ところでたった今、テレビで「ミンのキッチン」という番組をやっています。
右が番組のホスト、蔡明シェフ。
左は今日のゲスト、森本正治。
Morimoto Napa
ワインで有名なナパバレー始めいくつものレストランを経営し、
アイアンシェフ・アメリカで和の鉄人を務めている有名シェフです。
今日のお題は「鯛の切り身」である模様。
ガーデンベジタブルを添えた二通りのタイ。
レシピは番組のHPから手に入るそうです。
ホストのミンシェフはしゃべり方からどうもアメリカ生まれのようです。
森本シェフを「モリモトサン」と呼び、「ドーモ」「イタダキマス」
など、知る限りの日本語を使って番組は和気あいあい。
このとき、
「ところでモリモトサンはシェフのトレーニングを東京でしたの?」
「そうだよ」
といっているのを聴いたのですが、wikiによると
森本正治は広島の崇徳高校野球部で甲子園に出た後、プロ野球の道を諦めて
料理人になり、広島で喫茶店をしてから渡米しています。
つまり「東京で修行」していないのですが・・。
まあ、善意に考えれば「ヒロシマだよ」とここアメリカでは言いにくいので、
出身地を東京であるということにしたのかもしれません。
さらに、彼の店のHPには
「彼は日本のメジャーリーグから選ばれた(drafted by)こともあるが、
肩を壊して野球をやめた」
と書いてありますが、wikiでは
「高校野球の決勝戦で敗れたので料理人を目指した」
となっています。
まあ、どうでもいいんですが、誰も照合しないと思ってこれは酷くない?
森本シェフのお皿を二人で味わった後、同じ素材で今度は
明シェフが一品作るという趣向です。
明さんは、森本氏に針ショウガを刻む仕事をさせ、その包丁さばきを見て
「アイアンシェフ!」
と感嘆します。
いやまあ、これくらいは・・・ねえ?
ミンシェフの一品は
「タイのニュースタイルサシミ ごまを散らしたオリーブオイルがけ」
サシミじゃないと思うけどサラダとしては美味しそうです。
森本シェフの一品は、タイに絵の具を塗り、それに
ナプキンを押し付けて作った絵の上に盛られています。
この絵の具は体に悪くないのかとか、この程度の絵であれば
自分で描いた方が早くないかとか、いろいろ突っ込みどころはありますが、
こういうアイデアも含めてこの人はアメリカで有名になったのでしょう。
どちらのシェフも別の国の民族でありながら
全く別の国において自分の才能で勝負している者同士。
こういう人材を受け入れてアメリカという国があるのですね。
もちろん、そこまでいかない限りなくインチキに近いものも
その何倍となくここにはあふれかえっているわけですが・・。
さて、リッツカールトンに戻りましょう。
レストランの窓から外を見てびっくり。
まるで難民キャンプのように人が庭にいるではありませんか。
それだけたくさん宿泊客もいたということでもあります。
ここの週末の人出を、アメリカ経済のバロメーターの一つにしてきたわたしですが、
今年の今までにない盛況ぶりを見て、そう悪くないどころか、
かなり良くなっているのではないかと思われました。
もちろんどんな経済状態でも、アメリカには裕福な人々というのは
一定数いるわけですが、今年の混雑ぶりは驚くべきです。
なぜなら、わたしたちは請求書が来て初めて知ったのですが、
この日のバッフェは一人100ドル!
税抜きか税込みか聞くのを忘れたのですが、親子3人でランチに3万円強です。
どんなホテルのディナーでもバッフェで100ドルというのは今まで
一度もなく、このことを他のアメリカ人に言うと
「信じられない」
といったくらいでしたから、かなり常識はずれの値段だったのでしょう。
どうりでキャビアがいくらでも食べられたはずです(笑)
わたしたちのように全員食が細くて、(アメリカ人との比較で)
キャビアにも甲殻類にもましてや肉の類いに全く興味のない人種には
これは実にもったいないランチだったというほかありません。
オープン以来何度となく来ていますが、庭でバンドのパフォーマンスが
行われていたのも初めて見ました。
冒頭のカップルの横のテーブルには犬が2匹つながれていて、
ときどきなにかを貰っているようでした。
左の犬は立ち上がって前足を「かいぐりかいぐり」していました。
屋根の上にはいつものブラックバードたちが、テーブルを
人が去った後のおこぼれを虎視眈々と狙って待機しています。
何度も書いていますが、ここはゴルフコースが売り物。
ホテル内にもコースがありますが、道を隔てた向こうにもコースがあり、
その周辺にはホテルが建った頃には工事をしていた
住宅があります。
わたしたちの横のテーブルは、いかにもリッチそうな初老の男性と
若い男性が二人でバッフェを取っていましたが、
どうやら会社のオーナーと会計士、あるいは弁護士のようでした。
おそらく、そんな人々の週末の家になっているのかと思われます。
皆が眺めているところの真ん前のホールは、ギャラリーが多すぎて
皆不必要に緊張してしまわないだろうか、と思います。
ゴルフなさる方、どんなものでしょう。
ホール越しに向こうに見えている崖には、ホテルが階段をつけたのか
降りることが出来るようです。
今までここに来るときは必ず寒く、人が降りているのもまた
この日初めて目撃しました。
お天気が珍しくいいどころか陽射しが強すぎて外にいるのが辛いくらい。
こんなかんかん照りの中でじっとしていられるアメリカ人って、
皮膚感覚が我々と違うんじゃないかと良く思います。
早々に引き揚げてバレーにカードを渡し車を待ちます。
こんな人出ですからバレーは大忙しで、係は走り回っていました。
夏でもこの暖炉はついていることが多いのですが、
さすがに今日は火は燃えていなかったようです。
ふと視線を感じてそちらを見たら、お行儀の良い犬が
ちゃんと手をそろえて座ってこちらを見ていました。
彼がつながれているのはアイデア商品?
リードがつけられているボトルのような「犬つなぎ器」。
中には水を入れて固定させ、もしかしたら飲み水にも使うのかもしれません。
それにしても100ドルのランチ。
このリッツの思い切ったお値段は一体どうしたことでしょうか。
しかしTOはこんなことを言うのです。
「値段を知っていても来たと思うな。
だってどんなのか食べてみたいじゃない」
この人は、食べ物に対する好奇心が強いのでこういうのですが、
そのお値段が山盛りキャビアだったり食べもしないラムの骨付き肉だったり、
ましてやインチキ日本人寿司職人の前掛けだったり、と分かった今では
今後行こうと思うかと聞かれればわたしはNOですね。
ここは西海岸でも大変好きな、しかも思い出の場所なので、
横のカフェには今後も来るつもりではいますが。